【大阪】認知症夫による火事 延焼も家族の責任問わず
(09月18日 19:14 ABC NEWS 関西ニュース)
認知症の夫が自宅で1人の時に火事が起き、隣の家に被害が及んだ場合、夫を残して外出した妻に損害賠償責任はあるんでしょうか。大阪高裁で18日、認知症患者の家族の責任が問われた裁判があり、訴えた隣人の男性が修理費用の請求を放棄することで和解が成立しました。
2年前、認知症の夫と70代の妻が2人で暮らす大阪府内の住宅から出火。隣の家にも燃え移り、一部を焼きました。当時、妻は外出中で、警察の調べなどから夫が新聞紙に火をつけて布団の上に投げたことが原因とみられています。隣の家に住む男性は、外壁などの修理費用として妻に200万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴。裁判で妻側は、「夫を病院に連れて行き、薬も飲ませていた。夫には、人に危害を加えるような問題行動もなく、賠償責任はない」と主張していました。大阪地裁は5月、妻には夫が異常な行動をしないよう見守る義務があったとして、およそ40万円の支払いを命じましたが、双方が判決を不服として控訴。妻の代理人を務める弁護士によりますと、大阪高裁は、「妻には賠償責任を負うほどの重い過失は認められない」として和解を勧告し、18日、男性が修理費用の請求を取り下げる条件で和解が成立しました。妻側の弁護士は、「裁判所の判断は、認知症の患者をもつ家族にとって大きな意義がある」としています。
http://news.goo.ne.jp/article/abc/region/abc-20150918009.html認知症の夫が自宅で1人の時に火事が起き、隣の家に被害が及んだ場合、夫を残して外出した妻に損害賠償責任はあるんでしょうか。大阪高裁で18日、認知症患者の家族の責任が問われた裁判があり、訴えた隣人の男性が修理費用の請求を放棄することで和解が成立しました。
2年前、認知症の夫と70代の妻が2人で暮らす大阪府内の住宅から出火。隣の家にも燃え移り、一部を焼きました。当時、妻は外出中で、警察の調べなどから夫が新聞紙に火をつけて布団の上に投げたことが原因とみられています。隣の家に住む男性は、外壁などの修理費用として妻に200万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴。裁判で妻側は、「夫を病院に連れて行き、薬も飲ませていた。夫には、人に危害を加えるような問題行動もなく、賠償責任はない」と主張していました。大阪地裁は5月、妻には夫が異常な行動をしないよう見守る義務があったとして、およそ40万円の支払いを命じましたが、双方が判決を不服として控訴。妻の代理人を務める弁護士によりますと、大阪高裁は、「妻には賠償責任を負うほどの重い過失は認められない」として和解を勧告し、18日、男性が修理費用の請求を取り下げる条件で和解が成立しました。妻側の弁護士は、「裁判所の判断は、認知症の患者をもつ家族にとって大きな意義がある」としています。
これだとわかりませんが、次の朝日新聞の二つの記事によると、妻はすでに100万円支払っているとのこと。
妻外出時に認知症の夫が火災、延焼隣家との和解成立
(2015年9月19日09時55分)
認知症の夫を家に残して出かけた直後に火事が起き、延焼した隣家への賠償責任を介護中だった妻(73)が負うべきかが争われた訴訟の控訴審で、大阪高裁の森義之裁判長は「妻に重い過失はない」とする前提で和解を勧告した。18日の和解協議で隣家の住人は200万円の賠償請求を放棄し、和解が成立した。
5月の一審・大阪地裁判決は、夫婦の助け合いを義務づけた民法の規定を踏まえ、妻に「重い過失」があったとして隣家修繕費の一部43万円の支払いを命じた。訴訟前、隣家に100万円を払っていた妻は納得できず控訴。高裁は、妻に新たな金銭負担をさせない形での決着を勧めていた。
和解後、妻は「夫を残して出かけた後悔は今も消えないが、一審の『重い過失』という認定はどうしても納得できなかった。和解を勧めてくれた高裁に感謝したい」と話した。(阿部峻介)
http://www.asahi.com/articles/ASH9L4TJZH9LPTIL012.html認知症の夫を家に残して出かけた直後に火事が起き、延焼した隣家への賠償責任を介護中だった妻(73)が負うべきかが争われた訴訟の控訴審で、大阪高裁の森義之裁判長は「妻に重い過失はない」とする前提で和解を勧告した。18日の和解協議で隣家の住人は200万円の賠償請求を放棄し、和解が成立した。
5月の一審・大阪地裁判決は、夫婦の助け合いを義務づけた民法の規定を踏まえ、妻に「重い過失」があったとして隣家修繕費の一部43万円の支払いを命じた。訴訟前、隣家に100万円を払っていた妻は納得できず控訴。高裁は、妻に新たな金銭負担をさせない形での決着を勧めていた。
和解後、妻は「夫を残して出かけた後悔は今も消えないが、一審の『重い過失』という認定はどうしても納得できなかった。和解を勧めてくれた高裁に感謝したい」と話した。(阿部峻介)
認知症の夫が火災、留守にした妻に責任は
(2015年8月23日16時40分)
認知症の夫を家に残して妻が用事で出かけた時、火事が起きた。隣の家に燃え移り、裁判で賠償を求められた妻。判決は夫婦の助け合いを義務付けた民法の規定を当てはめ、妻に賠償を命じた。介護に明け暮れ、わずかに目を離したすきの惨事。その責任のすべてを妻は負わなければならないのか――。認知症500万人時代、社会が支え合う仕組みを求める声があがる。
大阪地裁判決(谷口安史裁判官、5月12日付)によると、火災は2013年4月2日夕、認知症を患う当時82歳の夫と、妻(73)が暮らす大阪府内の住宅で起きた。妻が郵便局に出かけて留守中、3階の洋室付近から出火して29平方メートルが焼け、隣家の屋根と壁の一部に延焼した。夫が紙くずにライターで火をつけ、布団に投げたとみられると現場の状況から認定した。
夫は11年8月に認知症と診断され通院。警察は刑事責任能力がないと判断し、大阪府が措置入院とした。2カ月後に退院したが昨年11月、84歳で亡くなった。
夫婦は延焼の損害を補償する火災保険には入っておらず、隣家の住人は昨年4月、夫への監督義務を怠ったとして妻に200万円の賠償を求めて提訴。妻は「夫は他人に危害を加えたことがなく、当日も落ち着いていた」と反論した。
判決は、火災の前月ごろから夫は認知症が進み、姉に「妻が死んだ」と電話するなど妄想による言動があったと指摘。民法752条の「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」という規定を踏まえ、妻には夫が異常な行動をしないか注意深く見守る義務があったとし、夫を残して外出したことは「重い過失」と判断した。
そのうえで、隣家の修理費143万円のうち弁償済みの100万円を差し引き、残り43万円の支払いを妻に命じた。妻は納得できず控訴し、審理は9月1日から大阪高裁で始まる。
http://www.asahi.com/articles/ASH8P4VTCH8PPTIL018.html認知症の夫を家に残して妻が用事で出かけた時、火事が起きた。隣の家に燃え移り、裁判で賠償を求められた妻。判決は夫婦の助け合いを義務付けた民法の規定を当てはめ、妻に賠償を命じた。介護に明け暮れ、わずかに目を離したすきの惨事。その責任のすべてを妻は負わなければならないのか――。認知症500万人時代、社会が支え合う仕組みを求める声があがる。
大阪地裁判決(谷口安史裁判官、5月12日付)によると、火災は2013年4月2日夕、認知症を患う当時82歳の夫と、妻(73)が暮らす大阪府内の住宅で起きた。妻が郵便局に出かけて留守中、3階の洋室付近から出火して29平方メートルが焼け、隣家の屋根と壁の一部に延焼した。夫が紙くずにライターで火をつけ、布団に投げたとみられると現場の状況から認定した。
夫は11年8月に認知症と診断され通院。警察は刑事責任能力がないと判断し、大阪府が措置入院とした。2カ月後に退院したが昨年11月、84歳で亡くなった。
夫婦は延焼の損害を補償する火災保険には入っておらず、隣家の住人は昨年4月、夫への監督義務を怠ったとして妻に200万円の賠償を求めて提訴。妻は「夫は他人に危害を加えたことがなく、当日も落ち着いていた」と反論した。
判決は、火災の前月ごろから夫は認知症が進み、姉に「妻が死んだ」と電話するなど妄想による言動があったと指摘。民法752条の「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」という規定を踏まえ、妻には夫が異常な行動をしないか注意深く見守る義務があったとし、夫を残して外出したことは「重い過失」と判断した。
そのうえで、隣家の修理費143万円のうち弁償済みの100万円を差し引き、残り43万円の支払いを妻に命じた。妻は納得できず控訴し、審理は9月1日から大阪高裁で始まる。
高裁の裁判官は、100万円(以内)の支払いが妥当と考えたのか、(それは訴訟外として)重過失ではないので支払いは不要という立場だったのか、私にはわかりません。
ただ、こちらの列車事故の件など、家族(特に配偶者)の責任の有無、程度等については、今後もいろいろ議論になるだろうと思います。
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/33052663.html
http://blogs.yahoo.co.jp/jukeizukoubou/33052663.html
今回は(延焼対応の)火災保険に入っていなかったとのことですが、認知症の方の予期せぬ行為に対応した保険が(妥当な金額で)あれば、今後ひろがっていくかもしれません。