大帝国の夢の跡

以前から、ちょっと作ってみたいな、と思っていた地図です。

 

f:id:jukeizukoubou:20220326162305g:plain

 

歴史上、大帝国といわれる国々の最大領域を、ひとつの地図に落としたものです。

メルカトル図法だったか、高緯度ほど面積が大きめになってしまう図なので、ロシア帝国が最大のように見えますが、実際は(この図では)モンゴル帝国が最大です。

なお、境界は正確ではありません。たとえばモンゴル帝国の北辺は目安に乏しく、このあたりまで夏草が生えて遊牧ができるかな、ぐらいの認識だったのではないかと個人的には思っています。

それから、ロシア帝国の最大領域は、アラスカをアメリカに売却する前なので、樺太は日露の境界不分明ということで点線にしています。

 

各国の領域が重なり入り組んで非常に見にくいです。

「わが民族の最大領土を回復」などというスローガンが無理、無謀であることがよくわかります。たとえば、沿海州は中露の係争地になりますよね。

 

余談ですが、ローマ帝国(というより、共和政時代を含めた古代ローマ)は世界の文明上で重要な有形・無形の遺産を残しましたし、イスラム帝国ウマイヤ朝だけでなく、その後のアッバース朝も)も、化学やゼロの概念(ゼロの発見はインド人ですが)の普及など、当時の最新先進国として大きな役割を果たしました。

オスマン帝国ハプスブルク家などからは嫌悪されたと思いますが、軍事だけでなく文化的にも繫栄した時期があります。

モンゴルは破壊のイメージが(特に欧州では)強いかもしれませんが、ユーラシア東西の交流という意義は十分にありましたし、宗教的寛容など評価すべき点もあります。

中国については、最後の王朝の清朝を代表させました。自国民への弾圧等はあったものの、文明史への貢献という点では、歴代王朝とも輝かしい歴史を有しています。チベットなど領域内他民族の自治権も(今の政権よりもずっと)確保されていた時代の方が主流です。

ロシア帝国は、領域は大きく、陸軍力もそれなりにありましたが、上の諸国に比べれば、文明史上の貢献度はパッとせず、国民も豊かではなかったように思います。他の諸帝国は、欠点は多少なりともあるものの、その当時の地球上でトップクラスの豊かさを国民に享受させたか、何かユニークな幸福のようなものを提供したか、という印象があるのですが・・・

もっとも、政府はともかく、国民(または民族)文化としては、文学、音楽、バレエなど、特に芸術系に秀でた伝統はあったように思います。