軽度にならなければ効果なし、ではない

ネット上をみると、いまだに誤解している人もあるようなのですが(謎)
要介護度(要支援度)が改善しなければ、介護保険サービスなどの効果がない、
というわけではありません。
 


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実際には、人間の状態は、良いとき、悪いときの変動があります。
だから、時間の経過とともに直線的に介護度が重度化するというわけではありませんが、
黒の実線で「介護サービスなどを利用しなかったとき」のイメージを視覚化してみました。
 
赤の点線のように軽度方向に変化すれば、介護サービスなどの効果がわかりやすいのですが、
緑の一点鎖線のように、同程度のレベルで推移していても、十分に効果があるといえます。
(現在の予防通所サービスの加算算定には、改善群だけでなく維持群の数値も反映されています。)
 
そして、青の実線のように、重度化への進行が緩やかになった場合も、効果はあるのです。
経済効果をいうとすれば、薄黄色で塗った部分です。
 
もっとも、要介護度の重度化が黒実線のように進行した場合でも、
介護サービスなどの効果がなかった、というわけではありません。
 
その状況に応じて本人の生活の質を保ち、人間の尊厳を維持することができたのなら、無駄ではありません。
例えとして適当かどうかわかりませんが、認知症の進行自体は食い止められなくても、周囲との摩擦が減り、いわゆる周辺症状が軽減されれば、本人にとっても周囲にとっても効果あり、でしょう。
 
社会全体の経済効果としても、家族が介護のために離職せず、働き続けることができたのなら、十分に元が取れている、という見方も可能です。
 
以上、けっこう当たり前のことを書きましたので、興味のない方は読み飛ばしてください。
ただ、経済界、有識者、政治家、財務当局、などの中には、こういう発想のない方もいらっしゃるようなのですが。