「通報は許さん」は通用するか(1)

公益通報制度については、なかなか機会がなくて書いてきませんでしたが、ちょっと触れてみようかと思います。

たとえば事業所の経営者が
「県や市に通報するのは許さない」
と従業者に圧力をかけた場合。

消費者庁の一角に「公益通報者保護制度ウェブサイト」というものがあります。
http://www.caa.go.jp/seikatsu/koueki/index.html

今回は、そこを参考にして、公益通報者保護法を見ていきます。


(定義)
第二条 この法律において「公益通報」とは、労働者・・・が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でなく、その労務提供先・・・又は当該労務提供先の事業に従事する場合におけるその役員、従業員、代理人その他の者について通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしている旨を、当該労務提供先若しくは当該労務提供先があらかじめ定めた者(以下「労務提供先等」という。)、当該通報対象事実について処分(命令、取消しその他公権力の行使に当たる行為をいう。以下同じ。)若しくは勧告等(勧告その他処分に当たらない行為をいう。以下同じ。)をする権限を有する行政機関又はその者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生若しくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者(当該通報対象事実により被害を受け又は受けるおそれがある者を含み、当該労務提供先の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある者を除く。次条第三号において同じ。)に通報することをいう。
 一 当該労働者を自ら使用する事業者(次号に掲げる事業者を除く。)
 二 当該労働者が派遣労働者・・・である場合において、当該派遣労働者に係る労働者派遣・・・の役務の提供を受ける事業者
 三 前二号に掲げる事業者が他の事業者との請負契約その他の契約に基づいて事業を行う場合において、当該労働者が当該事業に従事するときにおける当該他の事業者

2 この法律において「公益通報者」とは、公益通報をした労働者をいう。

3 この法律において「通報対象事実」とは、次のいずれかの事実をいう。
 一 個人の生命又は身体の保護、消費者の利益の擁護、環境の保全、公正な競争の確保その他の国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律として別表に掲げるもの(これらの法律に基づく命令を含む。次号において同じ。)に規定する罪の犯罪行為の事実
 二 別表に掲げる法律の規定に基づく処分に違反することが前号に掲げる事実となる場合における当該処分の理由とされている事実(当該処分の理由とされている事実が同表に掲げる法律の規定に基づく他の処分に違反し、又は勧告等に従わない事実である場合における当該他の処分又は勧告等の理由とされている事実を含む。)

4 この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。
 一 内閣府宮内庁内閣府設置法・・・第四十九条第一項若しくは第二項に規定する機関、国家行政組織法・・・第三条第二項に規定する機関、法律の規定に基づき内閣の所轄の下に置かれる機関若しくはこれらに置かれる機関又はこれらの機関の職員であって法律上独立に権限を行使することを認められた職員
 二 地方公共団体の機関(議会を除く。)


いくらか省略してみても長いです(苦笑)

通報対象となる法律は、別表のほか政令で定めてあって、非常に多いです。
平成26年1月7日現在で439。)

少し例を挙げれば、対人支援サービス等の関係法では、
 ○介護保険法、○老人福祉法、○児童福祉法、○障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法、旧障害者自立支援法) 等

資格関係では、
 ○医師法、○歯科医師法、○栄養士法、○保健師助産師看護師法、○薬剤師法、○理学療法士及び作業療法士法、○社会福祉士及び介護福祉士法 等


その他、従業者を雇用して事業を行うための一般的な法律としては、
 ○労働基準法、○労働安全衛生法、○最低賃金法、○育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律、○個人情報の保護に関する法律、○消防法、○道路運送法、○道路運送車両法、○道路交通法 等

といった感じです。

通報先の行政機関としては、一般の地方公共団体も、もちろん含まれています。


(続きます。)