日本の公務員は多すぎるか?

けさ(6月2日)の読売新聞に、「論点スペシャル」として、「大阪都構想」について、3人の(たぶん)識者の意見が載っていました。
 
いわゆる「大阪都構想」については、ここでは論じません。
(あえていえば、「大阪都」という言葉については多少の違和感があります。「都」という言葉は首都について使うのが基本ではないか、ということで、この点については東京都知事らと同意見です。)
 
気になったのは、堺屋太一氏の発言(記者の聴き取り)。
 
「国会議員を1人養うのに必要な国民負担は年間1人あたり1円数十銭だが、役人全体にはその1万倍払っている。」
 
仮に、国会議員に一般公務員の5倍支払うとして(乱暴な試算ですが、たとえば議員100万円、公務員20万円)、
公務員2,000人に対し、国会議員1人となります。
 
これでもって、議員に対して公務員数が多すぎるとは、私は思いません。
政治家が頭脳、公務員が手足として、頭脳ばかり多くて、実働部隊が少ない状態でよいのでしょうか。
「船頭多くして船山に上る」という言葉もあります。
 
まして、今の政治家は、(個々の政治家の資質は別にして)少なくとも全体としては出来がよくない。
昨年の震災対応の遅れは、与野党問わず、国会議員全体の責任でしょう。
 
というところで、調べてみると、「公務員数の国際比較に関する調査」というものが見つかりました。
http://www.esri.go.jp/jp/archive/hou/hou030/hou021.html
(平成18年8月 内閣府経済社会総合研究所
 
内閣府経済社会総合研究所が株式会社野村総合研究所に委託したものということです。
 
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日本のデータは、ほぼ各国と同じ調査時点で、それほど新しいものではありません。
ですが、傾向として、日本の公務員数が人口比としては多くはないことがわかります。
 
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赤や青の書き込みは、引用者が行いました。
これまた、古いデータではありますが、
日本の場合、経済や教育分野の公務員の人件費は相対的に多めで、
健康福祉や社会保護といった分野では少なめといえましょう。
 
ドイツでは健康福祉分野は少なめですが、社会保護分野は多め。
フランスは、その逆、ということで、両分野を足すと、いずれも日本より多めです。
 
こちらの記事で、ケースワーカー不足について書きました。
 
大阪市も、大阪府内の他市も、人員が足りていません。
 
行革といっても、公務員数を一律に減らすのではなく、真に必要な分野に適正配置することが必要です。
「高収入の著名人の身内が生活保護を受けていた」ということで、特定の個人や福祉事務所を批判して解決する話ではありません。