タラソワ発言

タラソワ氏が坂本花織の金メダルに不満 ロシア勢不在に「本当の勝利とは言えない」
東スポWeb 3/26(土) 19:25配信

 ロシアフィギュアスケート界の名指導者であるタチアナ・タラソワ氏(75)が、世界選手権(フランス・モンペリエ)の女子シングルで金メダルを獲得した坂本花織(シスメックス)について〝物言い〟をつけた。

 ロシアメディア「スポーツエクスプレス」によると、タラソワ氏は坂本の結果を受けて「彼ら(出場選手)の中では一番優れていただけです。彼女たち(ロシア勢)がいなければ、本当の勝利とは言えないでしょう」と真の勝者でないと決めつけた。ロシアのウクライナ侵攻で、フィギュア界をけん引する北京五輪金メダルのアンナ・シェルバコワ(17)や同銀メダルのアレクサンドラ・トルソワ(17)といった同国勢が出場禁止となっていることを踏まての不満だった。

 タラソワ氏はショートプログラムで坂本が首位発進した時も、ロシアメディア「RBCスポーツ」によると「彼女はすべてきれいにこなしたが、20年前のスケートだ。彼女は最高難度の要素を持っていなかったし、うちの子たちは技術的な完成度が常に進化している。どこでも1位になることは間違いないでしょう。日本人はよく滑ったけど、間違いなく最高レベルではない」と酷評。今回のような世界選手権では、何かを言わずにはいられない心境のようだ。
最終更新:3/26(土) 20:00
https://news.yahoo.co.jp/articles/997e2aa64666580d02679aef17b54d6f6890ff61

 


本当のところは、タラソワ氏が原語(ロシア語か英語かフランス語か)で、どのような表現だったか、というのも関係するかもしれませんが、とりあえず報道されている内容で考えます。

 

まず、ロシア勢が万全の状態で出場していたら、坂本選手が優勝できなかった可能性は高いだろうと私も思います。

 

私自身は、政権に不都合な情報が規制されているロシア国内に、より正確な情報を入れる方が望ましいという考え方ですから、ロシア選手がISU(国際スケート連盟)主催の大会に出場することを認めるという選択肢もあってよいという立場です。
https://jukeizukoubou.hatenablog.com/entry/2022/03/06/153544

ただ、ロシアに対する反発が大きい国々が多いということ(それぞれの選手団を含む)、十代など若い選手が多いロシア選手の心身の安全性などを考えると、ロシア選手排除というのもやむを得ないかな、とも思っています。

でも、それで大会が開催され、ルールに従って優勝者が決定されたからには、その優勝者が「真の勝者」なのです。


タラソワ氏の立場として、たとえばISUなど運営者側を批判することは、ある意味理解できないことはありませんが、それで坂本選手を貶めるような発言は、タラソワ氏自身の評価を貶めることのように思えます。

で、坂本選手について「20年前のスケート」というのは、(これこそ原語を確認したいところですが)正確でも妥当でもないでしょう。

 

日本選手権やロシア国内の独自大会を比較しても意味がないので、ISUの大会の採点結果を比較してみます。

 

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今年の北京オリンピックでのシェルバコワ選手が最も高得点ですが、今回の世界選手権の坂本選手も、昨年の世界選手権のシェルバコワ選手を上回る得点を挙げています。
シェルバコワ選手は昨年の世界選手権から今年の北京オリンピックにかけて22点以上上げていますが、坂本選手も30点近く上昇しています。
というか、滑るたびに得点が上がっていくような・・・五輪年で一度ピークを作った後に世界選手権でさらに上げるのは難しいと思うのですが・・・
若い人たちが伸びていくのは、どの国の選手でも楽しみですよね。

 

まあ、それはいいです。
坂本選手については、ペアの元世界チャンピオンのミーガン・デュアメルさんが「無謀なスピードも大好き」と言っているらしいですし。
ジャンプに入る前、降りた後のスピードは際立ってると思うから、「無謀なスピード」って表現はよく合っているのだろうと思います。
https://news.yahoo.co.jp/articles/28576c8395bd8de0efb6011cba7cfb560addc0b9

 

それより、本当に深刻なのは、シェルバコワ選手の所属の表記です。
FSR」とか「ROC」とか、国名以外の表記が続いていますね。
シェルバコワ選手自身の責任ではないでしょう。
ロシアの指導者など大人の責任です。

 

あ、タラソワ氏や、たとえばプルシェンコ氏などがドーピングに関わっているなどということは、私は考えていません。
ですが、ロシアのスポーツ界の体質が、「バレなければなにをやってもいい」みたいなところが残っていませんか?
生物・化学兵器などをめぐるどこかの大統領や軍部の虚偽発言みたいに。

 

それこそ、前世紀の感覚ではありませんか?
「20年前のスケート」どころではありません。