生活保護費1日千円ずつ手渡し

生活保護費を1日1000円ずつ手渡し、全額払わず 群馬・桐生市
毎日新聞 11/21(火) 15:41配信

 群馬県桐生市生活保護を受給する50代の男性に対して1日1000円ずつ生活保護費を手渡しし、全額支給していなかったとして、群馬司法書士会が荒木恵司市長宛てに21日、運用改善を求める要請書を提出した。求職活動を支給の条件とし、ハローワークに行ったか確認するため職員の印鑑が押してある書面の提示を窓口で求めていた。市は男性に渡していなかった13万4180円を支払った。

 同会が提出後に記者会見した。要請書によると、男性は7月26日に生活保護を申請。8月18日から受給が始まった。支給額は月額約7万円と決まったが、1日1000円を窓口で手渡しし、月に3万数千円程度しか支給していなかった。

 10月初旬に同会に相談があり、仲道宗弘副会長が男性と同12日に市を訪ねたところ、未支給分が支払われたという。

 男性は「1日1000円では生活が厳しい。分割の支払いも納得がいかない。病気の治療で通院もしているので、毎日ハローワークに通い詰めになるのはストレスだった」と話した。

 仲道副会長は「交渉の際、一括支給するとすぐに使ってしまうので、生活指導の意味を込めて求職活動を条件に支給していたと市側から説明された」と述べ、「支給額が決められた基準を下回ることや、一定の条件を付すことは憲法生活保護法に反している」と指摘。今後、訴訟を検討するという。

 生活保護憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を営むために一定の金額が支給される制度。年齢や居住地域など厚生労働相が定める基準で計算される最低生活費から、収入を差し引いた差額が支給される。

 市の担当者は、男性に支給額を全額は手渡していなかったことを認め、「分割支給に関して本人に口頭で説明し、了解してもらえたと思っていたが、理解を得られていなかったことが要請書により分かった。今後は受給者との相談や決定事項を書面化して理解を求めるなど検討していきたい」と話した。

 花園大学の吉永純教授(公的扶助論)は「生活保護費は受給者の1カ月単位の生活を保障するもので、まれに分割支給もあり得るが、当月末までに満額を支給するのが大原則。このような対応をした市の責任は重大だ。自立した生活のための基礎的な支援なので、求職を条件にした支給などはあり得ない。市のやり方は生活保護法違反の疑いがある」と指摘している。【大澤孝二】
https://news.yahoo.co.jp/articles/721b003e65d399b6fb8d44a62acc73fc7c783f3d

 


ツッコミどころが多すぎるケースですが、とりあえず記事の内容を基に。

まず、支給の方法は別にしても、とにかく保護費の一部しか渡していなかったことは、明らかに違法。
残額はどうしていたのでしょうね。
いわゆる支出負担行為は全額分を取っていたでしょうから、支出残が毎月出ていたか、それとも毎月現金化したうえで金庫にでも保管していたか。
まあ、司法書士会が同行訪問してすぐに払われたのなら、後者でしょうかね。
事務処理としてもヤバい。

それに、この保護受給者、「病気の治療で通院」という内容がわかりませんが、食費が十分でなかったとしたら、病状が悪化した可能性もあります。

 

そして市の担当者の
「分割支給に関して本人に口頭で説明し、了解してもらえたと思っていたが、理解を得られていなかったことが要請書により分かった。」
って、マジですか?
上司(SV=査察指導員やそれよりずっと上の人)に「そう言え」って命令されてない?
いや、証拠はないですけど。

だいたい、その理由だとしても、支給決定額の一部しか渡してこなかったことの理由にはならないでしょ?

 

そもそも、こんな支給方法やってるの、この受給者に対してだけですか?
他の受給者(他の担当分を含めて)でもやってない?

 

あと、マスメディアや識者などが指摘しなさそうなことを書いておくと、この毎日来所させる方法って、担当者的にも非効率なんですよ。
ケースワーカーって、この人だけ担当しているわけじゃないですからね。

職員の人件費はタダではない。

生活保護業務だから、国費分もあると思いますが、どっちにしても税金が原資です。
毎日待ち受けるような非効率な方法(担当の不在時には別の職員が対応しなければならないから、コスト的にはほぼ同じ)を取らずに、この受給者が信用できないのなら、一度ぐらいハロワークに同行訪問でもして、そのときの状況を踏まえて電話指導、文書指導、指示などを組み合わせ、どうしても従わないようなら手順を踏んだうえで保護を切るようなことも検討するという方法も考えられるところ。

 

7月の申請、8月の保護決定からの経過期間を勘案すると、今回のような毎日の来所報告というのは、コスト的にも相当に異常な対応のように思われます。