鈴木宗男氏の7月26日のブログより。
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2021年7月の東京オリンピック・パラリンピック、2022年2月の北京冬季オリンピック・パラリンピックにロシアは国家として参加出来なかった。今回も個人の名においてのみの出場である。
平和の祭典と言いながら、西側陣営の政治的判断が感じられる。
パレスチナ問題でイスラエルがいろいろ言われているが、イスラエルはオリンピックに国家として参加している。
戦争には双方言い分がある。一方が参加を認められ、一方が認められないのは、果たして公平だろうか。平和の祭典である以上、ロシアも参加して当然と思うのだが。
政治的発言、行動をしてはならないとIOC(国際オリンピック委員会)は言いながら、政治的判断をしているのはIOCではないか。
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まず、不正確な部分の訂正から。
ロシアが国家として参加できなかったオリンピック・パラリンピックは、2021・2022・2024(今回)だけではありません。
2016年リオデジャネイロ夏季パラリンピック:参加不可
2018年平昌冬季オリンピック:ロシアからのオリンピック選手団(OAR)
2018年平昌冬季パラリンピック:中立パラリンピック選手団(NPA)
2021年東京夏季オリンピック:ロシア・オリンピック委員会(ROC)
2021年東京夏季パラリンピック:ロシア・パラリンピック委員会(RPC)
2022年北京冬季オリンピック:ロシア・オリンピック委員会(ROC)
2022年北京冬季パラリンピック:参加不可※
※印以外は、全てロシアの組織ぐるみドーピングのためです。
※印は、開催国・中国のメンツ?を潰してまで、ウクライナ侵略を始めた時期でしょ?
イスラエルについては立場によって意見が分かれるとは思いますが、少なくともドーピング問題はからんでいません。
ハマス側の(外国人を含めた)誘拐殺人等についてイスラエル側が反撃したことは理由があるとして、その際の国際人道法違反について五輪・パラから除外すべき、という主張はあり得るでしょう。
その場合、ガザ地区を実効支配しているハマスも同等以上の犯罪を行っているから、パレスチナ選手団か、その中のガザ地区関係者は除外すべき、という主張も出てくる可能性はあります。
それに比べれば、ロシア対ウクライナに関しては、ロシアが国連憲章等に違反しているということで、全く疑いはありません(国連総会の各決議も多数の賛成で成立しました)。
それより、今回のパリ五輪に限らず、同国選手に対する対戦拒否や、ひょっとしたらテロの試みがあるかもしれません。
さて、ロシアのこと。
ドーピングは、残念ながら少なくない国でひっかかってきましたが、ロシアやその前身のソ連ほど、数が多く、組織ぐるみというあくどさを持った国はありません。
手を染めた選手やコーチだけでなく、国自体が処分を受けるような無様な存在は、ロシアだけです。
なぜでしょうね?
「ルールを守る」という基本的な文化が薄弱なのでしょうか。
救いは、内部告発者が出ること。
選手もスタッフも、多くは
・ドーピングは選手の心身に悪影響を及ぼす危険性が高いこと
・ドーピングなしに戦うことの方が(ドーピングにより勝つことより)価値があること
を理解していると思います。
カミラ・ワリエワ選手を潰したのは、彼女自身ではなく、ドーピングをさせたロシアの関係者でしょう。
鈴木氏のように、ロシアのドーピング問題の本質を理解せずに、ロシア擁護の発言をする人々にも責任があるかもしれません。
2021年東京五輪・パラ大会のロシア選手の参加形態まで「西側陣営の政治的判断」などと強弁するのは、逆にロシア国家の虚言体質を明らかにする効果しかないようにも思えます。