複数の掲示板で、利用者が失禁した後の対応のついてのスレッドが立てられていました。
「居宅サービス計画第2表に記載がないが、失禁後の掃除や洗濯を訪問介護(生活援助)で行えるか」
というような内容でした(他の記述内容から、要介護の独居者と想定されます)。
マルチポストかもしれませんが、今回の主要な問題ではないので、それには触れません。
「必要性が認められれば、(事後にでも計画に位置づけた後で)算定可能」
というのが回答の主流だったと思います。
まあ、そのこと自体は間違いではないでしょう。
<Q&A21.3.23>
(問22)利用者の当日の状況が変化した場合であっても、所要時間の変更は、計画に位置づけられた時間であるため、変更はできないのか。
(答)
例えば、訪問介護計画上、全身浴を位置づけていたが、当日の利用者の状態変化により、清拭を提供した場合や訪問介護計画上、全身浴を位置づけていたが、全身浴に加えて排泄介助を行った場合等において、介護支援専門員とサービス提供責任者が連携を図り、介護支援専門員が必要と認める(事後に介護支援専門員が必要であったと判断した場合を含む。)範囲において、所要時間の変更は可能である。なお、この場合、訪問介護計画及び居宅サービス計画は、必要な変更を行うこと。
これは、所要時間やサービス内容の変更についてのQ&Aですが、今回のような事例にも考え方は共通と思われます。
ところで、失禁の後、必要なのは居室の清掃や衣類の洗濯だけだったのでしょうか?
平成12年老計第10号「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」
身体介護とは、
[1]利用者の身体に直接接触して行う介助サービス(そのために必要となる準備、後かたづけ等の一連の行為を含む)
[1]利用者の身体に直接接触して行う介助サービス(そのために必要となる準備、後かたづけ等の一連の行為を含む)
(略)
1-1-1 排泄介助
1-1-1-1 トイレ利用
○トイレまでの安全確認→声かけ・説明→トイレヘの移動(見守りを含む)→脱衣→排便・排尿→後始末→着衣→利用者の清潔介助→居室への移動→ヘルパー自身の清潔動作
(場合により)失禁・失敗への対応(汚れた衣服の処理、陰部・臀部の清潔介助、便器等の簡単な清掃を含む)
1-1-1-2 ポータブルトイレ利用
○安全確認→声かけ・説明→環境整備(防水シートを敷く、衝立を立てる、ポータブルトイレを適切な位置に置くなど)→立位をとり脱衣(失禁の確認)→ポータブルトイレへの移乗→排便・排尿→後始末→立位をとり着衣→利用者の清潔介助→元の場所に戻り、安楽な姿勢の確保→ポータブルトイレの後始末→ヘルパー自身の清潔動作
(場合により)失禁・失敗への対応(汚れた衣服の処理、陰部・臀部の清潔介助)
ということで、失禁後の対応も身体介護に含まれる場合があります。
失禁した後、利用者が自分で陰部などを清潔にし、着替えることができたのなら、生活援助部分しか残らない、といえるのかもしれません。
でも、訪問したヘルパーが、声かけしながら状況を確認し、身体を拭いたり更衣介助したりした上で清掃や洗濯を行ったのなら、身体介護として認められるべき可能性は十分にあると思います。
だから、
「身体介護+緊急時訪問介護加算」
か
「身体生活+緊急時訪問介護加算」
の算定が考えられるケースでしょう。
そもそも、「失禁の後の清掃や洗濯について必要性が認められない」という事態は、私には想像しづらいところです。
排泄の失敗の後の対応が認めらないというようなことは、介護保険の理念、目的からはあり得ないでしょう。
老人ホームヘルプサービス運営事業(補助金時代)の頃はもちろん、介護保険スタート以降も本来認められていたはずです(前述の問22などは、国の見解が変わったのではなく、従来からの考え方を明確にしたに過ぎません)。
このことが、一部の(と思いたい。以下同じ)業者、一部の行政のせいで疑問に思われているとすれば、非常に残念です。