「一時保護」可否を裁判所が判断

改正児童福祉法成立 虐待児引き離す「一時保護」、裁判官が審査
毎日新聞 6/8(水) 10:10配信

 虐待を受けた子どもを親から引き離す「一時保護」の手続きの際に、裁判官が審査することなどを柱とする改正児童福祉法が8日、参院本会議で可決、成立した。児童養護施設や里親家庭などで育つ若者の自立支援について、原則18歳(最長22歳)となっている年齢制限を撤廃することなども盛り込まれた。

 一時保護は、虐待の通告などを受けた子どもを児童相談所(児相)が原則2カ月以内で親権者から分離する行政処分改正法では、児相は保護の開始前か7日以内に「一時保護状」を裁判官に請求し、保護者が同意する場合を除き、児相が提出する資料に基づいて一時保護の要否を審査することなどを定めた。妥当でないと判断した場合、請求を却下して一時保護を解除する。

 一時保護の制度に司法審査を関与させることで、手続きの適正性や透明性を確保するとともに、保護者とのトラブルを防ぐ狙いがある。一時保護や施設入所といった措置の際に子どもの意見を聞き、判断材料とすることも義務づけた。一時保護を巡る新制度は、公布から3年以内に施行される。

 児相への虐待相談対応件数は増加しており、2020年度は過去最多の20万5044件だった。18年に東京都目黒区、19年に千葉県野田市でともに女児が虐待死した事件では「家に帰りたくない」との訴えを児相が尊重しなかったことが問題化した。

 また、改正法では児童養護施設や里親家庭などで暮らす若者が自立支援を受けられる年齢の制限を撤廃する。主に都道府県が自立可能か個別に判断し、22歳以降でも施設で暮らせるようにするなど支援を拡充する。年齢制限の撤廃は24年4月に施行される見通しだ。

 改正法には、わいせつ行為を理由に登録が取り消された保育士について、再登録を厳格化するルールも盛り込まれた。保育現場での性被害を防止する狙いがある。また、虐待対応や家庭支援に高い専門性を持つ新しい認定資格の創設も盛り込まれた。【小鍜冶孝志】
最終更新:6/8(水) 21:15
https://news.yahoo.co.jp/articles/386d24a89529354b794c717dbb9e6fe7b987058e

 


このネット記事のコメント欄より

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児相の法的対応に関わる事務に携わっています。元々子供を親から一時保護することが必要と児相が判断するようなケースは、単純なものはありません。その調査や方針決定の間も子供の安全を確保しきれないギリギリの案件がどれだけあることか。大都市では稀に不幸なニュースになるケースの水面化に数百倍の一時保護があり、多くの親は抵抗を示します。それが全て家裁への申立手続きを経なければならないとは現場から乖離しすぎて絶句します。
それなら児相でなくもう裁判所が保護してください。早く。子供の命は一瞬です。この迂回で命が失われたら取り返しがつかないしまた児相が叩かれるし時間も人手も足りません。裁判所の紙一枚で納得する親なら初めから児相の説明で同意するでしょう。しかし現実はそうではありません。
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ごもっとも。
児相勤務経験者として、お気持ちは理解できます。

児相の負担増(により救えない児童が出たり、児相職員が心身を病んだり)の他に、裁判所がどのような運用を行うかということがわからないのもメッチャ不安です。

 

NHKでは「参議院で全会一致で可決・成立」と出ていました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220608/k10013662531000.html

 

え? 日本の国会議員って、そんなにレベル低いの?
別で調べたら、衆議院も修正はあったものの全会一致。何を審議してんだか・・・

 

もちろん、現行の一時保護制度が完璧とは思っていませんが、何らかの改善を行うとしても、児相が一時保護をためらうような方法ではない(どちらかといえば児相に助言するような)ものを考えてほしかった。
(たとえば、野田の事件のように児童本人が「帰りたくない」と意思表示している場合は原則として保護するとか。)
少なくとも、この内容で「全会一致」はないわなあ。

 

それから、法案を見たら
「管轄する地方裁判所家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官」
とあるのですが、どう使い分けるのでしょうか?
家裁はともかく、地裁や簡裁(特に簡裁)で、迅速にかつ正確に審査できるの?

 

児童相談所については、何らかの通知みたいなのが厚労省から出るでしょう、たぶん。
裁判所に出す書類のひな型とか。
たとえば、保護者などに出す「一時保護決定通知書」の写しを添付して「別紙のとおり」とするのはいかがでしょうか?
補足が必要なら、児相内で一時保護時に作っているはずの決裁文書や児童記録の抄本を添付するぐらいで。

 

だけど、人員増はあまり期待できない。
下手すると、「司法に委ねるのだから人を減らしてもいいよね」などと言いそうな政治家(地方の首長を含む)か出るかも。


まあ、保護者に同意を求めるように努力するのは当然としても、ダメな場合は、やれる範囲で裁判所に書類を出して、裁判官に責任を負ってもらうことですかね。裁判所も大変だろうと思うし、けっして敵視しているわけじゃない(家裁については、むしろ同志と思っている)ですが。
あ、虐待保護以外の業務(福祉行政報告例みたいに国や県本庁に報告する書類や、財政課や監査委員事務局などに提出する書類を含む)は放置してもいいよね。

 

あと、裁判所も人を増やしてください。
家裁の調査官のような専門家とか、少なくとも児童福祉やソーシャルワークについて理解している人を。