介護報酬パブリックコメント2

1.改定率

 介護報酬改定率1.2%(うち、在宅分1.0%、施設分0.2%)とありますが、表現が不適当です。全体の増額に必要な財源1.2%を在宅に1.0%、施設に0.2%振り分けただけです。国民が誤解しないように、例えば「在宅1.7%増、施設0.5%増、平均で1.2%増。ただし処遇改善交付金(約2%分)を報酬に内包したため実質的には、マイナス0.8%」というような表記にすべきです。
 なお、社会保障審議会介護給付費分会で、大森分科会長が、東日本大震災対応で費用がかかるという理由で、自由な議論を抑制するように取れる発言をされています。災害対応で他の分野に影響が出ることはやむを得ないでしょうが、自由な議論を行った上で、「本来はAパーセント増が必要だが今回はBパーセントとする」というように、本来の必要額を明示するべきだったと思います。そうすれば、財政が好転したときに、本来の必要水準に戻すことが容易です。そうでないと、専門知識を持たない財務省や政治家が誤解する恐れがあります。大森氏の分科会運営には疑問を感じます。
 少し外れますが、サービス利用の適正化のためには、介護報酬の抑制だけでなく、廃用症候群等を防ぐ「本来の介護予防」の重要性を、世に訴える必要があります。社会教育(生涯教育)はもちろんですが、学校教育の場でも情報提供していくよう、文部科学省と連携していくべきです。

2.介護職員処遇改善加算

 支給限度額の対象外は当然として、処遇改善を行う事業所が利用者から忌避されないために、利用者負担もなしにすべきです。また、算定要件中、労働関係法違反については、もっと厳しくてもよいと思います。なお、労働保険料については、納付証明が必要ですか。

3.地域区分の見直し

 障害福祉サービス報酬改定案の級地区分とも異なる自治体が多数あります。両方を利用する利用者から理解が得られません。省内で連携すべきでした。老健局、社会・援護局が別々に作業した結果、無駄な国費を使って、食い違いが生じたことを両局とも反省すべきです。
 また、これほどの大差は疑問です。大都市圏では、不足はあっても在宅サービス自体が存在しないことはありません。地方によっては、存在すらしないサービス種類があります。
 級地別にサービスの要介護(支援)認定者1人当たりの平均利用額を調べたところ、訪問系は大都市の方が強く、7級地等が強いのは施設や短期入所系です。地価の高い大都市で施設整備を伴うサービスが不足しているとすれば、それは人件費の問題よりも土地取得や賃借料等の問題でしょう。また、東京で施設不足なのは、知事の特養整備抑制方針等、他の要因が大きいと思います。
 ここまで大差にするのなら、豪雪地帯の冬季に加算を設けるなど、別に対策が必要です。例えば、12月から2月の特別豪雪地帯で、訪問サービスで利用者1人当たり月額9,000円、通所サービスで3,000円、その他の豪雪地帯の訪問サービスで3,000円、通所サービスで1,000円加算することが考えられます。支給限度額の対象外で、利用者負担もなしとします。
 さらに、東日本大震災の被災地はほとんどが7級地で、この体系ではサービス確保が危ぶまれます。なお、「物価水準の下落傾向」とありますが、品目によっては大都市圏より地方の方が物価が高い場合があります。
 地域区分を細かくするのも疑問です。生活圏(医療、通勤、商圏等)が市町村境をまたがり、それらを越えたサービス供給は普通にあります。同条件のサービスで事業所により利用者負担が異なると、利用者の理解が得られません。そういう要素が少なくなるよう、簡素な区分にすべきです。そもそも、地域手当に限らず国家公務員の給与体系は労使の折衝に影響される面があり、普遍的な基準として信頼できません。

4.各サービス共通

 サービス提供体制加算と特定事業所加算は、支給限度額の対象外とすべきです。本来的には、利用者負担の対象外とすることも検討すべきです。加算算定している事業所が利用者から忌避されないために必要な措置です。