「住民投票・ロシア併合」否定決議

国連総会、ウクライナの領土一体性決議採択 露の偽「住民投票」と「併合」試み非難

ウクライナのマルチメディア報道プラットフォーム
2022年10月13日 木曜日 09:16

 

12日、国連総会は、ロシアが占領するウクライナ領にて実施した偽「住民投票」は法的効力を一切持たず、その地域の地位の変更の根拠にはならないとする決議を採択した。
国連総会決議「ウクライナの領土一体性:国連憲章原則保護」が賛成143、反対5、棄権35で採択された。ウクルインフォルムのニューヨーク特派員が伝えた。

同決議の共同提案国は70か国。

日本や欧米諸国、トルコは賛成。東南アジア諸国やアフリカ諸国の多くも賛成した。反対した5カ国は、ロシア、ベラルーシ北朝鮮ニカラグア、シリア。中国は棄権、イランは欠席、ブラジルは賛成した。

今回採択された決議では、国際関係における、武力による威嚇または武力の行使を慎まねばならないという国連加盟国の義務を強調した上で、武力による威嚇または力の行使の結果としての領土獲得は一切合法として認められないことが喚起されている。

また、ウクライナ領ドネツィク州、ヘルソン州、ルハンシク州、ザポリッジャ州の一部がロシア連邦による侵略の結果として一時的に軍事的支配下にある/にあったことが指摘されており、その侵略はウクライナの主権と政治的独立と領土一体性の侵害であることが確認されている。また、ロシア政権当局による奪取した領土の併合の試みの決定は国連憲章原則と相入れないと指摘されている。

国連総会はまた、ウクライナの国際的に認められた国境内での主権、独立、統一、領土一体性へのコミットメントを確認した上で、ロシア連邦による「違法な『住民投票』と称するもの」の組織と、「ウクライナ領ドネツィク州、ヘルソン州、ルハンシク州、ザポリッジャ州の違法併合の試み」を非難している。

決議には、2022年9月23日から27日にかけての期間に、ウクライナ領ドネツィク州、ヘルソン州、ルハンシク州、ザポリッジャ州にて行われた偽「住民投票」に関するロシアの違法行動と、その後のそれらの地域の違法「併合」の試みは、国際法に従い一切の法的効力を有さず、これらウクライナの地域の地位のどのような変更の根拠ともならないと強調されている。

国連総会は、ロシアに対して、「速やかかつ無条件に」2022年2月21日と9月29日の占領する領土の地位に関する決定を無効化するよう、そして国際的に認められたウクライナ国境内のウクライナ領から全ての自国軍を「速やかかつ、完全かつ、無条件に」撤退させるよう要求している。

これに先立ち、10月10日と12日、ロシアによる占領下ウクライナ領内での偽「住民投票」不承認に関する決議案の協議が行われていた。

なお、2022年3月2日のロシアを非難した上で、同国にウクライナからの即時撤退を求める国連総会決議の投票時は賛成は141か国、2014年3月27日のロシアによるクリミア「併合」の不承認に関するウクライナ領土一体性決議の投票時の賛成は100か国だった。
https://www.ukrinform.jp/rubric-polytics/3592081-guo-lian-zong-huiukurainano-ling-tu-yi-ti-xing-jue-yi-cai-zeroshiano-wei-zhu-min-tou-piao-fei-nan.html

 

 

他のメディアでは、棄権や「投票をしなかった」諸国がどこかわからなかったので、上の記事についていた、おそらく国連総会の賛否一覧の画像を加工してみました。

赤枠囲みが反対、普通の白地が棄権、カッコつきが「投票をしなかった」国です。

3月のロシア非難決議のときは、賛成141、反対5、棄権35でした。
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2022/03/03/212515

今回は、賛成143、反対5、棄権35ですが、これ以外に意思表示がついていない国もあります。
前回もそうですが、「投票しなかった」という国も(分担金滞納で投票権がなかったベネズエラのように)あります。
画像の棄権が33で、「投票しなかった」国との区分が間違っているかもしれません(投票が済む前の写真とか)が、正確なところはわかりません。

ところで、G7首脳会議でロシアを非難したことに対し、日本維新の会参議院議員鈴木宗男氏は、10月12日のブログで
「クリミア橋がウクライナ情報機関の仕業とするなら、そちらも非難対象ではないのか。」
と書いています。

こういう意見は、国際的には通用しないので、一応書いておきます。

今回のクリミア大橋の爆破については、まだ実行者や背景などが確定していませんが、仮にウクライナ側の実行だったとしても、国際法上、戦争犯罪などにはなりません。

まず、「住民投票結果によりクリミアをロシア領に編入した」というロシアの主張は国際的に認められていません。
したがって、クリミアはウクライナ領であり、その主権国家の了解を得ずに架橋したクリミア大橋は違法構造物といえます。

また、仮にロシアの正当な所有物であったとしても、侵略者の軍事補給路を攻撃するのは、軍事上の常道のひとつであり、ロシアに不当に侵略されているウクライナ側の権利ともいえます(作戦上、得策かどうかは議論があると思いますが)。

住民投票の捏造や、民間施設、民間人を意図的に攻撃しているロシアの犯罪性と同レベルで扱うことは、きわめて不適当です。