被保護者がトンデモ団体の代表?

反ワクチン団体「神真都Q会」代表理事を逮捕 生活保護費を不正受給疑い
産経新聞 11/8(火) 19:38配信

生活保護費を不正受給したとして、大阪府警警備部は8日、詐欺容疑で、新型コロナウイルスの反ワクチン団体「一般社団法人神真都(やまと)Q会」代表理事、村井大介容疑者(53)=静岡県掛川市富部(とんべ)=を逮捕した。「言い分については頭の整理ができていない。弁護士と相談して伝えたい」などとし、容疑については黙秘しているという。

逮捕容疑は4~7月、約620万円の収入を得ていたにもかかわらず、大阪市此花区に虚偽の申告をし、4回にわたって生活保護費計約51万円を詐取したなどとしている。

府警によると、村井容疑者は、同会への寄付金をホームページで募り、自身の銀行口座で管理。2~7月ごろに約7200万円が入金されていた。村井容疑者は4~6月、そのうち計約620万円を6回に分けて引き出し、自身の引っ越しに伴う家電製品の購入などに充てていたという。

村井容疑者は4月中旬に大阪市此花区から堺市、9月上旬に静岡県にそれぞれ引っ越したが、転居の届け出をしていなかった。

府警によると、神真都Q会は「コロナウイルスは存在しない」などと主張する団体で、村井容疑者が実質トップだという。

同会は、今年1月ごろから大阪や東京など全国でワクチン接種に反対するデモを開催。3~4月には、他のメンバーがワクチン接種会場だった東京ドーム(東京都文京区)などに押し入って抗議活動を行ったとして建造物侵入罪で起訴されている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8da2fed5820c6702efccbe4f444a9bc220156491


読売新聞オンライン 11/8(火) 20:53配信
 捜査関係者によると、同会は米国で陰謀論を唱える「Qアノン」と呼ばれる集団の日本支部を自称。
https://news.yahoo.co.jp/articles/800e650459533814f9f57de54c6fbab66dbf4fc8

 

関西テレビ 11/9(水) 12:33配信
警察によると、「神真都Q会」は新型コロナウイルスのワクチンに反対する団体で、村井容疑者は寄付金およそ7200万円のうち、およそ620万円を自宅の引っ越し代に使っていたということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ae951a58e5b5ae484bfb5374680400eff85eb4a5

 

ABCニュース 11/9(水) 12:34配信
また、4月に堺市へ、9月には静岡県へと引っ越したことを隠し、此花区から生活保護費を受け取り続けていたことが捜査関係者への取材で新たにわかりました。
此花区は村井容疑者に対し、9月分の生活保護費についても、返還請求をしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/27515d3a84eca1c44aaa7d92e3071195ae09756c

 


メディアによって微妙に違うので、一番詳しそうだった産経を全文記載し、他のメディアの内容も一部引用しています。
それにしても、ツッコミどころがありすぎて、何から触れるのか迷う案件です。

 

まず、間違いないだろうと思われるのは、4月中旬に堺市に転出した以降の、大阪市此花区から支給された保護費の返還義務。
なお、生活保護法第61条には、生計の状況の変動、居住地等の異動があったときの届出義務が規定されています。

 

次に、「一般社団法人神真都Q会」への寄付金のうち620万円を口座から引き出して、引っ越しに伴う電化製品の購入等に使っていた件について。

620万円の電化製品て何?・・・というのは置いといて。

 

一般社団法人から見れば、これ、横領にならないの?
怪しい団体といえども一応は一般社団法人という法人で、代表理事の権限がどのように規定されているのかわからないのですが、団体や寄付の目的とも異なるであろう、代表理事の個人の家財購入に費消するのは、明らかに目的外使用でしょう。

で、仮に代表理事としての報酬として引き出したのなら、それは村井容疑者個人の収入だから、当然、生活保護法上の収入申告義務の対象となります。
それを怠って保護費を受給したことについては、不正受給であり、保護費の返還義務が生じます。
故意でしょうから、当然、詐欺罪。

横領、詐欺、どちらか。あるいは両方か。

 

さて、コロナ禍で、ケースワーカーの被保護世帯への訪問についても、
「当分の間、緊急対応等最低限度必要なもののみ実施することとされたい」
という通知が令和2年に出されています。

感染防止等のための生活保護業務等通知
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2020/04/09/220850

この手の取扱いは現在も有効のようですが、もし「新型コロナウイルスの弱毒化」で「社会、経済を回していくべき」という考え方でいくのなら、もうそろそろ見直してもよいのではないでしょうか?
つまり、感染対策(マスク等)は行いながら、非保護世帯への家庭訪問は(効率的に)適切に実施する、と。
電話で状況確認、といったって、たとえば被保護者が携帯電話で答えれば、大阪市の住宅ではなく堺市静岡県に住んでいたってわからないのですから。
それに、家庭訪問すれば、たとえ玄関先で短時間面談するにしても、何らかの異常に気づく可能性もあるはずですから。

 

それにしても、(自称)「Qアノン日本支部」・・・

被保護者でも、思想信条や、ワクチンを接種するかどうかの選択は個人の自由ですが、社会に虚偽を広める団体活動とはねえ。
村井容疑者の保護開始理由がどんなものだったか知りませんが、それだけのエネルギーがあれば、地道に働いて生活保護から脱することも可能だったのでは?


<参考>
生活保護
第61条 被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があつたとき、又は居住地若しくは世帯の構成に異動があつたときは、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならない。

(罰則)
第八十五条 不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。ただし、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条があるときは、刑法による。
2 略

「刑法に正条があるときは」刑法が優先ということで、より重い「懲役10年以下」が適用になります。

刑法第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。