国葬前夜雑感

前例から見る国葬の是非
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2022/09/07/212210

 

上のリンク先で書いたように、前例と比較すれば安倍晋三氏は国葬には値しないということになります。
日本の独立回復を実現した吉田茂氏(国葬)には及ばず、沖縄県小笠原諸島の返還を実現した佐藤栄作氏(国民葬・なお、死去時点では首相連続在任期間が最長で、首相通算在任期間も戦後最長だった)にも及ばないか、少なくとも佐藤氏を上回るとはいえません。

 

どうしても安倍氏国葬で送りたければ、国葬の基準を法制化すればよかった。
たとえば首相在任期間などの条件を入れるとか(それが妥当かどうかは別にして)。
与党が衆参両院とも多数派なのだから、やろうと思えばできたはずです。

 

なお、選挙応援演説中に殺害されたことだけをもって「民主主義に殉じた」などという考え方には、私は賛成できません。
その選挙応援演説で訴えたことに対する反対者が暗殺した、というわけではなく、旧統一教会との関係が動機になっているわけですし。
もし、旧統一教会との連携が安倍氏の政策の主要部分だったとしたら別ですが・・・そんなことは、安倍氏が存命だったとしても認めないでしょう。

 

もっとも、明日、国葬が行われるというような時期、すでに国外の多くの要人が出席のために入国しているようなときに国葬中止を決定するというのも現実的でないのはたしかでしょう。
(ちなみに、諸国の要人は、国葬だから出席するのではなく、故人の功績や生前の友好関係などを考慮して出席するのだろうと思います。たとえ、内閣・自民党合同葬であったとしても。)

 

そして、国民や学校関係者なども弔意を強制されない、ということについては、政府が明確にしています。
立憲民主党執行役員は欠席を決めたものの、他の議員・党員は本人の判断に委ねるとしたはずで、野田佳彦元首相(党執行役員ではない)が出席表明したことに対して党内から批判されるのはおかしい、ということになります。
一方、自民党村上誠一郎氏は、逆に欠席を表明して、やはり自党内から批判の声が上がっているようです。
これも変ですね。

 

ついでにいうと、各都道府県の知事などが国葬に公費で出席することについて、訴訟提起など批判の声があるようです。
でも、これ、知事を批判しても仕方がないでしょう?
おおもとの国葬を決めた人たちに物言うのはわかりますが。

まあ、こういう変な分断も含めて、岸田首相の責任というなら、それは理解できます。

 

で、安倍氏ですが、もし死後の世界があって、このような俗世の騒ぎを見たら、どうなのかな。
自分を国葬にするかどうかよりも、自分がやってきた政策、「自由で開かれたインド太平洋」などをしっかり受け継ぎ、強化していくことの方を望むのではないかな、と思います。
そしてもちろん、拉致被害者の全員帰国、それに北方領土問題の解決、これらこそが心残りで、現状は厳しい状況ではありますが、国葬云々よりもそちらに注力していただきたい、と。

 

ご冥福をお祈りします。