大雨災害・介護報酬等の取扱い1

令和2年7月6日付け事務連絡

各 都道府県/指定都市/中核市 介護保険担当主管部(局)御中

  厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室/高齢者支援課/振興課/老人保健課

 令和2年7月3日からの大雨による災害における介護報酬等の取扱いについて

 今般の令和2年7月3日からの大雨による災害について、被災地域が広範に及ぶとともに、緊急的な対応が必要であることから、介護報酬等の取扱いについて、下記のとおり整理することといたしました。
 つきましては、管内市町村及びサービス事業所等への周知を徹底して頂きますよう、よろしくお願いいたします。
 なお、事業所等が被災したことにより、一時的に指定等に係る基準(以下「指定等基準」という。)、介護報酬の基本サービス費や加算の算定要件を満たすことができなくなる場合等がありますが、以下に示すものは例示であり、その他の柔軟な取扱いを妨げるものではないことを申し添えます。

                  記

1.各サービス共通事項
(1)新たに介護が必要になった場合の要介護認定の取扱い
 被災等により他の市町村に避難した者について、新たに介護が必要となった場合は、避難先の市町村において要介護認定の事務を代行し、事後的に避難元の市町村に報告する等の柔軟な取扱いとしても差し支えない。
 その際、認定の重複を避けるため、可能な範囲であらかじめ避難前の市町村と連絡をとる等、適切な対応を図られたい。

(2)避難所や避難先の家庭等において居宅サービスを提供した場合
 避難所や避難先の家庭等で生活している要介護者及び要支援者に対して居宅サービスを提供した場合においても、介護報酬の算定は可能である。
 サービスの提供に当たっては、市町村、地域包括支援センター、指定居宅介護支援事業所等との連携を図り、できる限りケアプランに沿って、必要な介護サービスを確保するよう努めること。

(3)被災等のために介護保険施設等の入所者が、一時的に別の介護保険施設医療機関等に避難している場合
 別の介護保険施設医療機関等に一時的に避難している場合、原則として、避難先の施設等へ入所・入院等を行い、避難先の施設等が施設介護サービス費や診療報酬を請求すること。
 ただし、一時的避難の緊急性が高く手続が間に合わない等やむを得ない場合に、これまで提供されていたサービスを継続して提供できていると保険者が判断したときは、避難前の介護保険施設等が施設介護サービス費等を請求し、避難先の介護保険施設医療機関等に対して、必要な費用を支払う等の取扱いとしても差し支えない。

(4)やむを得ない理由により、避難者を居室以外の場所で処遇した場合
 被災等による避難者が介護保険施設等に入所した場合において、やむを得ない理由により、当該避難者を静養室や地域交流スペース等居室以外の場所で処遇を行ったときは、従来型多床室の介護報酬を請求することとして差し支えない。なお、本来処遇されるべき場所以外の場所におけるサービス提供が長期的に行われることは適切ではないため、適切なサービスを提供可能な受け入れ先等の確保に努めること。

(5)認知症専門ケア加算の算定要件について
 今般の災害等やむを得ない事情により、新規利用者の受け入れ等を行った事業所については、認知症専門ケア加算の要件の算出の際、当該利用者数等を除外して差し支えない。

(6)サービス提供体制強化加算の算定要件について
 今般の被災等により、介護職員等の増員や新規利用者の受け入れ等を行った事業所については、サービス提供体制強化加算の有資格者等の割合の計算の際、当該職員及び利用者数等を除外して算出してもよい。また、サービス提供体制強化加算の算定要件として定期的な会議の開催を求めているサービスについては、今般の被災等により、やむを得ず当該要件を満たすことができなくなった場合についても、当該加算の算定は可能である。

(7)サービス事業所等が被災したことにより、一時的に指定等基準や介護報酬の算定要件に係る人員基準を満たすことができなくなる場合
 指定等基準や基本サービス費に係る施設基準、基準以上の人員配置をした場合に算定可能となる加算(看護体制加算など)、有資格者等を配置した上で規定の行為を実施した場合に算定可能となる加算(個別機能訓練加算など)については、利用者の処遇に配慮した上で柔軟な対応が可能である。

(8)被災したことにより賃金改善実施期間内の処遇改善が困難な場合における処遇改善加算(介護予防・日常生活支援総合事業において介護職員処遇改善加算及び介護職員等特定処遇改善加算相当の事業を実施している場合を含む。)の取扱いについて
 [1] 賃金改善計画における賃金改善実施期間内の賃金改善が困難な場合
  賃金改善計画における賃金改善実施期間を令和2年7月以降までに設定している処遇改善加算の申請事業者においては、被災したことにより、当該計画期間中の賃金改善の実施が困難となる事例も想定されるところである。
  こうした事業者については、被災したことに伴い、賃金改善計画内の処遇改善加算の従業者への支給が困難となり、かつ期間を超えて処遇改善加算の従業者への支給がなされることが見込まれる場合、都道府県等の判断において、当該年度の賃金改善実施期間を超えて従業者に対して支給された処遇改善加算の額を賃金改善額として認めて差し支えないものとする。
 [2] 実績報告書の取扱い
  [1]の場合の事業者の実績報告書の取扱いについては、各事業年度における最終の加算の支払いがあった月の翌々月の末日までに、都道府県知事等に対して実績報告書を提出することとなっているが、今般の被災状況を踏まえ、都道府県等の判断において、提出期限を適宜延長することができるものとする。

 

(つづく)