外国で別姓婚した夫婦の訴訟2

前記事の続きですが、別の報道から。

 

海外婚夫婦 婚姻成立認めるも 別姓の戸籍記載認めず 東京地裁
NHK 2021年4月21日 22時02分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210421/k10012988321000.html

 

こちらは長いので抜粋です。

 

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(略)

判決で東京地方裁判所の市原義孝裁判長は、2人の結婚が成立しているかについて「日本の法律でも外国の方式に従って『夫婦が称する姓』を定めずに結婚することは当然、想定されている。婚姻の方式は婚姻を挙行した国の法律によると定められていることから、2人の結婚は有効に成立している」と指摘しました。

一方で「戸籍については家庭裁判所に不服を申し立てるほうが適切だ」として、訴えを退けました。

また「2人が『夫婦が称する姓』を決めないのは2人の事情であり、姓を決めて戸籍の記載を求めるのに何ら客観的な障害は見当たらない」などとして、別姓のまま戸籍に記載することについては認めませんでした。

(略)

法務省民事局は「政府の立場としては日本において2人の婚姻が有効に成立しているとは考えていない。この点については、国の主張が受け入れられなかったものと受け止めている」とするコメントを出しました。

(略)
夫婦別姓を認めない日本の民法の規定について国連の女性差別撤廃委員会からは「女性に対する差別的な法規制だ」として、速やかに改正するよう、たびたび勧告を受けています。

(略)日本でも国際結婚の夫婦については結婚の際に夫婦別姓を選べることになっています。

(略)
夫婦別姓を認めない民法の規定が憲法に違反するかどうかが争われた裁判では、2015年に最高裁判所が裁判官15人全員による大法廷を開いて判決を出すことになり、注目を集めました。

最高裁判所大法廷は判決で「夫婦が同じ名字にする制度は社会に定着してきたもので、家族の呼称を1つにするのは合理性がある」として憲法に違反しないという初めての判断を示しました。

一方で、裁判官15人のうち、女性裁判官3人全員と男性の裁判官2人の合わせて5人が、夫婦別姓を認めないのは憲法に違反するという意見を述べました。

この最高裁判決の後も、夫婦別姓を求める裁判は相次いで起こされています。

去年12月には、最高裁判所第2小法廷と第3小法廷が、夫婦別姓を求めた審判について、大法廷で審理することを決め、再び大法廷で憲法判断が行われることになりました。

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まず、「戸籍については家庭裁判所に不服を申し立てるほうが適切だ」というのがどういう意味か、私にはよくわかりません。家裁に不服申し立てして、ダメだったら、そのときに訴訟を起こしてね、という意味なのか。

 

さて、2015年の「裁判官15人のうち、女性裁判官3人全員と男性の裁判官2人の合わせて5人が、夫婦別姓を認めないのは憲法に違反するという意見」

という件ですが、こういうことを考えると、国会議員の女性比率がどうこうというより、最高裁の裁判官の男女比率の方が問題ではないか、という感じがします。少なくとも、五輪・パラの委員の比率なんかよりずっと重要ではないかと私は思います。

 

もうひとつ。医療侵襲(手術など)の同意や、入院入所の身元保証人について、「戸籍上の夫婦ではない配偶者」(言い方を変えれば内縁関係)は認められていますか?

いや、私はOKだと考えていますが、あなたの病院や施設ではどうですか?

同性カップルの、パートナーシップでの証明書などが話題になっていますが、こういう「戸籍上の夫婦ではない配偶者」についても、広く認められていく方向で考えていくべきではないかと思います。

 

あと、何回も書いてるけど、同姓でないと家族に一体感がないとか崩壊するとか、子どもに悪影響が出るとか、全くエビデンスが示されていないんですよね。だいたい、夫婦同姓って、明治31年になって法制化された制度に過ぎないし。

<参考>
https://jukeizukoubou.blog.fc2.com/blog-entry-2020.html

https://jukeizukoubou.blog.fc2.com/blog-entry-2021.html