京アニ公判、被害者は一部匿名

京アニ公判、被害者の匿名審理に慎重な判断を…京都地裁に要望
読売新聞 2023/08/11 06:00

 36人が犠牲になった京都アニメーション放火殺人事件の裁判員裁判で、被害者の一部が匿名で審理される見通しになっていることについて、刑事法学者やジャーナリストでつくる「司法情報公開研究会」は10日、裁判は実名審理が原則だとして、京都地裁に慎重な判断を求める要望書を提出した。

 殺人や殺人未遂など五つの罪で起訴された無職青葉真司被告(45)の裁判員裁判は9月5日に始まり、来年1月25日に判決が予定されている。関係者によると、複数の遺族が匿名審理を希望し、京都地裁から認めるとの連絡があったという。要望書では「誰が被害者かを知ることは、裁判の妥当性を検証する上で不可欠」と指摘。各地の裁判で過剰な匿名審理が相次いでいるとして、「裁判の公開原則の重要性への認識が希薄になっている」と訴えている。
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20230810-OYO1T50049/

 


京アニ事件、いよいよ裁判開始です。
裁判関係者、特に裁判員の方々は、負担が大変大きいと思います。
長期にも渡りますし。

 

さて、被害者の一部を(遺族からの要望も踏まえ)匿名で審理することについては、冒頭の記事のようにいろいろ意見はあるだろうとは思います。

 

しかしながら、
「誰が被害者かを知ることは、裁判の妥当性を検証する上で不可欠」
これ、私には理解できません。

 

少なくとも今回の事件に関しては、被害者側に落ち度はなく(被告は会社を恨んではいますが、それが逆恨みかどうかは別にして、一般のスタッフに落ち度がなかったことは明白でしょう)、また匿名ではない被害者もいることから、被害者全員の氏名が裁判に必要不可欠な情報であるとは思えません。

被告側、加害者側の情報については、可能な限り明らかにする必要はあるでしょうが。

 

たとえば、被告が主張している「盗作」について、どんなアイディアをどの作品に盗用されたと被告が認識しているのか、可能なら明らかにしていただきたいと思います。
(万一、盗用であったとしても、被告の行為が許されるべきものでないのはもちろんではありますが。)

 

なお、このような一部匿名という要望が被害者の遺族から出された背景の中に、これまでのさまざまな事件に対するマスメディアによる取材や報道のあり方(メディア側が意図するかどうかは別にして)などが影響している面もあると思われます。
そのことについて、メディア側から自省的な意見が出ないことについて、私は残念に思っています。