凶行で国が動いた、か?

橋下徹さん「山上被告の行動で国が動いた。大きな問題」 首相襲撃事件、安倍晋三氏銃撃を引き合いに言及
中日スポーツ 4/17(月) 12:05配信

 元大阪府知事で弁護士の橋下徹さん(53)が17日、フジテレビ系朝の情報番組「めざまし8」にスタジオ出演。岸田文雄首相に向けて爆発物が投げ込まれた和歌山県の事件について言及し、故安倍晋三元首相が凶弾に倒れた事件も引き合いに出した。

 「安倍元首相を襲撃した山上被告のあの行動によって、報道だけじゃなくて実際に国が動いちゃった。法律を作って」。昨年7月、安倍元首相を山上徹也被告が襲った銃撃事件にも改めて踏み込んだ。

 続いて「旧統一教会をきちっと是正していく…。問題があれば対処していくのは当然」としつつも「国全体として見ると、山上被告の行動によって国が動いたっていう現実を作ってしまったってことは大きな問題」と事件を受け、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済を目的とした新法が施行された流れを問題視した。

 さらに「政治家は民主主義を守れということをすごい叫んでいるんですが、現代社会においては凶器はもう誰でも作れるようなそんな情報氾濫社会になってしまった」と現代の日本の状況を説明し、「こういうリスクある中で、果たしてこの要人が…、首相や大臣たちがああいう形での街頭演説をやり続けることはいいのか?」とリスクに対応した政治活動の在り方を議論する必要性があると訴えた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2cfec1e002c0325ae2f6e87e74985d1951707478

 


その番組の中での発言場面を見ていないので、橋下氏の真意とは異なる角度からのコメントとなる可能性もありますが・・・

 

「凶行によって国が動いた」ということへの危惧、ということについては理解できないこともありません。
私も凶行を肯定するつもりはありません。

 

しかしながら、

・「凶行によって直接、国が動いた」のではなく、以前から交渉・訴訟などによって被害者救済に努めていた支援団体などからの情報が、より広く社会に知られるようになったこと
・それによって、自民党安部派や、他の派閥、他党関係者を含めて、旧統一教会との関係について、マスメディアからの追及はもちろん、程度の差こそあれ(不十分ではあっても)自主的に公表せざるを得ないような風潮が生まれたこと

などを考えれば、「凶行はきっかけにはなっていても、法制定等の理由や原動力になったとはいえない」と私は思います。

本来は、凶行が起きる前に、被害者救済や、新規被害発生の防止策を取るべきだったというのはもちろんですが、凶行によってこういう現実が明らかになっているのに「凶行が起きたからといって法制定するのは問題だ」として国が動かないのは、もっと問題でしょう。

 

たとえば「貧困はテロの温床」といわれますが、
貧困対策を行うのは、テロに屈したことになるでしょうか?


ただ、「こういうリスクある中で・・・首相や大臣たちがああいう形での街頭演説をやり続けることはいいのか」という提起は、もっともだろうと思います。

選挙演説で、候補者や応援する有名政治家などが、聴衆に近いところで話しかけたり、手を握ったりというのは、特に伝統的な選挙手法としては重視されているようです。
候補者が、現職議員であれ、落選中などで次の選挙を狙う場合であれ、普段の政治活動として、地元有権者と近いところで話しかけるのは、まあ、自己判断でやったらいいでしょう。
しかしながら、選挙期間中に、つまり今回の岸田首相や昨年の安倍元首相のように狙われる危険を冒して聴衆に近づきすぎるのは、もう見直すべきではないでしょうか。
有権者との心理的距離を無理に縮めるのではなく、政策内容で有権者の理性に働きかけるべきです。

和歌山での首相と聴衆との距離は5mぐらいだった、との報道があります。
その番組の識者らしい人は、10mは必要というようなことを発言していました。
5mだと当選し、10mなら落選するというぐらいなら、その候補者は当選する資格がない、ぐらいの意識を持つべきかもしれません。

有権者の側から見れば、「選挙のとき(だけ)に親しそうにする人」ではなく、「優れた内容の政策を主張し、それを実行できそうな人」を選ぶというようにならなければいけない、ということですね。