介護報酬パブリックコメント1

1.居宅介護支援

(1)運営基準減算の見直し
 厳しくするのなら、自治体の勝手解釈による弊害対策が必要です。例えば、利用者の死亡や入院等で自宅で会えない場合、モニタリング減算の対象外であることを告示か通知に明記すべきです。同様に、認定結果が出るまでに暫定プランを作成したが、サービス担当者会議開催までに利用者が死亡した場合等も減算対象外である旨を周知すべきです。
 また、要介護更新認定時において認定結果が出るのが遅れた場合のサービス担当者会議開催時期についても、自治体によっては混乱が見られます。介護支援専門員が最適と判断した時期に開催されていれば、運営基準減算とはならないことを、通知かQ&A等に明記すべきです。
 なお、報酬告示上、指定居宅介護支援を受ける1月当たりの利用者数を介護支援専門員の常勤換算数で除した「取扱件数」で基本報酬が決まることになっています。この「取扱件数」について、「いわゆる月遅れ請求分は請求月の件数に含まれる」という見解がありますが、告示文の読み方を間違っている上に、制度の趣旨を理解していません。介護支援専門員は、請求月にかかわらず、実際に給付管理を行うべき月に利用者宅を訪問し、サービスの調整を行い、必要に応じてサービス担当者会議の開催等を行わなければなりません。請求月というのは、居宅介護支援の質の評価において意味を持ちません。また、要介護認定の遅れ等、介護支援専門員には責のない事項により低い報酬が適用されるのは不合理です。本件については、請求月ではなく実際にサービス提供を行う月で「取扱件数」を算定する、という見解を、速やかに公表すべきです。
(2)入院時情報連携加算
 給付管理月(サービス利用月)の翌月末までの情報提供であれば、過誤又は加算単独請求により算定可能とすべきです。また、転院先への情報提供も、入院先が必要と判断すれば加算対象とすべきです。
(3)退院・退所加算
 改定案の算定要件がわかりにくいので、通知で明確にすべきです。
(4)緊急時等居宅カンファレンス加算
 退院・退所加算と併算定可能とすべきです。また、他の条件を満たせば、サービス担当者会議としても認めるべきです。

2.訪問介護

(1)身体介護(20分未満)
 サービス担当者会議で各サービスの必要性が認められているのは、本加算に限らず当然のことです。また、開催頻度は個別事例ごとに現場で判断すべきであり、重度要介護者なら、半年間隔の頻度でも状態が変わらない場合も少なくありません。よって、サービス担当者会議の開催頻度等の要件は削除すべきです。
 体制要件にある定期巡回・随時対応サービスは大都市圏以外では採算が合いにくいと思われ、特に中山間地や積雪地等では、事業者の意志に関わらず実施自体が現実的でない地域が多く、このような都会地のことしか考えていないサービスを要件に位置付けるのは不適当です。中山間地等でも短時間の身体介護が有効な利用者はいるので、「必要があれば24時間365日営業する体制」であれば、体制要件を満たすものとして扱うのが適当です。
(2)生活援助
 45分で区分する基準は、実態を反映していません(その議論の元となった調査の出来が悪い)。普及品の洗濯機使用で1時間近く必要であり、その間に他のサービスをこなすのが、よくあるパッケージと思われます。案作成に関わった事務方も、審議会委員も、複数の家事を平行して行った経験が乏しいのではないですか。また、遠方まで行かないと日常生活必需品が買えない地域もあります。60分区分の基準体系を基本にし、効率化のためには、障害福祉サービスの居宅介護のように30分未満の区分を新設すべきです。
 もし、どうしても強行するなら、何時間までの生活援助なら事業者が拒否できないか、国が責任持って明記すべきです。
(3)通院関係
 通院等乗降介助、身体介護による通院介助については、「基本的には院内のスタッフにより対応されるべきものであるが、場合により算定対象となる」とされていますが、現在も国の見解が変わっていないのなら、その旨を医療関係者にも通知すべきです。なお、診察室や透析室内での介助については訪問介護の算定対象とはならないところですが、医療機関がそのような場所で介助を求めた場合には医療機関がサービス費用を負担する必要があることも通知すべきです。
(4)緊急時訪問介護加算
 支給限度額の対象外とすべきです(緊急時訪問看護加算は対象外となる予定)。

3.訪問看護

(1)理学療法士等による訪問看護
 訪問リハビリが実質的にない地域もあり、訪問看護理学療法士等が補完している場合が少なくありません。現行30分未満から1回20分の単価の減額は、実時間があまり変わらないのに大きすぎます。「リハビリテーションの充実」という視点に反します。
(2)退院時共同指導加算、看護・介護職員連携強化加算
 支給限度額の対象外とすべきです。

4.居宅療養管理指導

 看護職員が行う居宅療養管理指導は、どの程度効果が上がっているのか、公表してください。また、他の職種が行う居宅療養管理指導も含めて、効果が上がった実例等について介護支援専門員への各種研修のプログラムに折り込み、普及啓発を行うべきです。

5.通所介護

(1)基本サービス費の見直し
 「レスパイトを促進する観点」を理由として時間区分を見直していますが、利用者自身にとって最適の時間はどの程度か、という視点がおろそかになっていると思います。
(2)個別機能訓練加算
 加算(I)と(II)の要件の差が不明確です。留意事項通知等で説明すればよいという安易な考えではなく、告示レベルで明確にするよう努めるべきです。なお、PT・ST・OTを、柔道整復師等他の資格者と区別して評価するのは一案ではあると思います。

6.通所リハビリテーション

・短期集中リハビリテーション実施加算
 各地で混乱が起こった「認定日」の解釈を統一すべきです。その際、要介護認定結果が出るまでの暫定プランによる利用者があることを考慮し(リハビリ開始はなるべく早い方が望ましいのは当然)、弊害が少なくなるように配慮が必要です。

7.短期入所サービス、施設サービス

 多床室の減額が大きすぎます。個室は生活保護費の支給対象ではなく、また、被保護者に近い低所得者層の利用も困難です。老健局が多床室単価を切り捨ててでもユニット型の普及を広げようとする一方、社会・援護局は生活保護世帯の個室利用に極めて消極的です。省内の連携・調整を図るべきです。旧厚生省内の意思統一すら困難な状況では、多職種連携を呼びかけても説得力がありません。

8.介護予防サービス

 「利用者の自立を促すサービスを重点的かつ効果的に提供する観点から」介護予防サービスを供給する基盤は減らしてはいけません。重度化の予防、自立支援の観点から、特に介護予防通所リハビリの単価を下げるのは、言語道断で、全く理解できません。「リハビリテーションの充実」という視点に反します。また、介護予防訪問介護等の報酬単価を下げるのも理由がありません。
 なお、月額定額制は弊害が多いので従量制に戻すべきですが、当面この月額報酬制のままなら、要支援度によって機械的に利用回数を制限することがないよう、国が責任持って念押しの通知等を出すべきです。