新型コロナウイルス・廃棄物の適正処理等

前記事に出てきた1の通知です。

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令和2年3月4日付け環循適発第2003044号・環循規発第2003043号

都道府県知事・各政令市市長殿

   環境省環境再生・資源循環局長(公印省略)

 

   新型コロナウイルス感染症に係る廃棄物の適正処理等について(通知)

 廃棄物行政の推進につきましては、かねてから御尽力いただき、厚く御礼申し上げます。
 廃棄物処理における新型コロナウイルス感染症に係る感染症対策については、「廃棄物処理における新型コロナウイルスに関連した感染症対策について(通知)」(令和2年1月22日付け環循適発第2001225号・環循規発第2001223号環境省環境再生・資源循環局長通知)において「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル 」(平成30年3月。以下「マニュアル」という。)に基づく対策について通知し、「廃棄物処理における新型コロナウイルス対策の実施等について(通知)」(令和2年1月30日付け環循適発第20013010号・環循規発第20013027号環境省環境再生・資源循環局長通知)により、「廃棄物処理における新型インフルエンザ対策ガイドライン 」(平成21年3月。以下「ガイドライン」という。)の内容に準拠した適正処理について通知したところです。
 現在、国内の複数地域で感染経路が明らかでない新型コロナウイルス感染症の感染者が散発的に発生している状況にあり、政府においては、新型コロナウイルス感染症対策を更に進めていくため、令和2年2月25日付けで「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を決定したところです。
 廃棄物処理は国民生活を維持するために不可欠なサービスの1つであり、新型コロナウイルス感染症に係る廃棄物を適正に処理しつつ、それ以外の廃棄物の処理についても安定的に事業を継続することが求められています。
 つきましては、廃棄物処理における新型コロナウイルス感染症対策が適切に実施されるよう、下記事項に御留意いただき指導監督始め必要な措置の実施に努めるとともに、貴管下廃棄物処理業者及び市町村等並びに医療関係機関等(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)別表第1の4の項の中欄に掲げる施設をいう。)に対し周知徹底
をお願いします。また、廃棄物処理における新型コロナウイルス感染症対策に関するQ&Aを、環境省のウェブサイト 3 に掲載しておりますので、御参照ください。なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に基づく技術的な助言であることを申し添えます。
・・・https://www.env.go.jp/recycle/kansen-manual1.pdf
・・・http://www.env.go.jp/recycle/misc/new-flu/index.html
・・・http://www.env.go.jp/saigai/novel_coronavirus_2020.html

                   記

一 医療関係機関等から排出される感染性廃棄物については、マニュアルに基づき適正に処理すること。
 排出事業者に対しては、施設内での保管の際に、他の廃棄物が混入するおそれがないように必要な措置を講ずること及び腐敗するおそれのある廃棄物については腐敗の防止のために必要な措置を講ずること、また排出の際に、容器に入れて密閉すること及び感染性廃棄物である旨等を表示することなど、適正処理の観点から排出事業者が行うべき必要な措置等について周知を行うこと。
 また、廃棄物処理業者に対しては、新型コロナウイルス感染症に係る廃棄物に限らない様々な感染性廃棄物の処理の委託を受けた廃棄物処理業者が、遅滞なく適正に処理する必要があること及び医療関係機関等が新型コロナウイルス感染症を含む様々な感染症に対する医療等の極めて重要な業務を遅滞なく継続する必要があることから、これらの継続的な業務の妨げとならないよう、正当な理由なく、新型コロナウイルス感染症に係る廃棄物とその他の感染性廃棄物の分別や特別な表示を求めることは慎むよう周知すること。

二 医療関係機関等以外から排出される、感染性廃棄物に該当しない廃棄物についてはガイドラインに準拠し適正に処理すること。
 なお、現時点では、一般的な状況における新型コロナウイルス感染症の感染経路は飛沫感染及び接触感染であると考えられている。これは新型インフルエンザと同様であることから、新型コロナウイルス感染症についても、新型インフルエンザ対策と同様に通常のインフルエンザに係る廃棄物の処理と同様の方法により処理することで感染を防ぐことが可能と考えられる。このため、作業員が新型コロナウイルスに触れることなく収集運搬及び処分すれば作業員が感染することなく処理できるものと考えられること。
 感染性廃棄物に該当しない廃棄物についても個別の状況を踏まえて感染性廃棄物に準じた処理を行うことを妨げるものではないが、そのために必要な容器等の手配等により当該廃棄物の処理が遅滞した場合には、かえって公衆衛生上のリスクが高まるおそれがあることなどを考慮に入れ、国民生活を維持するために不可欠なサービスである廃棄物処理体制の維持に十分に配慮すること。

三 ガイドラインにおいては、「新型インフルエンザの感染者が使用したマスクやティッシュ等の呼吸器系分泌物が付着した廃棄物」は「ゴミ袋等に入れ封をして排出するなど、通常のインフルエンザの感染に伴い家庭等から排出される廃棄物と同様の取扱い方法で適正に処理されれば、廃棄物を媒体とした新たな感染をもたらすおそれはないと考えられる。」としており、家庭等において新型コロナウイルス感染症の感染者が使用したマスク等の廃棄についても同様の取扱いをすることで感染を防ぐことが可能と考えられることから、住民等から問合せがあった場合には適切に案内すること。
 また、この点についてウェブサイト等を通じて住民等に周知するよう努めること。

四 家庭等において新型コロナウイルス感染症の感染者が使用した後に廃棄されたマスク等については一般廃棄物となり、市町村又は一般廃棄物処理業者が適正に処理する必要があること。
 ガイドラインにおいては、感染防止策として「手袋、マスク等の個人防護具の使用」や運搬車両、施設等の「定期的な清掃及び消毒の実施」などを想定しており、これは一般廃棄物の処理が安定的に継続されるために有用であると考えられる。「ごみ処理基本計画策定指針」(平成28年9月)において、災害時を想定したものではあるが、市町村は一般廃棄物処理事業を継続するための事業継続計画を一般廃棄物処理計画等に反映することとしており、また、市町村は一般廃棄物の統括的処理責任を有することから、市町村及び一般廃棄物処理業者における個人防護具の確保を含む感染防止等の事業継続のための取組に努めること。

五 従前より、一部の自治体において、事前協議制等により域外からの産業廃棄物の搬入規制を事実上行っている事例が見られるが、感染性廃棄物の処理業者の作業員等が新型コロナウイルス感染症に感染した場合などには、当該地域における感染性廃棄物の処理が滞ることも想定されるところ、生活環境の保全上の支障の発生を防止し、迅速に処理を行う観点から、これらの搬入規制の廃止等を可及的速やかに実施されたいこと。