守備位置と守備範囲

たとえばサッカーで、味方の選手(フィールドプレーヤー)が抜かれ、
ゴールキーパーが敵の選手と一対一で対峙しなければならないことがあります。

こういうとき、しばしば、キーパーは、思い切りよくゴール前から飛び出し、相手選手との距離を詰めます。
相手にプレッシャーをかけるという意味もありますが、前で守る方が守備範囲が少なくて済む(言い換えれば効率よく守れる)ということもあります。

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赤のキーパーの位置では、ゴールの一部しかカバーできませんが(赤実線)、
青の位置まで出れば全体がカバーできます(青点線)。

もちろん、ループシュートで頭上を越される、ということもありますし、裏目に出る可能性もないわけではありません。ですが、確率的にいえば、前に出る方が失点されにくいといえましょう。

ところで、介護保険の世界では、国が「介護の重点化」なるものを主張しています。
金がない、介護に携わる人材がない、だから限られた資源を重度者(要介護3~要介護5)に重点的に振り向けるべき、という理屈です。

軽度者のサービスを外すと、重度化する人が増えて、かえって費用がかかるのではないか、という危惧については、過去に何度か記事にしてきました。
(たとえば、この記事の前後など)

どうも、厚生労働省財務省は、サッカーでいえば、へぼキーパーではないかという気がします。

そもそも、介護保険や老人福祉行政において、守るべきゴールは要介護3~要介護5の人だけではないのですが。
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