緊急対応

せっかく設置されているAED(自動体外式除細動器)を使用していない学校がある、という報道がありました。
使用した際の責任問題を恐れて、というような論調でしたが、事実はどうなのかはわかりません。

私は、ときどき緊急避難という言葉を使いますが・・・



刑法
(緊急避難)
第三十七条 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
2 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。


民法では、緊急事務管理というようです。



事務管理
第六百九十七条 義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という。)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(以下「事務管理」という。)をしなければならない。
2 管理者は、本人の意思を知っているとき、又はこれを推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない。

(緊急事務管理
第六百九十八条 管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。


AEDについては、厚生労働省は、以下の4条件を満たせば医師法には抵触しないという見解を示しています。

1.医師等を探す努力をしても見つからない等、医師等による速やかな対応を得ることが困難であること
2.使用者が、対象者の意識、呼吸がないことを確認していること
3.使用者が、AEDの使用に必要な講習を受けていること
4.使用されるAEDが医療器具として薬事法上の承認を得ていること

ただ、常時設置されている場所(たとえば入所施設など)のスタッフなら、講習を受けていることが多いでしょうが(そして受けていることが望ましいでしょうが)、講習を受けていない人間(たとえば通行人)がAEDを使用したとしても、刑法上も民法上も違法ではないとされています。

以前、ヘルパーが訪問した際に、施錠された室内で高齢者が倒れていた場合の対応が話題になったことがありました。

この場合も、他に手段がないなら、鍵や窓、ドアなどを壊して助けに入ったとしても、違法ではありません。

もちろん、緊急時の対応について、事前に協議しておくことは必要ではあるのですが。