去年全国の介護事業者倒産143件 8割が小規模経営
NHK 01月15日 11時10分
去年の介護事業者の倒産は143件と、これまでで最も多かった3年前を上回り、過去最多となったことが分かりました。
大半が小規模な事業者で、介護サービスの利用控えや物価高騰などで経営が悪化したとみられ、統計をまとめた信用調査会社は「今後も増える恐れがある」としています。
東京商工リサーチによりますと、去年1年間に倒産した介護事業者は全国で合わせて143件で、前の年の81件の1.7倍に増えました。
3年前の118件を25件上回って、2000年に始まった調査で最も多くなり、負債総額も過去最多の221億3800万円に上ったということです。
内訳はデイサービスなどの「通所・短期入所」が69件と最も多く、各地でデイサービスを展開していたグループ企業の連鎖倒産もあったということです。
そのほか「訪問介護」が50件、「有料老人ホーム」が12件、「その他」が12件となっています。
また、従業員10人未満の小規模な事業者の倒産が8割を超え、感染が拡大した時期の介護サービスの利用控えによる減収、食材などの物価や光熱費、燃料費の高騰の影響がのしかかり、経営悪化が進んだとしています。
東京商工リサーチは「介護現場ではヘルパーなどが不足して人材獲得競争も激化していて、今後も利用控えや物価高が続けば、小規模事業者を中心に倒産が一段と加速し、必要なサービスを受けられない人が増える恐れがある」と指摘しています。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230115/1000088571.html
しばしば制度の「持続可能性」というようなものが語られます。
特に、介護保険制度についてなら、財務省など「スポンサー筋」あたりから。
(本当のスポンサーは国税や地方税の納税者、あるいは介護保険料の負担者であって、財務省といえどもその代理人のひとつに過ぎないとは思いますが。)
それは「介護報酬を上げ過ぎると財政的に苦しいから上げるな」というような文脈で語られることが多いように思いますが、実際のところ、介護に携わる存在(事業者やそこで働く人々)がいなくなったら、「財政が苦しい」以前に制度の持続が困難になるわけです。
介護報酬などのあり方については、そのあたりのことも含めて議論していかないと、持続可能性どころの話ではなくなります。