泉佐野市ふるさと納税訴訟判決

ふるさと納税をめぐっての最高裁判決は、泉佐野市が勝訴、というより国が敗訴した感じですが、
泉佐野市長のコメントが、同市サイトに掲載されています。


ふるさと納税にかかる不指定取消請求事件の最高裁判決に対する市長コメント
令和2年6月30日
泉佐野市長 千代松 大耕

先ほど最高裁判所において、本市が大阪高等裁判所の判決に不服として上告しておりました「ふるさと納税制度の不指定取消を求めた裁判」について、勝訴したとの連絡がありました。
最高裁が本市の主張を認めてくださったことに対し、深く感謝申し上げます。
また、この裁判を支えてくださった弁護士の先生方、そして、この2年にもおよぶ国との闘いをずっと応援してくださった泉佐野市民と全国の寄附者の皆さま、地方自治体の皆さまに心より感謝申し上げます。

昨今の新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて、インバウンドが大きく減少しているため、関空に最も近い街である本市もきびしい状況に立たされております。
また地域医療で非常に大きな役割を果たしている「りんくう総合医療センター」もコロナの影響で大変きびしい経営環境にあり、このふるさと納税制度の不指定を合わせた3つの大きな苦難の中に本市がさらされていました。
また他の自治体様では、コロナの影響を経済的に受けている業種に対して、ふるさと納税を活用した様々な取り組みをされていますが、本市においては残念ながら実施できない状況があります。市長として非常に歯がゆく、正直、ふるさと納税があればいろいろと実施することができるのではないかと考えることは何度もあり、非常にくやしい想いでございました。

そういったこともあり、この判決は、本当にうれしく、ありがたいものでございます。
ただし、今日の判決は、あくまでも令和元年度のふるさと納税制度における不指定取消を認めていただいたものであり、本市の今後の制度参加が保証されたわけではありません。
総務省には本市が勝訴したことの意味を考えていただき、早期に指定いただくことを望みます。

今後、本市がふるさと納税制度に復帰することができたなら、しっかりと法令を遵守し、全国の地方自治体と協力して、よりよいふるさと納税にしていくためにあらゆる努力をしていきたいと考えております。
http://www.city.izumisano.lg.jp/topics/saikousai.html


法的には当然の判決で、総務省が戦術を誤った(というか、根本的には、法改正前のふるさと納税制度の出来が悪かった)、という感があります。
一方、他の自治体からは、こういう声もあります。


都市部の自治体「あれだけメチャクチャなやり方したのに」…泉佐野市勝訴
読売新聞 7/1(水) 10:45配信

 総務省の通知に従ってきたある自治体の担当者は「通知を無視しても制度に参加できるという判決は、従っていた自治体からすれば、不公平と思うところもある」と疑問を呈した。ふるさと納税で多額の税収が流出している都市部の自治体は「あれだけめちゃくちゃなやり方をしたのに、復帰するかもしれないことに驚いている。今度は基準を守ってほしい」と話した。
(読売新聞 2020/07/01 11:33)
https://news.yahoo.co.jp/articles/e173eaecdfcd4e33dce0d51151aa9e904284593b


判決中にも、こういう部分があります。

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 確かに、泉佐野市は、多くの地方団体が自律的に返礼品の見直しを進める中で、返礼割合が高くかつ地場産品以外のものを含む返礼品の提供を続けた上、本件改正法が成立した後も、本件改正規定の施行直前までの予定で、キャンペーンと称し、従来の返礼品に加えてアマゾンギフト券を交付するとして、返礼品を強調した寄附金の募集をエスカレートさせたものであり、このような本件不指定に至るまでの同市の返礼品の提供の態様は、社会通念上節度を欠いていたと評価されてもやむを得ないものである。
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でも、最高裁は同市勝訴の判決を出さざるを得なかった。他の自治体職員や首長も、同市に対してどうすることもできません。

でもね。こういう泉佐野市が制度に復帰したとして、そこに「ふるさと納税」するかどうか、ということは、国民ひとりひとり(厳密には国民でなくてもいいのですが)が決めることではあります。
冒頭の市長のコメントの中に、判決文で指摘された「社会通念上節度を欠いていた・・・」という部分に明確には反省の弁もないことですし、こういう自治体に「ふるさと納税」すべきではない、と私は考えています。
(もともと縁が薄い自治体ですから、する義理はないのですが。)

 

同市出身だとか、特に縁があった、とかいう方は別ですが、こんな自治体に出す金があるのなら、もっと別のところにする方が、今は妥当だわなあ。
自治体でなくても寄付金控除が可能な公的団体もあるし。