フィンランド、NATO加盟申請へ

フィンランドは「NATO加盟申請すべき」首脳が表明。ウクライナ侵攻を受けて決断【声明全文】
ハフポスト日本版 5/12(木) 18:10配信

ロシアの隣国であるフィンランド政府が5月12日、北大西洋条約機構NATO)に加盟申請する立場を明らかにした。

旧ソ連との戦争を経験したフィンランドは冷戦期から中立政策を取り、NATO加盟を避けてきた。しかし、2月に始まったロシア軍のウクライナ侵攻を受けて安全保障への脅威が高まる中で決断した格好だ。

ニーニスト大統領とマリン首相の共同声明が大統領府の公式サイトに掲載された。声明全文の日本語訳は以下の通り。

大統領府公式サイトに掲載された共同声明全文
この春、フィンランドNATO加盟の可能性に関する重要な議論がなされました。

議会と社会全体がこの問題に関する立場を確立するには時間が必要でした。NATOとその加盟国、そしてスウェーデンと緊密に国際的な連絡を取るには時間が必要でした。私たちは議論の時間を与えたいと考えていました。

意思決定の瞬間が近い今、私たちは議会内のグループや政党に情報をもたらすために、公平な見解を述べます。

NATO加盟はフィンランドの安全を強化するでしょう。NATOの一員として、フィンランドは防衛同盟全体を強化するでしょう。フィンランドは速やかにNATO加盟を申請しなければなりません。

この決定を下すために必要な国の措置が、今後数日以内に迅速に行われることを願っています。

サウリ・ニーニスト(フィンランド共和国大統領)
サンナ・マリン(フィンランド首相)
https://news.yahoo.co.jp/articles/55162aac4f78520df6fe058f42571db263b32dcc

 


先日、フィンランドのサンナ・マリン首相が来日し、首脳会談のほか、東大での講演なども報道されていました。
今の国際情勢からは本質的な問題ではありませんが、女性でかつ36歳の若さということで、日本では目立つということは事実でしょう(なお、フィンランドでは大統領は象徴的存在で、議院内閣制の首相に実権があります)。

 

ジェンダーギャップ指数の上位から
1位)アイスランド 2位)フィンランド 3位)ノルウェー 4位)ニュージーランド 5位)スウェーデン
107位)中国 120位)日本
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2022/01/13/213156

 

ということで、フィンランド首相以外に

カトリーン・ヤコブスドッティル(アイスランド首相)
ジャシンダ・アーダーン(ニュージーランド首相)
マグダレナ・アンデション(スウェーデン首相)

と並ぶと、日本との違いが鮮明になります。
(もっとも、「中国が日本より上位」というのは、この指数の欠陥のようには思いますが。)

 

さて、本題。
ロシアの隣国は、ロシアから見て北西方向から順に反時計回りに、

ノルウェーフィンランドエストニアラトビアリトアニアポーランドベラルーシウクライナジョージアアゼルバイジャンカザフスタン、中国、モンゴル、北朝鮮

と並びます。
海峡を隔てての隣接となれば、日本、アメリカも入ります。

これらの諸国の中で、ロシア領に攻め入る意思と能力の両方をもつ国はあるでしょうか?


そんなモノ好きな国は、プーチン氏が思っているほどはありません。
フィンランドは、第二次世界大戦中に冬戦争、継続戦争と当時のソビエト連邦と戦い、侵略者であるソ連軍に多大な損害を与えながらも、最終的に国土の1割を失いました。けれど、フィンランド側から「失地回復」としてロシア領に攻め入ることはないでしょう。
日本も北方領土問題を抱えていますが、あくまで交渉で返還を求める立場です。
アメリカは、少なくとも通常兵器(核兵器など以外)ではロシアに優越しているでしょうが、これまたアメリカから攻め入ることは考えられません。

 

もし、ロシア領内に侵攻する意思と能力がある国があるとすれば、それは中国以外にないでしょう。
今は、中露間は(アメリカなど西側諸国との対峙上)奇妙な協力関係がありますが、もしロシアが極端に弱体化すれば、沿海州など清時代に失われた領土を回復しようとする動きを中国が見せる可能性は否定できません。

 

フィンランドのような(ロシアにとっても相対的に)善良な隣人が距離を置こうとしているのも、すべてプーチン氏の自業自得ではありましょうが、さて、今後どうなることか。