昨日は、北方領土の日

参議院議員鈴木宗男氏の2月7日のブログより。

 

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 かつてクリミア問題の時、当時の安倍総理オバマ米大統領から日本もロシアへの経済制裁に参加してくれと言われたが、安倍総理は「日本には北方領土問題の解決、日露平和条約締結の問題があり、アメリカと同じ立ち位置では動けない」と毅然と言われ、時間差を付けて対応した。そのことにより日露関係は未来志向で順調に動いて行った。
(中略)
 1956年、鳩山一郎総理の時、日本とソ連との間で、日ソ共同宣言で国交が回復し、その後、多くの総理、政治家の努力により、日ソ、日露関係は前進し、安倍晋三総理はプーチン大統領とで27回に渡る首脳会談をし、特に2018年11月、シンガポールにおいて1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速することで合意した。
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この(中略)の中で、鈴木氏は、

 

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 ウクライナ紛争に関し、日本はすぐさまアメリカに引きずられる形で行動をとり、戦後最悪ともいえる日露関係になってしまった。外交には相手がある。日本の主張が通る外交はない。
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とも書いています。
私の記憶では、「アメリカに引きずられる形」ではなく、国連憲章の重大な違反として、主体的に制裁を行ったと思うのですが、それはともかくとして・・・

 

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改憲のロシア、「領土割譲」に禁錮刑も…北方領土交渉に影響か
読売新聞 2020/07/10 07:30

 【モスクワ=田村雄】ロシアの改正憲法に「領土の割譲禁止」の条文が明記されたことを受け、違反した場合の罰則の検討が本格化した。タス通信などによると、露議会下院に8日、割譲につながる行為を「過激行為」と認定する改正法案が出され、最長で禁錮10年の刑罰を科すことができる法整備が行われる見通しだ。
 プーチン大統領は今月、領土割譲に向けた交渉や呼びかけを禁じる改正憲法の条文の対象に、北方領土が念頭にあることを示唆している。厳しい罰則の設定は、日露間の北方領土交渉に影響する可能性がある。
https://www.yomiuri.co.jp/world/20200710-OYT1T50054/

 

ということで、ロシアがクリミア半島を占領したときに緩和的な対応をしたにもかかわらず、今回のウクライナ侵略が始まるよりもずっと前に、この嫌がらせとも思える「領土割譲禁止」なる憲法改正が行われています。

この「領土割譲禁止」について、鈴木氏は2020年7月16日のブログで、


「ロシアと日本との関係は、いくつもの合意に基づくものです。ロシア連邦ソ連の継承国家として、ソ連が締結したすべての合意を踏襲することを認めています。この点については、プーチン大統領自身も何度となく確認しています。そして、こうした合意には、1956年の日ソ共同宣言も含まれるのです。ロシアと日本とは、この共同宣言に従って平和条約締結の必要性について話し合う用意があり、実際に協議を行っています」

 

というラブロフ外相の発言を紹介しています。

が、このラブロフ発言を額面どおりに受け取るのは無理というべきで、実際、交渉は全くといってよいほど進みませんでした。
2022年2月のウクライナ侵攻まで1年数か月もあったにもかかわらず。

この間、内閣は安倍~菅~岸田と変わりましたが、対露政策は変わっていなかったはずです。ウクライナ侵攻までは。

 

つまり、交渉が進まなかったのは、ウクライナ侵攻に対する日本のロシア制裁ではなく、ロシア側に進める気がなかったから、ということが明らか。

 

そもそも、1956年の国交回復以降、親露派の政治家や、その前の親ソ派の政治家は、何をやっていたのか?

総理大臣経験者の森喜朗鳩山由紀夫などの諸氏、それよりは小物ながら鈴木宗男氏(北海道開発庁長官、内閣官房副長官等を歴任)など、長年、多額の国費や労力を注ぎ込みながら、結局は領土問題での進展はなし。

 

いいですか?
仮に、2022年2月の時点で、北方領土がたとえ一島でも返ってくる前提で交渉が継続していたのなら、対露制裁を行わない、あるいはよりソフトに行うという選択肢も、政権内部であったかもしれません(最終的にどう決まるかはわかりませんが)。

返す気がない、あるいは、とうてい日本には受け入れられない代償がないと返さない(たとえば日米安保条約を破棄してロシアと同盟し、露軍の日本国内駐留を認める)、というようなロシアに対して、国連憲章違反の侵略行為に制裁を科さないという選択は、日本としてはあり得なかった。

 

それにしても、親露派は存在してかまわないし、ロシアの政権が変わったときにでもパイプはあった方がよいのは当然ですが、前述の、森喜朗氏、鳩山由紀夫氏、鈴木宗男氏、というのは、凄い顔ぶれですね。
個性はそれぞれバラバラですが、国民の疑惑あるいは反感をかきたてるという点では共通しているような。