参院選公約斜め読み4

そろそろ、このシリーズも最後にしたいと思います。

今回は憲法改正について。

 

マスメディアは、改憲勢力が3分の2を超えた、超えない、などと話題にしますが、どういう方向に変えるかというのが重要で、自分の党が変えたいといっている以外の改正を容認するかどうか、というところまで詰めないと、なかなか実現はしないように思います。

公明党は連立維持のために自民党につきあっているとしても、9条改正については本音としては逃げ腰のような感がありますし、自民党はといえば、もともと提案していた自民党改憲案が内容的にはアレなので、今の主張もどこまで信じられるか、という点も気になります。
(9条とか自衛隊の位置づけの件ではなく、家族観、社会のあり方などが私と自民党保守層とでは差がある。夫婦選択別姓などが典型例ですが。)

 

参考:「ついでに自民党改憲案」(ただし、自民党案へのリンクは切れています)
https://jukeizukoubou.blog.fc2.com/blog-entry-1975.html

 

ちなみに、私は、自分が記事にした改正試案をけっこう気に入っています。

日本国憲法の改正試案」
https://jukeizukoubou.blog.fc2.com/blog-entry-2514.html

 

緊急事態条項については、改憲容認派の各党でそれほど差がないように思えますので、それに加えて自衛権についてどう表現するか、ということを検討すれば、合意の近道のように思いますが、党利党略もあり、うまくいきますでしょうか。

 

個人的には、現在の憲法9条でも自衛権は否定していないことを最高裁が明言しているので(砂川事件)、改正する場合には、「現憲法でも違憲ではないが、自衛権等についてより明確にするために改正する」というような形にしていただきたいと思います。
違憲とする学者が多いから改正する」というのではなく。

違憲かどうかを最終的に判断するのは、憲法第81条により最高裁判所です。
学者ではありません。

 

あとは、小ネタ。

 

「自主憲法制定」などと選挙公報に書いていた小政党がありました。
(自民など保守層にも、過去に同様のことを言っていた人がいました。)

 

今の日本国憲法は、GHQなどの押し付けだったのでしょうか?
日本の国会で、正規の手続きを経て可決されています。

GHQの圧力?
仮に、今のロシアがウクライナ全土を占領して、そこで「ウクライナ憲法」みたいなものを制定させるとしたら、ロシア側が提案した条文案に反対することは生命の危機につながるでしょう。
でも、日本国憲法の国会審議の際に反対しても、危害は加えられていません。

 

衆議院本会議で反対票を投じたのは「日本共産党の柄沢とし子、志賀義雄、高倉輝、徳田球一中西伊之助野坂参三、新政会の穂積七郎、無所属クラブの細迫兼光の8名」とウィキペディアにはあります。
(念のため、会議録でも確認済です。https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/#/detail?minId=009013242X03519460824

 

それから、GHQが来るまでは、女性の参政権はありませんでした(選挙権、被選挙権とも)。
だから、男性はともかく、女性の右翼の方がGHQの押し付けを理由として「自主憲法」などと主張するのは、少し滑稽な気がします。


あんたら、GHQが押し付けなかったら、参政権自体なかったやろ?

 

まあ、押し付けだろうが自主憲法だろうが、時代によって憲法に改正すべき点が生じるのは、ある意味当然ではあるのですが。

 

それから、同性婚について。
同性同士の婚姻届け提出を認めないことに対しての訴訟で、違憲と合憲と両方の判決があります(地裁レベル)。
いずれも、最高裁まで行ったとして、どうなるかまだわかりませんが、「同性婚を認めないのは違憲」とする判決でも、憲法第24条(婚姻は、両性の合意のみに基づいて・・・)には違反せず、第14条(法の下の平等)違反であるとしています。

原告側は「両性とは同性同士の場合も含む」と主張していますが、さすがにこれは無理でしょう。
憲法制定時には、現在のようなLGBTQの人々のことを想定していなかったと思われますので。

必要なら、この第24条のような家族などを取り巻く課題についても、議論していったらよいのではないでしょうか。

私自身は、必ずしも同性婚を認めるように改正すべき、とまでは考えていません(絶対に改正すべきでない、とも考えていない)。
ただ、家族についての考え方、実態は、多様化しています。
ドラマでも、アセクシャル、アロマンティックなどの概念が登場したものもありました。
法律上の配偶者や血縁者でなくても、家族としての結びつきがあるのなら、たとえば医療侵襲同意や、相続権その他について、現在法的に保護されている家族の権利(あるいは義務)と同様の、または準ずる身分を保証するようなことを議論していった方がよいのではないかと考えています。

これは憲法ではなく、民法改正として検討した方がよいのかもしれませんが。


あとは、憲法には直接関係ないお話。

 

社会民主党
・戦争反対!外交の力で、沖縄・南西諸島を戦場にさせない。
 →中国で主張してきてください。日本から戦争を起こすことはありません。
 →中国公船が日本漁船を追い回す件についてもお願いします。

 

NHK党
・年金受給者の受信料は無料にします!
 →経済的弱者の無料化は理解できないことはないが、年金受給者でも高額所得者(会社経営者・配当所得者等)はいる。一定の年金収入のみしかない高齢者等にしないとおかしいのではないか。
・裁判になったらNHK等が全額支払って終わらせる
 →払わない人間のみに政党資金を使うのは不公平。

 

幸福実現党
・無駄な役人や役所を今すぐ“減量”
 →無駄な政党に言われたくない。

 

日本維新の会
・しがらみのない政党(今回の選挙公報にはないが、しょっちゅう主張しているので)
 →(竹中平蔵氏のことはともかくとして)ロシアにしがらみのある人がいますよね?