20年前の震災の頃の週刊誌

阪神・淡路大震災(*)から20年が経とうとしています。

私は震災の頃に発行された週刊誌などを保存しているのですが、それらを久しぶりに読み返してみました。

平成7年2月10日付発行の「週刊ポスト」から。

グラビアなどの次の最初の記事が「村山首相よ、即刻辞職すべし」というタイトルで、当時の国の対応などを批判しています。

以下、一部を引用。

 村山首相が国会で、「最善の態勢」と胸を張ったその内実がどのようなものかを物語る証言を紹介する。兵庫県庁の複数の課長がてんてこ舞いの救援業務に苛立ちを隠そうともせず、本誌記者に異口同音に語ったことである。
「私の状況を見てください。1分間も連続して話ができないほど被災地の各所から電話が入ってきてるでしょ! そのうえ、全国各地から救援を申し込む書類(ざっと数十センチ)、県と被災市町村との連絡事務と関係書類の山、これらをさばかなければ、現場の救援活動は先に進まない。
(ドンと両手で机を叩き)ところが、いま、私は何をしていると思いますか、この書きかけの書類は何だと思いますかッ。あなたの取材に答えながら、私の手は、国の救援措置と体制がいかに最高、最善のものであるか、省庁や与党に矢の催促をされてその国会答弁書を書かされているんだよ。作文だ、作文! 被災地を見れば、あなたにも実態がわかっているはずだ。何が、最善ですか。しかし、今の私は、国の対応が最善であると書くことが、役人として"最善の仕事"なんだよ、バカバカしい。この現実を書いてくれ」

長文の引用になりましたが、大災害と、その対応について考える上で、非常に重要な問題(かつ、あまりマスメディアでも取り上げられない問題)であり、著作権法上、正当と認められる範囲ではないかと思います。
(このことについて発行元の小学館関係の方からのご意見があれば、お手数ですがコメント欄にお願いします。)

この記事の内容が全面的に正しいか、といえば、それを確かめる手段は私にはありません。
ただ、この震災のときのさまざまな情報、国が自治体などに(災害時以外でも)依頼する文書やメール等、状況証拠から見て、おおむね事実どおりだったのだろうと推測してます。
また、この記事について、当時の政権や兵庫県庁が小学館に抗議した、という事実は(たぶん)ありません。

もちろん、当時の「自・社・さ」政権を批判しておしまい、というつもりではありません。

東日本大震災の際の民主党政権の対応も(こんな馬鹿げた「作文要請」などはなかったと信じたいですが)、あちこちから批判されています。
もっとも、「ねじれ国会」であった以上、当時の野党の責任(あるいは無責任というべきか)も免れませんが。

私が言いたいのは、ことが起こったとき、その対応が問われるのは当然ですが、

「自分たちの正当性を主張するために事実をねじ曲げてはいけない」

ということです。

村山政権の対応が「最善」でなかったのなら、なぜ最善でなかったのか、どうすれば最善に近づけるのか、ということを考えていくべきだ、ということです。



*被災地のひとつ、明石市などには、「阪神・淡路」という限定的な名称に疑問を持ち、「兵庫県南部地震」と呼ぶ方もいらっしゃいます。