あおり運転に殺人罪認定

あおり運転に異例の殺人罪認定、懲役16年判決

(読売新聞 2019年01月25日 21時16分)

 堺市で昨年7月、あおり運転で車をバイクに追突させ、男子大学生を死亡させたとして殺人罪に問われた無職中村精寛被告(40)の裁判員裁判で、大阪地裁堺支部は25日、殺人罪の成立を認め、懲役16年(求刑・懲役18年)の判決を言い渡した。安永武央裁判長は「怒りに身を任せ、後ろから一方的に衝突して落ち度のない被害者を殺害した。厳しい非難に値する」と述べた。あおり運転で殺人罪が認定されるのは異例。

 判決によると、中村被告は昨年7月2日夜、堺市南区大阪府道で乗用車を運転中、大学4年高田拓海さん(22)運転のバイクに追い抜かれたことに立腹。車線変更してバイクを追跡し、時速96~97キロで追突して転倒させ、殺害した。

 被告は公判で「車線変更は先を急ぐためで、追跡したわけではない。追突も故意ではなく、直前にブレーキをかけた」と殺意を否定。

 これに対し、安永裁判長は、検察側が証拠提出した、被告の車に搭載されていたドライブレコーダーの映像を基に、ライトをハイビームにして執拗しつようにクラクションを鳴らし、バイクに同調するように急加速させて車線変更したとし、「怒りに基づく威嚇で、意図的な追跡だった」と認定した。

 追突直前の状況については、高速度で車間距離を詰めた上、ブレーキも不十分で、重量がバイクの5倍もある被告の車が衝突すれば、常識的に死亡する危険は高いと指摘。「被告には被害者が死んでも構わないという気持ちがあった」と未必の故意による殺意を認めた。

 被告が衝突後に「はい、終わりー」とつぶやいた場面がレコーダーに記録されていた点は、「被告は『人生が終わった』と落胆して言ったと主張するが、軽い口調から悲しみや嘆きは感じられない」と言及した。

 その上で量刑理由について、殺意は瞬間的で強固でないとする一方、「被害者を死亡させる確実性の高い危険な犯行で命を軽んじる度合いが大きい」と述べた。

 あおり運転を巡っては、2017年に神奈川県の東名高速道路で一家4人が死傷した事故で、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)などに問われた男性被告に対し、横浜地裁は昨年12月、懲役18年の実刑判決を言い渡し、被告側が控訴している。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190125-OYT1T50055.html


今後、もし被告側が控訴するというようなことになれば確定とはなりませんが、一応は記録に残すべき判決ということで全文を引用しました。

あおり運転については、記事にもあるように危険運転致死傷など従来よりも重い刑罰を科すべきという流れが出てきています。

この殺人罪適用事件については「あおり運転」の中でもかなり悪質性が高く例外的要素が強いのかもしれませんが、それでも「あおり」で厳罰となることについて、自動車教習所や免許講習やネット上の話題などで注意喚起がなされるのは非常に重要なことだと思います。

個人的意見ですが、ハンドルを握ったときに性格が著しく攻撃的に変わるような人間は、運転免許を持つべきではないと考えます。

それをコトが起きる前に判定するのは至難の技ではありますが。