タモリステーションの話の続きです。
スイープの説明のところで、北京五輪女子カーリング準決勝・スイス戦の場面が出てきました。
第5エンド、日本が一挙に4点取ったビッグエンドです。
鈴木夕湖選手がスイープすることによって、わずかにコースを変え、藤澤五月選手のダブルテイクアウトを完成させた、というような解説だったと思います。
カーリングのスイープは、ソチ五輪の頃までは、距離を延ばすこと、曲がらないようにすることしかできないと考えられていました。
ストーンを投げるときに、時計回りか反時計回りか、どちらかの回転を掛けているので、ウェイト(この場合はスピード)が遅ければ曲がりやすく、速ければ曲がりにくい。
ブラシの摩擦熱で氷を溶かし、摩擦力を減らしてストーンの速度を上げる、というような理屈です。
ところが、方法によっては曲げることもできる、ということに気づいた人たちがいました。
おりしも道具の改良があり、曲げたい方向にこすれば曲がる、と。
これについては賛否両論あったようですが、ある種のブラシは禁止され、ある種のブラシは使えるということで、現在に至っているようです。
(だから、ロコ・ソラーレの誰かさんのような「曲げたい、曲げたい」というようなコール(観客や視聴者は、こういうコールがあった方が楽しい)は、以前はなかった、はず。)
で、その準決勝スイス戦、第5エンドの藤澤選手の最終投あたりについては、こちらの記事で触れたことがありますが、
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2022/05/05/165457
もう一度、動画を確認してみました。
藤澤選手は時計回りの回転を与えてストーンを投じました。
(だから、潜在的には画面の左側方向に曲がろうとする要素があるということなのでしょう。)
「ヨー」(スイープして)コールが続きます。バイススキップの吉田知那美選手のコールですが、藤澤選手の声も混じっていたかもしれません。
ダブルテイクアウトを狙う速いショットなので、鈴木選手、吉田夕梨花選手は走りながらスイープを続けます。
ホグラインを越えてハウスに近づいたあたりで、コールは「ウォー」(スイープしないで)に変わりました。
スイーパーの2人は見守りながら追いかけます。
ハウスに入ったあたりで(ちょうどタモリステーションで紹介された画面のあたり)鈴木選手は斜め方向に(つまり画面で右側に動く力を与えるように)わずかにスイープしました。コールは(私の耳では)「ウォー」のままでした(速いウエイトだからコールを変えても間に合わなかっただろう、と素人ながら思いました)。
ほとんど一瞬の微修正。
オリンピックの頃、私は全く気づいていませんでした。
セカンドは「男女共通で、世界的にやらかす人が多い気がする」とは、セカンドの鈴木選手自身の発言ですが、こういう一瞬の判断を見せられると、多少「やらかす」ことがあるとしても、それを補ってあまりある価値の選手だという認識になります。
なお、画像は適当につぎはぎして作ったものなので、正確性はなく、あくまでイメージぐらいにお考えください。
と書いたのですが、諸事情を勘案して再作成してみました。これも正確ではなく、イメージです。(2022/08/12)