基本に返る

保育所認定こども園など、送迎車に子どもを置き去りにするケースがよく報道されます。
過去には、高齢者や障害者の置き去りも、あったと記憶しています。
先日は、親が自家用車内に子を残したまま閉じ込めてしまっていたケースもありました。

国は、置き去り防止を送迎車の装備面から義務付ける対策を進めようとしています。
これだけ多発している現状では、どんな対策でも行わないよりはよいのでしょうが、どのような便利な装備も誤作動の危険性はゼロではありません。
ハード面の対策に頼り切るのは危険なようにも思います。

 

こういう問題こそ、基本に立ち返ることが大切ではないでしょうか。

 

施設の送迎車、自家用車を問わず、最後に全座席を点検する。
目視だけでも、忘れ物の有無も含めて、はっきりします。
(超小物は見落とす可能性がありますが、人間や傘などある程度以上の大きさのものは、ざっと見ただけでも気がつくはずです。)

送迎を行った人間(運転者も、もしいたら同乗者も)が、この1分もかからないであろう点検ができないとしたら、その理由は何か、突き詰めていけばいいのです。
送迎から帰ってきて、すぐに施設内の業務につく必要があるというのなら、その必要性をなくす。
(送迎時間+1分でも2分でも確保する。)
送迎から帰ってきて、すぐに施設外行事に出かけなければならないようなスケジュールは組まない。

 

保護者が自家用車で送迎する場合は、保育所などとは違った大変さがあるかもしれません。
しかし、ワゴン車など座席が多い車体だったとしても、社会福祉施設の送迎車よりは、点検に時間がかからないはずです。
点検というより、後部座席(あったとしても、1列追加がある程度)を目視すればいい話です。
子どもが乗っているかどうかにかかわらず一瞥するように習慣づけておけば、たとえば後部座席に傘などを置き忘れすることがなくなります。

 


<蛇足その1>

保護者による置き去り対策として、「保育所側から保護者側に、欠席かどうか連絡を取るべき」という視点もあるようですが、保育所の現状、あまり現実的な対策ではないような気もします。
また、保育所など「出席を確認する目的地」ではない場所でのケースでは役に立ちません。
一方、複数のお子さんが保育所等を利用する場合、なるべく同一の施設に、というような配慮は望ましいと思います(定員上、可能な場合)。


<蛇足その2>

安倍晋三・元首相が襲撃された事件についても、警備体制等について検証が行われていると思いますが、警備の素人ながら、これにもついでに。

あの事件では、警備に携わる人員の不足や警備計画の不備などがいわれているようですが、これも基本に返るべきではないかと思います。

要人警備の目的は?
「要人を守ること」が目的です。
「襲撃者を取り押えること」は、要人を守るための手段であって、要人警護の目的ではありません。

あの奈良での映像等を見ると、容疑者に向かっていこうとする人間は何人もいますが、守るべき安倍氏のそばで、安倍氏を伏せさせようとする動きは、ついに間に合いませんでした。
安倍氏の至近に警備担当者がいなかった、ということは、指摘されていたと思います。)

容疑者を確保したとしても、要人が死傷すれば失敗です。
容疑者が逃げたとしても、要人が無事なら成功です。

警備の人員を増やすこと、警備計画を見直すこと、結構でしょう。
でも、ゾーンディフェンスであろうが、マンツーマンディフェンスであろうが、みんなが襲撃者を取り押えようと集まってしまったら、陽動で反対側から別の襲撃者が現れたときに対応できません。
キーパーのように、ゴールの至近で守る役割が必要不可欠です。

 

ああ、当たり前のことばかり書いてしまった。