知的障害のある母の子、乳児院に

知的障害者、育児かなわず 支援態勢なく乳児院
共同通信 10/1(日) 21:00配信

 神奈川県内のグループホーム(GH)で暮らす軽度知的障害の女性(31)が男児を出産し、育児を希望したが、乳児院に預けざるを得なくなっていたことが1日、分かった。GHでの受け入れがかなわず、GH以外で十分な子育て支援を受けるのも困難だった。

 知的障害者の出産や育児を巡っては、北海道江差町のGHで入居者が不妊処置を受けていたことが昨年、判明。これを受け、厚生労働省障害福祉や子育て関連施策を最大限活用して障害者の育児を支援するよう自治体に通知したが、実際には希望が宙に浮いてしまう現実が改めて浮き彫りになった。

 女性は神奈川県藤沢市社会福祉法人が運営するGHに住んでおり、同県内の企業に勤務。生理不順もあって、妊娠に気付いたときには22週を超えており、中絶の選択肢はなかった。行政などの支援を受け、今年4月に男児を出産した。

 交際相手とは別れ、シングルマザーとして子育てを希望。女性によると、GHに相談したが「精神障害のある他の入居者に男児の泣き声が悪影響を与える可能性もある」などと断られた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/48dd0de70c67b97f2109570108ffefe066cad5b2

 


軽度知的障害の女性ということは、主にIQで判定されているのだろうと思いますが、それだけで決めることは通常は行われないと思います。

実際に子育てができるかどうかはIQ以外の要素も含めて、児童相談所(生まれた子の要保護性を判断)、福祉事務所や知的障害者更生相談所(この女性の能力等について判断)、グループホームや女性の家族(連絡が取れて協力が得られる場合)が、そして女性本人の意向も踏まえて協議することになるのだろうと思います。

本来なら、この女性と別れたとしても、子どもの父親にあたる人物にも責任はありますし、意見も求めるところでしょうが、それが難しい場合は(母親が知的障害者でなかったとしても)多々あります。

グループホームが断った理由も、「女性によると」ということで、これだけでは是非が判断しにくいところです。


母親たる障害者の権利という観点では、母子を離さずに何とかできなかったか、という見方も可能ではあるでしょう。

が、児童相談所の立場とすれば、子どもの最善の利益は何か、ということが最優先事項というのが原則です。
母子での生活が現実的に難しいなら、先に挙げたような関係機関とも協議したうえで、乳児院への入所について了解するよう、本人に働きかけることはあり得ます。

 

なお、乳児院は永久に在籍できる施設ではありませんし、母親の状況の変化(身内の支援のほか、母子自立支援施設の利用が可能となるなど)によって母子の同居ができるようになる可能性もあります。