立場を守るためにウクライナを貶めてはいけない

「野良犬と一緒。挨拶できひん奴は一緒や」ウクライナ人女性 上司のパワハラ被害を提訴 ロシア侵攻「ウクライナも悪い」と聞こえるように発言か
MBSニュース 9/9(金) 11:10配信

「アカギヘリコプター」の奈良市にある基地に勤務していたウクライナ人の女性が、上司から「野良犬」などと言われるパワハラを受けたとして、慰謝料などおよそ550万円を求めて、9日奈良地裁に提訴しました。

提訴したのは、ウクライナ国籍の27歳の女性です。訴状によりますと、女性は2018年から「アカギヘリコプター」の奈良市にある基地で契約社員として働いていましたが、上司から「お前は何もしていないのに何で給料をもらっているの」などと度重なるパワハラを受け、上司への挨拶を拒否すると「野良犬」と言われたということです。

2020年に録音された上司とのやり取りでは、「野良犬と一緒。挨拶できひん奴は野良犬と一緒や、俺からしたら気持ち悪い。」などの音声が記録されていました。

女性「あの日の言葉 今でも響いている」

訴状では、ロシアのウクライナ侵攻をめぐるやり取りにも触れています。

女性が、ウクライナ法で反逆罪に問われる可能性があるため、ロシアとの取引業務について避けたいなどと申し出ると、上司は「仕事を選ぶ人間」とメールを送付したり、女性に聞こえるように「ウクライナも悪い」などと発言したということです。女性は当時勤務していた会社に対し、慰謝料などおよそ550万円の損害賠償を求め、奈良地裁に提訴しました。会社側は「弁護士に対応を任せている」とコメントしています。

記者会見に臨んだ女性は「あの日の言葉は今でも響いています」「もう少し人間として扱ってくれると期待していたが、そうではなかった」などと、声を詰まらせながら話しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f7aa0a1060910b347dbb9cc847ec7fe0a1108bc0

 


訴状を見ていないので、ここでは裁判の行方についてはコメントしませんが、

>「ウクライナも悪い」などと発言

ということについて。

 

この会社に限らず、ロシアと取引等の関係があったりして、今回のロシアによるウクライナ侵攻(及び日本を含む諸国のロシアに対する制裁や、ロシアからの対抗措置など)に悪影響を受けている人々や組織(法人等)は少なくないだろうとは思います。

たとえば、この会社の上層部や、前記事の鈴木宗男氏(日本維新の会参議院議員)が、
「ロシアとの関係を維持して、中立的な立場になってもらわないと我が社が(あるいは鈴木氏の地元の北海道関係者が)損害を受ける」
というようなことを主張したとしたら、そういう主張があること自体は理解できないことはありません。
(実際にロシアに対してどのような対応を行うか、というのは、日本全体の国益を踏まえて適切に考える」というあたりが政府の答弁になると思いますが。)

 

しかしながら、

>「ウクライナも悪い」

この発言、必要ですか?

いや、ウクライナ政府のやること(行ったこと)が無謬で、全て正しい、とまではいいません。
(日本政府だって、他の西側諸国だって、無謬で間違ったことはしていない、とはとてもいえない。)

しかしながら、ロシア系住民の保護などを理由に、独立した国連加盟国たるウクライナの領土に実質的に侵攻し(これは2014年の話)、2022年には本格的に侵略の軍を起こし、民間人の殺害や性的暴行(被害者には低年齢、ローティーンの少女などを含む)、児童を含む多数のウクライナ国民のロシア領への拉致、原発への攻撃や不法占拠、ウクライナ産小麦など農産物の強奪、これらの戦争犯罪やそれに類する行為の隠蔽のための虚偽の宣伝など、ロシアが行ってきたことは比べものになりません。

電車内(もちろん全車両禁煙)で喫煙していた男が、注意した高校生に逆切れして暴行して重傷を負わせたという事件が1月にありましたが、鈴木氏やアカギヘリコプターの上司氏の発言は「注意した高校生にも悪いところがある」というようなものです。

 

ロシアとの関係がおかしくなって、自分たちの立場が苦しくなる、というのはまだわかる。
しかし、その根本原因をつくったのは、ロシアです。
ロシアに直接抗議できないのはともかくとして(いや、抗議すべきあろうと思いますが)、自分たちの立場のためにウクライナを貶めるのは間違っています。