飛行機ではスタッフの指示に従わないと危険

マスク着用拒否の乗客に執行猶予つき懲役2年の判決 大阪地裁
NHK 2022年12月14日 12時38分 

おととし関西空港に向かう旅客機で、マスクの着用を拒否して大声を出し、途中の空港に緊急着陸させたとして、威力業務妨害などの罪に問われた乗客に対して、大阪地方裁判所は執行猶予の付いた懲役2年の有罪判決を言い渡しました。被告は無罪を主張していました。

茨城県取手市の元大学職員、奥野淳也被告(36)はおととし9月、北海道から関西空港に向かう旅客機で、マスクの着用を拒否し客室乗務員に大声を出して腕をねじり上げ、途中の空港に緊急着陸させたなどとして、威力業務妨害や傷害などの罪に問われました。

裁判で、検察が懲役4年を求刑したのに対し、被告は「幼少期からぜんそくでマスクの着用は困難だ。着用するかどうかは個人に選ぶ権利がある」などと無罪を主張していました。

14日の判決で大阪地方裁判所の大寄淳裁判長は、乗務員への傷害罪は成立せず暴行罪にとどまるとしたうえで、「乗務員らの職務を阻害し安全を妨げた。考えを押し通そうとする思いが強く、自分の行為を省みていない」などとして、懲役2年、執行猶予4年を言い渡しました。

判決が言い渡されたあと、被告は「中世のような魔女狩り裁判だ。私は無罪でえん罪だ。到底容認できない」などと言いながら、裁判長に詰め寄っていました。

被告「差別感情や偏見に裁判官がとらわれ容認できない」 
裁判のあと、奥野被告は報道陣の取材に応じ、「暴行も妨害もしていない。このマスク社会で、マスクをしていないことに関する差別感情やさまざまな偏見に裁判官自身がとらわれている。誤った判決で容認できるものではない」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221214/k10013922651000.html


他メディアの情報を補足します。


ピーチ機運航妨害の「マスク拒否男性」に有罪判決…無罪主張でも垣間見えたいくつかの矛盾
日刊ゲンダイDIGITAL 12/14(水) 14:10配信
(略)
 機内でマスク着用を拒否した奥野被告は、近くの乗客から「気持ち悪い。こんなんと一緒に乗られへん。あっち行け」と言われ、激高。CAからマスクの着用か席の移動を求められたが、従わず、CAが機長名で〈安全阻害行為〉の命令書を渡そうとすると、「やれるならやってみろ」と挑発。CAの腕をひねってケガをさせた。仕方なくピーチは新潟空港に臨時着陸している。

 翌年4月、千葉県館山市の飲食店を訪れた際には、「マスクをして下さい」と言ってマスクを手渡した女性店員に対し、「オレはマスクをしねえ」と、その場に投げ捨てた。さらに「早く天丼を出せ、出せ、出せ」と怒鳴りながら、顔を10センチほどまで近づけ、女性に詰め寄った。

 女性は恐怖のあまり、後ずさりして転倒。経営者が「出ていって下さい」と言うと、「客に対して何言うとんや、ボケ」と悪態をつき、仲裁に入った男性と揉み合いになり、店の壁に穴を開けた。

 証人尋問では、ケガを負わされたCAが「被告はマスクを着用できない理由を明確にせず、顔を30センチまで近づけてきた。大声を出したので、飛沫が飛んでいるのが見えた。今でも男性に対して怖い思いがある」と、訴えた。

 一方、飲食店勤務の女性も「口からたくさんつばが飛んできた。怖かった。仕事が嫌になった」と涙を浮かべた。女性店員は事件後から精神的に不安になり、常に怯えるようになったという。
(略)
「『マスクをすることは絶対ありません』と言いながら、ホテルの防犯カメラなどには奥野がマスクを着用している姿が複数回、捉えられています。飲食店に対しては壁を壊したことを認め、示談を持ち掛けていた。マスクをしないのは、ぜんそくなど健康上の理由としながら、証明する診断書も提出していません。裁判では、保釈にあたってマスク着用の誓約書を提出したことも明らかになった。自分にとって都合の悪い質問には答えなかったり、はぐらかしていた」(司法記者)
(以下略)
https://news.yahoo.co.jp/articles/73b2843fdd277b56ec2caa3eb2c233cb8d1db451


マスク拒否でピーチ機緊急着陸 元大学職員に有罪判決 大阪地裁
毎日新聞 2022/12/14 10:08
https://mainichi.jp/articles/20221214/k00/00m/040/036000c?inb=ys

乗務員の女性は腕をひねり上げられて約2週間のけがをした。


【速報】マスク着用拒否、飛行機が緊急着陸 男に懲役2年、執行猶予4年の有罪判決 男は法廷内で「中世の魔女狩り裁判だ」などと叫ぶ
読売テレビ 12/14(水) 10:05配信
(略)
 14日の判決で大阪地裁は、「自らの考えを押し通すため各犯行に及んだ」「自らを顧みる姿勢に乏しい」と言及した一方で、「腕をつかまれたとする客室乗務員の供述は信用できず、暴行の程度は低い」などとして、懲役2年執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。
(以下略)
https://news.yahoo.co.jp/articles/898c8981ac315a8ffa62398a78a3e56b02318a9a

 


まず、(被告は認めたくないようですが)論点はマスク着用の有無ではなく、暴行または傷害、威力業務妨害など、飛行機の運行に危険を及ぼす可能性がある一連の行為というべきでしょう。

また、被告側の主張に、いろいろ矛盾というかつじつまが合わない点はあるようです。
「幼少期からぜんそくでマスクの着用は困難」ということについて診断書が出されていないのは「日刊ゲンダイDIGITAL」にも書かれていますが、たとえば飛行機搭乗の際にその旨(ぜんそくのこと)主張していたという情報はありません。

一方、客室乗務員の女性に対する「傷害」は認められませんでしたが、こちらも診断書等は提出していなかったのでしょうか?
それとも、提出していたが「被告が腕をつかんだことによる被害」とは認めなかったということでしょうか?

 

いずれにしても、有罪ということについては妥当と思いますが、反省は全くなく、再犯の可能性は相当程度以上にあるように思われます。
初犯の暴行事件ということで執行猶予となったのかもしれませんが、飛行機のスタッフの指示に従わずに暴行というのは、乗り物の特性上かなり危険を含んだ行為で、短くても実刑という選択もあり得たかな、という感想です。

あ、執行猶予期間に再犯させて実刑に持ち込む作戦ですか?
まさか。