同性婚の周辺の諸問題

前記事でLGBTなど性的少数者の問題について触れました。
性的少数者が問題」という主張ではないので、念のため。)

では、オフレコ(破り)についてではなく、「同性婚」自体について。

 

憲法同性婚想定せず」 松野官房長官が見解
共同通信 2/8(水) 17:06配信

 松野博一官房長官は8日の記者会見で、婚姻は両性の合意のみに基づいて成立すると規定する憲法24条の解釈に関し「当事者双方の性別が同一である婚姻の成立、すなわち同性婚制度を認めることは想定されていない」との見解を示した。

 その上で、憲法24条が同性婚を禁止しているかどうかについては「政府は特定の立場に立っているわけではない」と述べるにとどめた。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6453265


公明北側氏、憲法24条「同性婚排除する規定でない」
産経新聞 2/9(木) 12:59配信

公明党北側一雄副代表は9日の記者会見で、同性婚を巡り、憲法24条の「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立」とする規定について「同性婚を排除するような規定ではないと理解している。憲法改正しないとだめだという趣旨ではない」と述べた。同時に「同性婚を認めるかどうかは国民的な論議が必要だ」とも語った。(以下略)
https://news.yahoo.co.jp/articles/e042830d770310eeb534472dd8ddde3f7be787c6

 


まあ、そうでしょうね。
つまり、憲法制定時には同性婚は想定されていなかった。だから排除の規定もない。

では、現状で民法や戸籍法などを改正すれば、簡単に同性婚が可能かといえば、けっこう難しいと思います。

すぐに思いつくだけでも、

A:戸籍や住民票の続柄はどうするか。
B:氏(姓)は同じか、別か、選択制か。
C:同性配偶者の子に対する親権を認めるか。

Aについては、同性配偶者のどちらかが夫、どちらかが妻を名乗るか、ということです。
同性愛者ではない私たちは、女性同性愛者でも男性同性愛者でも、それぞれ男役、女役があるようなイメージを持つかもしれませんが、調べてみると、そうとも言い切れないようです。
婚姻届に「夫もしくは妻」と書くか、どちらも「同性配偶者(仮称)」とするか、あるいは前者と後者の選択を可能とするか。

Bは、異性愛夫婦にもある問題ですから、現在の選択別姓制度と同様に検討するとして。

Cは、実は異性愛夫婦でも、継父や継母との関係では生じる問題です。
まあ、法的にはともかく(養子縁組すれば法的にも認められる)、実質上は継父母が保育所の送迎を行ったり、通院に同行したり、子が問題を起こしたときに学校に呼び出されたり・・・というのは普通にありますが。
実父母との婚姻で、姻族1親等の親族であることは間違いないので。

特に、Aについては、社会的に受け入れられるかということだけでなく、当事者がどのような制度を望むか、という問題もあるので、やはり同性婚の完全な制度化には時間がかかりそうに思います。

 

それなら、同性婚の完全な制度化まで放置してよいか、ということなら、これも問題が多そうです。

これも、ざっと思いつくだけで、順不同ですが、

1)同性パートナーの医療侵襲(手術など)の同意
2)それ以前に病状説明を受ける権利(あるいは義務)
3)介護サービス等の契約立会人、身元引受人、緊急連絡先
4)サービス担当者会議への出席
5)老人ホーム(各類型)の夫婦居室の利用
6)入院入所時の面会(特に看取り期や、感染症拡大で面会制限が厳しい時期)
7)公営住宅の入居条件上で夫婦と認められるか
8)勤務先の扶養手当、健康保険等の加入
9)税法上の扶養控除
10)パートナーの子の親権等(前述のCと同様)
11)相続、特別縁故者など
12)葬祭の主催、あるいは出席、遺骨等の管理
13)死亡時の未払年金、遺族年金等の受取り
14)民間保険で配偶者として扱われるか
15)不法行為(事故、殺人事件等)の損害賠償請求権

1~15の問題は、すでに現場の理解で対応されているもの、あるいは同性婚が制度化されれば解決するものもありますが、解決するとは限らないものもあります。

同性婚の制度化を、たとえば自民党保守派とか、韓国生まれの某宗教団体と同じ感覚の議員とかが容認するには相当の時間がかかりそうなので(時間をかければ必ず容認するかどうかも不明ですが)、A~C、1~15のような問題について当事者なり支援者なりの立場で検討、あるいは論点整理しておくことも、必要かもしれません。

そして、その結果を見て、一般国民も(選挙その他の機会に)判断するということも。