介護保険最新情報Vol.881(8)

2.新型コロナウイルス感染症に感染した者が発生した場合の取組
 社会福祉施設等の利用者等(当該施設等の利用者及び職員等をいう。)に新型コロナウイルス感染症に感染した者が発生した場合には、感染拡大防止の観点から、以下の取組を徹底する。
 なお、特段の記載(【 】の中で記載しているもの。)がない限り、新型コロナウイルス感染が疑われる者※が発生した場合も同様の取扱いとする。その際、以下の記載のうち「濃厚接触者」は「感染が疑われる者との濃厚接触が疑われる者」と読み替えるものとする。
※「新型コロナウイルス感染が疑われる者」:
 社会福祉施設等の利用者等であって、{息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(倦怠感)、高熱等の強い症状のいずれかがある者、発熱や咳など比較的軽い風邪の症状等が続く者(高齢者・基礎疾患がある者・妊婦である利用者等については発熱や咳などの比較的軽い風邪の症状等がある者})、医師が総合的に判断した結果、新型コロナウイルス感染症を疑う者であって、PCR陽性等診断が確定するまでの間の者。

(1)情報共有・報告等の実施

○ 利用者等において、新型コロナウイルス感染者が発生した場合、当該事業所等は、速やかに管理者等への報告を行い、当該事業所内での情報共有を行うとともに、指定権者(障害福祉サービス等にあっては、当該利用者の支給決定を行う市町村を含む。以下同様。)への報告を行うこと。また、当該利用者の家族等に報告を行うこと。
○ また、当該利用者の主治医及び担当の居宅介護支援事業所等に報告を行う。
 【新型コロナウイルス感染が疑われる者が発生した場合は、{主治医や地域で身近な医療機関、受診・相談センター等}に電話連絡し、指示を受けること。速やかに管理者等への報告を行い、当該施設内での情報共有を行うとともに、指定権者への報告を行うこと。また、当該利用者の家族等に報告を行うこと。】

(2)積極的疫学調査の協力

○ 感染者が発生した場合は、保健所の指示に従い、濃厚接触者となる利用者等の特定に協力すること。その際、可能な限り利用者のケア記録の提供等を行うこと。
 【新型コロナウイルス感染が疑われる者が発生した場合は、当該施設等において、感染が疑われる者との濃厚接触が疑われる職員を特定すること。濃厚接触が疑われる職員については、以下を参考に特定すること。
 ・新型コロナウイルス感染が疑われる者と同室または長時間の接触があった者
 ・適切な感染の防護無しに新型コロナウイルス感染が疑われる者を看護若しくは介護していた者
 {・新型コロナウイルス感染が疑われる者の気道分泌液若しくは体液、排泄物等の汚染物質に直接触れた可能性が高い者
 ・手で触れることの出来る距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策なしで、新型コロナウイルス感染が疑われる者と15分以上の接触があった者】}

(3)新型コロナウイルス感染症の感染者への適切な対応の実施

○ 感染者については、以下の対応を行う
 [1] 職員の場合の対応
  職員の感染が判明した場合、原則入院することとなるが、症状等によっては自治体の判断に従うこととなること。
 【感染が疑われる職員については、{主治医や地域で身近な医療機関、受診・相談センター等}に電話連絡し、指示を受けること。ただし、濃厚接触者であって感染が疑われる場合は、積極的疫学調査を実施している保健所に相談すること。】

 [2] 利用者の場合の対応
  利用者に新型コロナウイルス感染症の感染が判明した場合は、原則入院することとなること。
 【感染が疑われる利用者については、{主治医や地域で身近な医療機関、受診・相談センター等}に電話連絡し、指示を受けること。ただし、濃厚接触者であって感染が疑われる場合は、積極的疫学調査を実施している保健所に相談すること。】

(4)新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者への適切な対応の実施
○ 濃厚接触者については、保健所と相談の上、以下の対応を行う。
 なお、濃厚接触者については14日間にわたり健康状態を観察することとしており、以下の対応は感染者との最終接触から14日間行うことが基本となるが、詳細な期間については保健所の指示に従うこと。
 [1] 職員の場合の対応
  保健所により濃厚接触者とされた職員については、自宅待機を行い、保健所の指示に従う。職場復帰時期については、発熱等の症状の有無等も踏まえ、保健所の指示に従う。
 【感染が疑われる者との濃厚接触が疑われる職員のうち発熱等の症状がある場合は、自宅待機を行い、保健所の指示に従う。発熱等の症状がない場合であっても、保健所と相談の上、可能な限りサービス提供を行わないことが望ましい。】

 [2] 利用者の場合の対応
  保健所により濃厚接触者とされた利用者については、居宅介護支援事業所等が、保健所と相談し、生活に必要なサービスを確保する。その際、保健所とよく相談した上で、訪問介護等の必要性を再度検討すること。
  検討の結果、必要性が認められ、サービスを提供することとなる場合には、以下の点に留意すること。
 ・サービスを提供する者のうち、基礎疾患を有する者及び妊婦等は、感染した際に重篤化するおそれが高いため、勤務上の配慮を行うこと。
 ・サービスの提供に当たっては、地域の保健所とよく相談した上で、その支援を受けつつ、訪問時間を可能な限り短くする等、感染防止策を徹底すること。具体的には、サービス提供前後における手洗い、マスクの着用、エプロンの着用、必要時の手袋の着用、咳エチケットの徹底を行うと同時に、事業所内でもマスクを着用する等、感染機会を減らすための工夫を行うこと。

<サービス提供にあたっての留意点>
・自身の健康管理に留意し、出勤前に各自で体温を計測して、発熱や風邪症状等がある場合は出勤しないこと。
・濃厚接触者とその他の利用者の介護等に当たっては、可能な限り担当職員を分けての対応や、最後に訪問する等の対応を行う。
・訪問時間を可能な限り短くできるよう工夫を行う。やむを得ず長時間の見守り等を行う場合は、可能な範囲で当該利用者との距離を保つように工夫する。
・訪問時には、換気を徹底する。
・ケアに当たっては、職員は使い捨て手袋と{サージカルマスク}を着用すること。咳込みなどがあり、飛沫感染のリスクが高い状況では、必要に応じてゴーグルや{フェイスシールド}、使い捨て{袖付き}エプロン、ガウン等を着用する。
・体温計等の器具については、消毒用体温計等の器具については、消毒用エタノールで清拭を行う。
・サービス提供開始時と終了時に、(液体)石けんと流水による手洗いまたは消毒用エタノールによる手指消毒を実施する。手指による手指
消毒を実施する。手指消毒の前に顔(目・鼻・口)を触らないように注意する。「1ケア1手洗い」、「ケア前後の手洗い」を基本とする。

<個別のケア等の実施に当たっての留意点>
濃厚接触者に対する個別のケア等の実施に当たっては以下の点に留意すること。
(i)食事の介助等
・食事前に利用者に対し、(液体)石けんと流水による手洗い等を実施する。
・食事は使い捨て容器を使用するか、自動食器洗浄器の使用、または、洗剤での洗浄を行う。
・食事の準備等を短時間で実施できるよう工夫を行う。
(ii)排泄の介助等
 ・おむつ交換の際は、排泄物に直接触れない場合であっても、手袋に加え、{サージカルマスク}、使い捨て{袖付き}エプロンを着用する。
(iii)清潔・入浴の介助等
 ・介助が必要な者(訪問入浴介護を利用する者を含む)については、原則清拭で対応する。清拭で使用したタオル等は、手袋とマスクを着用し、一般的な家庭用洗剤で洗濯し、完全に乾燥させる。
(iv)環境整備
 ・部屋の清掃を行う場合は、手袋を着用し、消毒用エタノールで清拭する。または、次亜塩素酸ナトリウム液で清拭後、湿式清掃し、乾燥させる。なお、次亜塩素酸ナトリウム液を含む消毒薬の噴霧については、吸引すると有害であり、効果が不確実であることから行わないこと。トイレのドアノブや取手等は、消毒用エタノールで清拭し、消毒を行う。または、次亜塩素酸ナトリウム液(0.05%)で清拭後、水拭きし、乾燥させる。保健所の指示がある場合は、その指示に従うこと。