チーズは「きなこ」だった

被災猫 飼い主と再会

(2012年06月28日 朝日新聞
http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000001206280005

 東京電力福島第一原発の近くで飼い主とはぐれて川崎市の施設で保護されていたネコの「身元」がわかった。27日に福島に戻り、会津若松市仮設住宅に避難中の飼い主と1年3カ月ぶりに再会した。

 5歳以上の雌の三毛猫。保護後に「チーズ」と名付けられたが、元の名前は「きなこ」だった。

 昨年8月、原発から数キロしか離れていない同県大熊町の路上で捕獲器に入っていたところを保護された。日本動物愛護協会などでつくる「緊急災害時動物救援本部」が同県三春町の保護施設で飼い主を探したが見つからず、施設閉鎖に伴って1月に川崎市中原区の野生動物ボランティアセンターへ移った。

 保護された時はやせていたが、1キロほど太って、現在は4キロほどでぽっちゃりしている。おとなしい性格で人なつこいが、猫免疫不全ウイルス(猫エイズ)に感染しているため、理解のある新しい飼い主を慎重に探していた。

 会津若松市仮設住宅に住む独り暮らしの女性(57)がネット上で写真を見つけて同センターに連絡した。右耳の下の方が黒く上が赤いこと、下あごの小さな赤い模様などの特徴が一致。保護地点が家のすぐ近くで、赤い首輪をしていた点もぴったりで、「間違いない」となった。

 震災当日に家を飛び出し、女性が避難するまで戻らなかった。一時帰宅した際も見つからず、あきらめかけていたという。

 スタッフは「よかったね、チーズ」と呼び慣れた名前で声をかけ、笑顔で送り出した。救援本部の谷茂岡(やもおか)良佳さんが27日夜に送り届けた。ケージから出たとたん女性にすり寄り、懐かしそうに鳴き声を出したという。谷茂岡さんは「川崎にいた時の何倍も甘えた声で飼い主さんにまつわりついて離れなかった」と笑う。1年3カ月ぶりに愛猫を抱きしめた女性も、ほっとした表情だったという。

 1月にセンターに来た被災地の犬や猫36匹のうち23匹は新しい行き先が決まったが、飼い主が判明したのは初めてだ。所長で獣医師の皆川康雄さんは「まさか見つかるとは思っていなかった。懐かしい飼い主さんと幸せに暮らしてほしい」と話していた。
(古沢範英)

ついつい、全文引用になってしまいました。

「犬は3日飼われたら3年憶えているが、猫は3年飼われても3日経ったら忘れる」
という言葉がありますが、1年3か月でも憶えていたのですね。

「猫免疫不全ウイルス」(猫エイズ)は、急性の感染症ではないので、感染しても発病しなかったり、発病しても長生きすることは多いようですが、少しでも幸せな日々が続くように、と願っています。

それにしても・・・「チーズ」と呼ばれていたのに、実は「きなこ」だったのですね。