日本国憲法の改正試案

日本国憲法・改正私案を作ってみました。

<青色>は追加箇所、{茶色}は削除箇所です。また、太字は改正の関連箇所です。


第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
2 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
<3 第一項の規定は、国政に携わる者が天皇の意思を理由として国政について決定することを防止するためのものであり、天皇がひとりの人間として自己の生き方について発言することを禁止するものではない。>

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
<3 前二項の規定は、国の自衛権を放棄するものではない。但し、前二項の理念と現実の自衛権との両立が図られるよう不断の努力がなされなければならない。>

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2~3 略

第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。<特定の政治家等、一部の有力者の意思に従い、又はその意思を忖度して公務員の本文を曲げてはならない。>
<2の2 国及び地方公共団体の議員は、前項の規定を尊重し、公務員に不当な圧力をかけてはならない。>

3~4 略

第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。<但し、性同一障害その他性について国民大多数とは異なる事情を持つ者の権利についても配慮されなければならない。>
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定<、氏の選択>、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

<3 国及び地方公共団体は、前二項の理念が財政状況を理由として損なわれることがないよう努めなければならない。>

第四十三条 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
2 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。

第四十四条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。

第四十五条 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。

第四十六条 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。

<第四十六条の二 衆議院議員の任期が到来したにも関わらず、大規模災害その他の事情により選挙を行うことが困難なときは、参議院の議決により当該事情がやむまでの期間を限度として衆議院議員の任期を延長することができる。参議院議員の任期についても、同様に衆議院の議決により延長することができる。>

第四十七条 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
<2 第十四条第一項、第四十三条第一項及び第四十四条の規定は、大規模災害の被災地、人口が少ない離島又は中山間地域その他国政に実情が届きにくい地方に配慮して選挙制度を設定することを妨げない。>

第五十九条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の{三分の二}<百分の五十五>以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
<5 国会議員は、その選出方法に関わらず国民によって選ばれた代表であり、所属政党は党議拘束をかけてはならない。但し、参議院に対する衆議院の優越性が認められている決議
(※)については、その限りではない。>

※注:予算、条約締結承認、内閣総理大臣の指名

第六十条 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
2 予算について、参議院衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

第六十一条 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。

第六十七条 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
2 衆議院参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。


原文が旧仮名づかい(歴史的仮名づかい)なので、それに合わせようかとも思いましたが、いっそ全文を現在の仮名づかいに改正することも検討すべきではないかと思い、そのままにしています。

天皇が「しんどい」とか「歳取ってきたから引退したい」とか個人的な事情について発言されたとしても憲法には抵触しないこと、自衛隊違憲論(最高裁判決で合憲とされている以上、憲法上では違憲とはならないと私は思いますが)による混乱を避けること、しかしながら努力規定にせよ一定の歯止めを設けること、公務員の忖度等による弊害を防ぐこと、LGBTなど性の少数派に対する配慮、夫婦選択別姓(法律用語では「別氏」)に道を拓くこと、社会保障(ただし必要最低限の部分)に対する財務当局からの圧力を軽減すること、大災害時などの国会議員の任期延長規定、投票価値の原理主義的平等ではなく過疎地等にも一定の議員数を確保できるようにすること、党議拘束による国会議論の硬直化を緩和すること、ついでに試行的に衆議院での再可決のハードルを下げること、等を目的としています。

教育の問題、国と自治体との関係にも踏み込みたかったのですが、力尽きました・・・