虐待にあたるかどうかではなく

しつけ置き去り刑事責任問わず 大和君「一人で行った」

朝日新聞デジタル 6月6日(月)19時31分配信)

 北海道七飯町の山中で「しつけのため」として置き去りにされ、約5キロ離れた自衛隊演習場で6日ぶりに保護された北海道北斗市の小学2年、田野岡大和君(7)が6日、道警の聞き取りに応じ、演習場まで「一人で歩いて行った」などと説明した。道警は、行方不明になった経緯に事件性はなく、父親らの刑事責任も問わない方針だ。

 道警によると、大和君からの聞き取りは6日午前、入院先の北海道函館市内の病院で、母親と医師の同席のもとで実施した。大和君は「車を降ろされてから、一人で歩いて行った」と説明。保護された演習場内の宿泊施設には「休み休み歩いて、その日のうちに着いた」と話した。保護されるまでの間については「昼間は天気がいいと(施設の)外に出ていた。夜は中で白い物に寝ていた」「見つかるまで一人で過ごした」と語ったという。

 大和君の置き去りをめぐっては、心理的虐待の疑いがあるとして、道警から通告を受けた北海道函館児童相談所が、両親らから話を聴くことにしている。

 大和君は順調に回復しており、7日午後に退院することが決まった。(磯崎こず恵)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160606-00000040-asahi-soci


記事に固有名詞が書かれているのを排除(匿名化)まではしていませんが、地名や人名の読み方までは当記事には関係ないので、原文の一部(ふりがなの括弧書き)は削除しています。

さて、警察側のルールとしては「心理的虐待の疑い」があるかどうかで、本件の処理が変わってくるのは仕方がない(やむを得ない)のだろうと推測します。

で、正式に通告を受けた児童相談所としてはどうか、ということですが、
「過去に起きたことが虐待の定義に当てはまるかどうか」ということは、
少なくともこの場合についてはあまり意味がないのではないか、と私は思います。

児童相談所は、犯罪を捜査するところではなく、虐待の加害者(であったとしても)にペナルティを与えるところでもありません。

ただ、(虐待と捉えるかどうかにかかわらず)子どもに対して辛いことをしてしまった、という親御さんの自責の念とか後悔とか、逆にお子さんの方から親御さんに対する様々な思いとか、今回の件に至るまでの成育歴とか、そういう情報を得た児童福祉司やら心理職やらの判断が、これからの親子関係などに参考になる可能性はあるだろうと思います。


わかりにくい表現になってしまいましたか?

警察は「虐待の疑いあり」ということで通告したとしても、
児童相談所の判断は、そういうことには関係なく(というと言い過ぎか。「拘束されることなく」というぐらいにしておきましょうか)、児童の健全な育成のために最善は何か、という観点で行われる、ということです。

その結果、1~2回程度の面接指導(助言指導)で終わったとしても、複数回の継続指導になったとしても、あるいは児童福祉法上の措置である児童福祉司指導になったとしても、それは犯罪性とは直接関係なく、当事者に対するペナルティでもない。

専門機関の判断として、尊重されるべきだろうと私は考えます。

特にマスメディアが、よけいなツッコミを入れないことを望みます。
(気にはなるでしょうが。)