旧統一教会の意見書は無理がある

統一教会、質問権行使は「違法」「一夜にして法解釈を変更」と批判…文科省に意見書
読売新聞オンライン 12/10(土) 5:02配信

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が、永岡文部科学相による宗教法人法に基づく質問権の行使について、「法律上の要件を欠いており、違法だ」とする意見書を文科省に提出していたことが、関係者への取材でわかった。意見書は11月24日付と12月2日付の2回にわたって出された。

 同法は、質問権の行使の要件を「法令に違反して、著しく公共の福祉を害する」行為の疑いがある場合と規定する。岸田首相は10月18日の国会答弁で、この規定でいう「法令違反」は刑事事件を指すとの見解を示したが、翌日には民法不法行為なども入りうると解釈を変更。永岡氏は、過去の民事訴訟で教団や信者らの不法行為責任を認めた判決などを根拠に、質問権を行使した。

 これに対し、旧統一教会は意見書で、民法不法行為は、質問権の行使の要件とされる法令違反には当たらないと主張。政府の解釈変更について、「一夜にして法解釈を変更しており、法治主義の理念に著しく反する」と指摘した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9e1ba8a90cf01572111feeda839a30399a03d3f6

 


では、宗教法人法を見てみましょう。

 

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(報告及び質問)
第七十八条の二 所轄庁は、宗教法人について次の各号の一に該当する疑いがあると認めるときは、この法律を施行するため必要な限度において、当該宗教法人の業務又は事業の管理運営に関する事項に関し、当該宗教法人に対し報告を求め、又は当該職員に当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者に対し質問させることができる。この場合において、当該職員が質問するために当該宗教法人の施設に立ち入るときは、当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者の同意を得なければならない。
 一~二 略
 三 当該宗教法人について第八十一条第一項第一号から第四号までの一に該当する事由があること。
2 前項の規定により報告を求め、又は当該職員に質問させようとする場合においては、所轄庁は、当該所轄庁が文部科学大臣であるときはあらかじめ宗教法人審議会に諮問してその意見を聞き、当該所轄庁が都道府県知事であるときはあらかじめ文部科学大臣を通じて宗教法人審議会の意見を聞かなければならない。
3 前項の場合においては、文部科学大臣は、報告を求め、又は当該職員に質問させる事項及び理由を宗教法人審議会に示して、その意見を聞かなければならない。
4 所轄庁は、第一項の規定により報告を求め、又は当該職員に質問させる場合には、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。
5 第一項の規定により質問する当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者に提示しなければならない。
6 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 

(解散命令)
第八十一条 裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。
 一 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。
 二 第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと又は一年以上にわたつてその目的のための行為をしないこと。
 三 当該宗教法人が第二条第一号に掲げる宗教団体である場合には、礼拝の施設が滅失し、やむを得ない事由がないのにその滅失後二年以上にわたつてその施設を備えないこと。
 四 一年以上にわたつて代表役員及びその代務者を欠いていること。
 五 第十四条第一項又は第三十九条第一項の規定による認証に関する認証書を交付した日から一年を経過している場合において、当該宗教法人について第十四条第一項第一号又は第三十九条第一項第三号に掲げる要件を欠いていることが判明したこと。
2~7 略

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「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」
とありますね。

「刑事事件に限る」とも「民法不法行為は除く」とも書いてありません。
刑法などではなく、民法などに違反した場合でも「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」はありますから、そもそも「刑事事件を指すとの見解」自体が変です。


まあ、それは岸田首相の責任ではありますが、間違ったことを訂正するのは、必要で適切な行為です。
「一夜にして変更」するのは、間違った解釈を押し通すよりは、ずっと正しい行為です。

 

この無理がある意見書の作成に関して、もし教団側が弁護士等に相談したとしたら、その弁護士等の資質にも疑問を抱きます。