核兵器廃絶の道は遠くても

G7広島サミットが終わりました。

 

私は「G7が正義」とは考えていません。
それぞれの国力も、以前よりは圧倒的ではなくなってきています。

しかしながら、現時点で、相対的には、よりマシな諸国であることも事実だろうと思います。
また、間違いは犯しても、それを自国内で指摘することができ、それによって生命を失うことがないということも、たとえば中露あたりとは異なります。

 

保有国が含まれていますが、その3か国を含めて原爆資料館の見学が実現したことは、やはりよかったと思います。

被爆者などから、批判はあります。
1)時間が短い。
2)被爆者との面談を含めて、見学内容が公開されなかった。
3)核廃絶に向けた声明がなかった。
4)米国から、原爆投下に対する謝罪がなかった。
5)バイデン大統領が「核のボタン」を原爆資料館に持ち込んだ。

 

関係者の心情からは理解できることもあります。

しかし、これらの条件を前提にしなければ訪問が実現しなかったのであれば、それでも実現した方がよかったと考えます。

1については40分程度。
もっと時間をかけてみてほしかった、という人はあるでしょうが、オバマ氏の10分程度(しかも一部の展示内容のみ)よりも本格的。
なお、私の感覚では、たとえ5分でも実物の展示を見たら、かなりのインパクトがあったはずです。

5については、「核のボタン」を手放せないことになっている立場の人が、それでも見学してくれた、という見方も可能です。

4については、米国内でもさまざまな意見があることは知っています。
「原爆で戦争が終結に向かったため何百万人もの生命が救われた」という考え方ですね。
その点について論争することで米大統領が訪問できない、ということよりも、ともかく今後の核使用が抑制されるように被害の実態を知ってほしい。
そういう考え方が、被爆者関係者にもあることも知っています。

 

という前提で、日本維新の会参議院議員鈴木宗男氏の5月17日のブログより。

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 「核なき世界」というなら、アメリカが先の大戦で広島、長崎に核を落とした事実について「使ってはいけないものを使った。深く反省しお詫びする」と世界に向けて言うべきではないか。
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米国は、少なくとも現在、核保有国として非保有国を脅したりはしていません。
(まあ、通常戦力だけでも優位に立っているということもあるかもしれませんが・・・)
まず、ロシアが「核保有国」としての立場で、ウクライナや、ウクライナを支援する国々を脅していることの方が問題でしょう。

ロシアが、「使ってはいけないものを使う、というような脅しをしてしまった、深く反省しお詫びする」と世界に向けて言うべきではないでしょうか。
鈴木氏は、そのことをプーチン氏に直言すべきです。

ああ、そんな勇気ないか。

 

話は戻って、G7や、ウクライナを含めた招待国の首脳たちの原爆資料館見学については、上の1~5の意見があったとしても、実現したことはよかったと思います。
何より、原爆資料館という言葉が、各国語に訳されて世界中(ある程度以上の報道の自由のある国限定かもしれませんが)に報道されたということ。
おりしも、新型コロナによる入国制限がなくなったという状況でもあり、世界中から原爆被害の実態を見に来てくださる人々が増えるのではないかと期待しています。

 

保有国でも、米英仏なら、核廃絶が理論的には可能です。
印パ、イスラエルなども、選挙による政権交代の仕組みは一応持っています。
では、中露鮮は? 西側諸国などから核兵器がなくなったときに、自主的に核廃絶に応じると思いますか?
そのあたりの道筋が見えてこないと、民主主義諸国でも核廃絶派の政党が政権を取ることは困難ではないでしょうか?

 

あと、G7首脳たちが記念植樹したときに、男女の(たぶん)高校生みたいな人たちがサポートにはいっていました。
かれらの世代が世界の指導者になる頃に期待ですね。道は遠くても。