事務方への苦情

別件の資料を探していて、昨年の介護保険部会議事録を見ていたのですが、結構おもしろいですね。
なお、引用者が必要と思った箇所のみ抜き出していますので、誤解が生じる恐れはあります。
気になる方は、議事録の原文をご確認ください。

2010年11月19日 第36回社会保障審議会介護保険部会議事録
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000zrx7.html

○齊藤(秀)委員
 先ほど財政影響のところで、利用者負担の増等の話がいろいろとあったわけでありますが、私はこの説明がありまして、意見交換をしたときに、確かに賛成の意見もあったわけでありますが、私の理解ではほぼ反対多数と理解いたしております。
 しかし、このまとめを拝見いたしますと書き方が逆になっておりまして、反対多数の意見は少数意見であるかのように、記述のそれぞれ最後の方に、一方、このような強い意見もあったというような表現でありまして、これは主客転倒して、審議経過というものが一般の国民に正しく伝えられない。そういう報告書のとりまとめは、私は避けるべきだと、委員としてこれは強く求めたいと思うわけであります。

○木間委員
 10ページの9行目、「また、例えば軽度者の訪問介護について見ると、多くの時間が掃除等の生活支援サービスに割かれている現状が指摘されている」とあります。このような発言は部会ではありませんでした。8月23日に示された「要介護度別の訪問介護の利用状況」を基にお書きになっていらっしゃるのかもしれません。そうであれば、要支援1のサンプル数は5人です。要支援2は13人のサンプル数です。これをもって介護時間の構成比が出されています。
 例えば、要支援の介護時間の構成比46.7%というところが赤で囲んであり、それが多分マスコミでも何度も報道されるところかと思います。サンプル数は5人ではなく5,000人であっても同じような結果になるかもしれません。が、厚労省がお示しになっている根拠として、この部会で示されたのは、要支援1は、5人というサンプルに基づくものだということです。
 要支援の方に生活援助をするために、1か月に何回訪問しているのか。8月23日の部会の資料で見てみますと、1か月に3.9回とあります。1週間に1回弱です。週に1回弱訪問したときに何をするのか。生活援助で訪問したヘルパーさんは、訪問したら、まず、今、寒いですから暖房をつけるでしょう。それから、ベッドから起こして着替えをして洗濯機を回す。お話をしながらベッドメイクをして調理もして掃除もする。そういうことを同時にやっているのです。生活援助と身体介護と相談助言とは、一体のものなのです。掃除のみをしているのではないのです。
 掃除について言えば、1週間に1回だけ行って、これだけのことを同時にやって、そしてこの数字です。支援が必要な人、病気や障害を持った人にとって、1週間に1回の室内の清掃は不可欠なことであります。
 10ページには、先ほど齊藤委員も結城委員もおっしゃったことでありますが、軽度切りという目標に向かって事務局は多くの行数を使って記載しています。特に3つ目の丸です。要支援者・軽度者の給付については、対象外とする、保険給付の割合を引き下げる、利用者負担を2割にするといったことが書かれており、私の意見が出てくるのは、一方というところであります。生活支援サービスなどは云々とあり、強い意見があったとあります。たった3行にされていますが、先ほど申し上げた厚労省がお示しになった5人の調査ではなくて、私は部会で300人近くの要支援1~2の方について、掃除、洗濯、買い物、調理の遂行能力を2年間追跡調査した結果について触れました。厚労省の研究費事業として地域保健研究会が行った調査結果に基づき、要支援者には日常生活動作の困難を援助すると同時に、困難からの脱却スキルの手を差し伸べることが必要であると申し上げました。軽度者に対する給付を縮小し、生活援助をプロ以外の人に任せれば、介護度が悪化して給付費の増大につながること、軽度者への生活援助を縮小してはならないことを発言いたしました。
 そこで、8月23日の部会において、軽度者・生活援助に関し、私と同じような趣旨の発言をなさった方について議事録で確認しました。6人いらっしゃいました。それに対して、選択と集中、重点配分が必要と御発言をなさった方は3人であります。その方たちも、2割負担とか、ここに書かれていることは発言なさっておられません。これは一例にすぎません。こうしたまとめ方は、報告書の随所に見られます。
 24ページです。一体どういうおつもりで、このようなまとめをするのかと思いますが、給付の見直しについてです。先ほどの厚労省の御説明の中に、当部会における審議を整理したとありましたが、審議を整理したのではなくて、私たち利用者側の意見がカットされたまとめであります。