「水星の魔女」の謎と推理

しつこく、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』について。
(この件の前記事はこちら、というほどつながりがあることは書いていませんが。)
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2023/07/09/171101

 

<最終回終了後の謎>

1)スレッタの母、プロスペラは刑罰を受けなかったのか?

 クワイエット・ゼロを使っての騒動の責任はありますが、シャディクがクワイエット・ゼロの件の罪もかぶることを前提に公判に臨んでいるため、プロスペラの刑事責任は軽減されている可能性があります。また、これまでのモビルスーツ開発従事や過酷な生活の中で身体的に衰えがあり、刑の執行猶予や免除を受けているかもしれません。プロローグ(エルノア・サヤマとして登場)では、デリングらの陰謀で夫を失い、のちの水星生活で実子・エリクトも失っており(現在と同じ法体系なら、エアリアルに移されたエリクトは法的には生きた人間としては扱われない)、情状酌量があった可能性もあります。
 さらに、一連の事態の収束に功のあったスレッタ、ミオリネ夫妻(「夫妻」という異性間パートナーを示す用語が適当かどうかわかりませんが)が身元引受人となることで、これらの猶予または軽減の手続きが円滑に行われたという推測もできます。
 なお、最終回の最終場面は、事件から3年が経過した時点なので、比較的短期間の収監刑が、医療刑務所等で行われたという可能性も否定はしません。

 

2)その他の登場人物の刑罰はどうだったか?

 シャディクは3年を経ても、いまだに公判中ということで、クワイエット・ゼロの罪をかぶった分を含めて、かなりの重罪になる可能性はあります。ただ、死刑制度が廃止されている世界かもしれないので、終身刑、無期刑となるかもしれず、その場合は恩赦その他で娑婆に出る可能性がゼロではないでしょう。
 シャディクが罪を背負ったためか、いわゆるシャディク・ガールズもミオリネの護衛みたいについているので、彼女たちも執行猶予か罪の軽減か、あるいは短期刑で償い済か、というところでしょうか。
 なお、エアリアルから、さらにホッツさんに移ってしまったエリクトについては、やはり人間としての刑罰の対象にはなりません。
 これは個人的意見ですが、人道的に最も罰せられるべき罪を犯したのは、ペイル社共同CEOの4名と思います。歴代の強化人士にエラン・ケレスになりすますための整形手術などを受けさせたのは、曲がりなりにも本人同意があったとしても、強化人士4号を「処分」させたのは、明るみに出れば(あの時代のルールがどうであっても)刑罰は免れないはずです。彼女たちが財産を失ったとしても、それなりの老後を娑婆で過ごしていることを考えると、プロスペラが娘(たち)とともに穏やかな生活を送れていてもバチは当たらないのではないでしょうか。

 

3)水星に学校はできたのか?

 こちらは、ネット上で多くの声が出ています。最終回で、ミオリネがスレッタに「こっち(地球)でも学校を作るの?」と質問しているので、スレッタがもともと望んでいた水星には、すでに学校ができている、という見解が主流(というより、ほぼ全てか)のようです。
 私も賛成ですが、つけ加えるなら、その資金はどう調達したのかということ。
 プロスペラはシン・セー社CEOだったので、同社を清算して(あるいは売却して)資金を作った、という考え方もできますが、最終回の状況で正味プラス財産がどれほどあったかは疑問。ということで、クラウドファンディングのような形で資金を募集し、一連の事件収束にあたったスレッタたちの人気もあり、建設することができた、という考え方を推したいと思います。

 

4)エリクトは、なぜミオリネに同行していたか?

 最終回、事件から3年後では、ミオリネが宇宙でシャディクと面談し、その後、地球に降りて会社の代表として交渉の場に行ったり、スレッタがプロスペラたちといる場所に行ったりしています。その間、エリクトの意識を収納したホッツさん(マスコット)は、ミオリネに同行し、とくに「小姑として」話しかけたりします。
 実の母(プロスペラ)や妹(スレッタ。ただし、遺伝子的には妹ではなくクローンか)ではなく、ミオリネに同行したのはなぜでしょうか。
 プロスペラは後遺症等で急速に老化し、まともな会話が困難になっている、という可能性も一瞬考えましたが、少なくともスレッタはそうではありません。
 推測ですが(他の項目も基本的に推測に過ぎないのですが)、エリクトは宇宙が好きなのではないでしょうか。「穏やかな田舎での生活」を送っているプロスペラから離れようとしているわけではないと思いますが、幼少期、生身で(ノーマルスーツ等は着ているとしても)宇宙で過ごし、エアリアルに移ってからも「宇宙空間を肌で感じながら生きてきた」のでしょうから、やはり、ときに宇宙に同行するのは、希望するところではないかと思います。
 あと、意外に(?)ミオリネを気に入っている、ということかもしれません。そして、ミオリネもまんざらではないような。

 

5)プロスペラの車椅子(または現代の車椅子に似た何か)について

 最終回の最終場面で、スレッタとミオリネが立ち上がったとき、彼女たちと離れた斜面の下の方にプロスペラがいました。私たちが知る現代の車椅子なら、草が生えた斜面を上っていくのは、電動であっても介助者がいても難しいように思えます。しかし、スレッタたちはプロスペラの移動について、特に心配しているようには見えませんでした。
 プロスペラが座っているのは、現代の車椅子よりももっと高機能で、介助者がいなくても強力な動力で未舗装の斜面を登る能力があるか、いっそ反重力か短時間の飛行能力のようなもので、安全に上がっていけるような仕様になっているのではないでしょうか。そして、身体機能は衰えたとはいえ、プロスペラはそれをコントロールする程度には意識はしっかりしているのではないかと。
 その場合、その機器は、もちろんミオリネが経営している株式会社ガンダムが開発して販売かレンタルかしている商品ということになるでしょう。
 まあ、この件に限らず妄想ですが(笑)