外国で別姓婚した夫婦の訴訟1

米国で結婚した日本人夫婦、国内でも「別姓婚有効」 請求棄却も弁護団「実質的な勝訴」
弁護士ドットコムニュース 4/21(水) 15:33配信

アメリカで法律婚した日本人夫婦が、日本の戸籍に婚姻が記載されないのは、立法の不備があるなどとして、国を訴えていた裁判の判決が4月21日、東京地裁であった(市原義孝裁判長)。東京地裁は請求を退けたものの、判決の中では、国内でも別姓のまま婚姻関係にあることを認めた。原告の弁護団は「実質的な勝訴だ」と話している。

この訴訟は、選択的夫婦別姓訴訟を求める複数の裁判の一つで、裁判所が日本人夫婦に対し、別姓のまま婚姻関係を認めた初めてのケースとみられ、国政でも活発化している議論に影響を与えそうだ。

訴えていたのは、映画監督の想田和弘さんと舞踏家で映画プロデューサーの柏木規与子さん夫妻。訴状などによると、想田さんと柏木さんは、米ニューヨーク州で1997年、夫婦別姓のまま法律婚した。海外で結婚する場合、婚姻届を提出しなくても、現地の法律に基づいておこなわれれば、国内でも婚姻は成立しているとみなされる(法の適用に関する通則法24条2項)。

しかし、国内では、夫婦同姓でないと夫婦の戸籍が作成されないため、二人は法律婚した夫婦であるにも関わらず、戸籍上で婚姻関係を公証できない状態にあった。そのため、想田さんらは、「戸籍上、婚姻関係の証明が受けられる地位にあることの確認」や「国作成の証明書によって婚姻関係の証明を受けられる地位にあることの確認」「法に不備があるために被害をこうむっているとして、一人につき10万円の国家賠償」などを求めていた。

これに対し、国は、想田さんらが夫婦を称する氏(姓)を定めていないため、夫婦同姓を義務付けた民法750条の実質的要件を満たしておらず、「婚姻関係の証明を受ける地位にあるとはいえない」などと反論。そもそも婚姻が成立していないとして、争っていた。

選択的夫婦別姓をめぐっては、2015年に夫婦同姓を定めた民法の規定は「合憲」と判断されたが、その後、各地で夫婦別姓を求める訴訟が起こされている。
最終更新:4/21(水) 19:35
https://news.yahoo.co.jp/articles/c66b8f866df15dea1d168dd85577eef16740d670

 

 

地裁レベルの判決で、今後(どちらからも)控訴されるかどうかわかりませんが、私としては想定していなかった方向からの提起でした。

 

とりあえず、上の記事中の法律について。

 

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法の適用に関する通則法
(婚姻の成立及び方式)
第二十四条 婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。
2 婚姻の方式は、婚姻挙行地の法による。
3 前項の規定にかかわらず、当事者の一方の本国法に適合する方式は、有効とする。ただし、日本において婚姻が挙行された場合において、当事者の一方が日本人であるときは、この限りでない。

 

民法
(夫婦の氏)
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

 

ついでに

(婚姻の届出)
第七百三十九条 婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。

(外国に在る日本人間の婚姻の方式)
第七百四十一条 外国に在る日本人間で婚姻をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその届出をすることができる。この場合においては、前二条の規定を準用する。

(婚姻の無効)
第七百四十二条 婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
一 人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。
二 当事者が婚姻の届出をしないとき。ただし、その届出が第七百三十九条第二項に定める方式を欠くだけであるときは、婚姻は、そのためにその効力を妨げられない。

 

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民法第739条第1項で、戸籍法の規定で婚姻届を出すことにより婚姻の効力が生じる(だから、届出しなければ同法第742条第2項により無効)というのが国の考え方。

米国で結婚しても大使館や領事館に届出する必要があるし、その際に夫婦の氏(姓)を決めていなければ受理されない。

 

・・・と思っていたら、現地の法律(ニューヨーク州法?)では、そういう日本の民法や戸籍法の届出でなくても婚姻成立したから、法の適用に関する通則法第24条第2項により日本国内でも婚姻成立、ということですね。

 

いろいろ問題はあると思いますが、これはこれで、理屈に合っている面も。

少なくとも、今回の国の主張よりは理解しやすい、と私は思います。

 

(つづく)