(大雨)被災した障害者等に対する支給決定等1

事務連絡
令和2年7月6日

各 都道府県/指定都市/中核市 障害保健福祉主管部(局) 御中

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 企画課自立支援振興室/障害福祉課/精神・障害保健課

令和2年7月3日からの大雨による災害により被災した障害者等に対する支給決定等について

 この度の令和2年7月3日からの大雨による災害(以下「当該災害」という。)により、災害救助法(昭和22年法律第118号)の適用市町村(以下「被災市町村」という。)において被災した障害者又は障害児の保護者(以下「被災障害者等」という。)に対する支給決定等については、下記のような取扱いとなりますので、管内市町村、障害福祉サービス等事業者、指定自立支援医療機関等への周知をよろしくお願いいたします。
 また、介護給付費等の取扱いについて、別添のとおり疑義解釈をまとめましたので、当該疑義解釈につきましても、管内市町村、障害福祉サービス等事業者等への周知をよろしくお願いいたします。

                   記

I.障害福祉サービス等関係
1.他の市町村に避難した被災障害者等に対する支給決定について
(1)当該災害の被災により避難先の市町村の区域内に居住地を有するに至った被災障害者等に係る介護給付費等の支給決定については、避難先の市町村において、現行のとおり障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号。以下「障害者総合支援法」という。)第19条から第22条までの規定、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第21条の5の5から第21条の5の7までの規定等に基づき行うものであること。補装具費の支給についても同様であること。
 また、当該災害の被災により他の都道府県(指定都市及び児童相談所設置市を含む。以下同じ。)の区域内に居住地を有するに至った障害児の保護者に係る障害児入所給付費の支給決定についても、避難先の都道府県において、児童福祉法第24条の2及び第24条の3の規定等に基づき行うものであること。
(2)(1)の取扱いの際、被災市町村又は被災市町村が属する都道府県(以下「被災市町村等」という。)において現に支給決定を受けている被災障害者等に係る支給決定の内容、障害支援区分等については、避難先の市町村又は都道府県において当該被災市町村等に確認すること。
 ただし、被災市町村等に確認できない場合は、受給者証等の確認、被災障害者等に対する聞き取りなどの結果等を勘案して支給決定を行われたい。
(3)一時的な避難の場合など居住地が依然として被災市町村等にあると認められる場合における支給決定については、当該被災市町村等が行うものであること。この場合において、市町村審査会を開催できない等の事情により、通常の支給決定の手続をとることができないときは、既存の資料を活用するとともに、被災障害者等に対する聞き取りなどの結果等を勘案して支給決定を行われたい(支給決定の変更をする場合も同様の取扱いとする。)。
(4)また、障害支援区分認定者の転出入の際の障害支援区分認定証明書の取扱いについては、支給決定通知において示しているが、被災地から転出した障害支援区分認定者が転入先市町村に提出する障害支援区分認定証明書について、転出元市町村が当該証明書を発行することが困難な場合においては、転入先市町村は、改めて認定調査及び市町村審査会における審査判定手続きを経ることなく、被災障害者等からの聞き取りの結果等を勘案して、障害支援区分を認定しても差し支えない。
(5)被災障害者等につき緊急にサービスの提供が必要な場合については、市町村又は都道府県は、必要なサービスを速やかに提供するため障害者総合支援法第30条の規定による特例介護給付費等や児童福祉法第21条の5の4の規定による特例障害児通所給付費を支給することができることとされているので留意されたい。
 なお、やむを得ない事由により介護給付費等又は障害児通所給付費及び障害児入所給付費の支給を受けることが著しく困難であると認められる場合は、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第18条第1項若しくは第2項、知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)第15条の4若しくは第16条第1項第2号又は児童福祉法第21条の6若しくは第27条第1項第3号の規定による措置を採ることができることとされているので留意されたい。

2.受給者証等の提示について
 当該災害の被災により受給者証又は施設受給者証(以下「受給者証等」という。)を紛失し又は家屋に置いたまま避難している等の事情があり受給者証等を提示することができない場合には、障害者総合支援法第29条第2項ただし書又は児童福祉法第21条の5の7第10項及び第24条の3第7項ただし書の規定により受給者証等を提示しなくても指定障害福祉サービス等又は指定通所支援及び指定入所支援を受けることができるものであること。
 この場合、サービス事業者等においては、受給者証等を交付している被災市町村等に当該被災障害者等に係る支給決定の内容について確認されたい。
 ただし、サービス事業者等において被災市町村等に確認することができない場合には、当該被災障害者等から、受給者証等の交付を受けている者であること、氏名、生年月日、居住地及び支給決定の内容を聞き取ることにより、指定障害福祉サービス等又は指定施設支援を提供することとして差し支えない。
 なお、被災により受給者証等を紛失した被災障害者等に対しては、上記の取扱いについて周知するとともに、可能な限り速やかに再交付申請を行うよう勧奨されたい。

II.自立支援医療関係
1.他の市町村等に避難した被災障害者等に対する支給認定について
(1)被災障害者が当該災害の被災により避難先の市町村等の区域内に居住地を有するに至った場合、育成医療及び更生医療については、避難先の市町村において、精神通院医療については、避難先の都道府県及び指定都市において、障害者総合支援法第52条から第54条までの規定等に基づき支給認定を行うこととする。
 また、精神通院医療の申請書は居住地の市町村を経由することとしているが、この取扱いについても、避難先の市町村を経由すること。
 なお、この場合、支給認定の申請の際に添付することとされている世帯の所得の状況等が確認できる資料等の書類については、実情に即した弾力的な対応として差し支えないものとする。
(2)一時的な避難の場合など居住地が依然として避難元の市町村(精神通院医療は都道府県及び指定都市と読替える。以下同じ。)にあると認められる場合、当該避難元の市町村が支給認定を行うこととする。この場合において、通常の支給認定を行うことができないときは、既存の資料を活用するとともに、被災障害者等に対する聞き取りなどの結果等を勘案して支給認定を行われたい(支給認定の変更をする場合も同様の取扱いとする)。
(3)新規申請に係る有効期間の始期の取扱いについては、当該災害の影響により申請を行うことが相当期間困難であったと認められる場合に限り、市町村の判断により、申請日又は医師の意見書(診断書)作成日を有効期間の始期とする取扱いをしても差し支えない。
 なお、更生医療については、身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者の要件があることから、有効期間の始期の取扱いに注意すること。
(4)被災障害者等に対する支給認定に当たっては、必要な自立支援医療が円滑に提供されるよう、関係市町村相互に十分連携の上、柔軟に対応されたい。

2.受給者証の提示等について
 「令和2年7月3日からの被害による被災者に係る公費負担医療の取扱いについて」(令和2年7月5日付け厚生労働省健康局総務課ほか事務連絡)に基づき実施すること。
(参考:事務連絡抜粋)
自立支援医療受給者証を提示できない場合においても、医療機関において自立支援医療受給者証の交付を受けている者であることを申し出、氏名、生年月日及び住所を確認することにより、受診できるものとする。
 また、緊急の場合は、受診する指定自立支援医療機関と自立支援医療受給者証に記載する指定自立支援医療機関の名称が異なる場合においても、事後的に支給認定の変更を行うことで差し支えないものとし、さらに、指定自立支援医療機関以外の医療機関でも受診できるものとする。

 

(つづく)