朝ドラと廃用症候群

新年の2日の記事で、「大河の凋落、朝ドラの健闘」と書いたのですが、
大河ドラマを巡って、某自治体の首長の発言が批判されたりしているようです。
 
それはそれとして、NHK朝ドラカーネーションについて。
 
芸達者な父親役、祖母役が退場しましたが、戦後の闇市時代をヒロインは頑張って生きています。
 
最近では、濱田マリ栗山千明の両女優が印象的です。
(以下、敬称略で役名の代わりに女優名で続けます。ご存知の方はスルーしてください。)
 
栗山はヒロインの同級生で、料理屋の跡取り娘。
強がりですが、濱田にだけは心を開きます。
戦中、借金を抱えて料理屋は倒産。栗山は夜逃げして・・・
 
ヒロインは、パンパン(娼婦)になった、派手な格好の栗山を見かけます。
ヒロインに反発する栗山。
 
ヒロインは、疎遠になっていた濱田に助けを求めます。
 
濱田は息子2人を戦争で亡くし、髪結い店(自宅)の2階で(ほぼ)寝たきり状態。
長男の妻(未亡人になった)にも辛く当たったりしています。
「おばちゃんにしか救えない」というヒロインの頼みも断りますが・・・

結局、意を決して、栗山を訪ねます。
孫(長男の息子。十代後半か)に背負われ、近づいてから杖で歩行。
寝たきり生活だったので、無理はありません。まさに、廃用症候群
 
栗山の侘び住まいで、濱田は栗山を抱きしめ、彼女の辛さを共有します。
 
後日、濱田の息子たちの仏前に現れた栗山は、地味な姿に戻っています。
2階で寝ていた濱田は、長男の妻の助けを借りて1階に降り・・・
 
古い髪結い店から新時代に合った美容室として再出発しようと思うこと、
栗山にも手伝ってほしいこと・・・を唐突に言い出します。
もう表には出られない身なので、と辞退する栗山。
ですが、濱田の説得で、長男の妻と3人で美容室をやることになります。
 
<はい、ここからです。>
 
これまで満足に歩けなかった濱田が、開店の場面では普通に歩けるようになっています。
息子2人の戦死で生きる気力をなくしていた濱田。
彼女の心身を賦活させたのは、栗山を救わなければ、という強い思いだったのでしょう。
 
濱田の年齢設定は、子や孫の年代から推定すると、60歳前後でしょうか。
(注:濱田マリさん自身は、もっとお若い方です。)
まだまだ老け込む歳ではありませんが、生きる気力がなくなると寝たきり。
気力が湧くと復活
、というのは、それほど不自然な描写ではありません。
 
こういうことを考えながら人に接することができると、楽しいだろうな、と私は思います。
 
在宅介護現場で、濱田マリ(さんの役柄)にとっての栗山千明(さんの役割)を見つけられるか。
それを、理学療法士などの医療職と一緒に考えて、実践すること。
いや、高齢者ご本人が、そういうものを見つけられるか、みんなで一緒に考えてお手伝いすること。
そういうことができる現場なら、医療機関などに比べて高くない給料でも、熱意を抱いてくれるリハビリ職は存在する
と思います。
 
逆に、そういうふうにならなければ。
加算がつくから、いてくれるだけでいい。ヘタに経営効率が下がるようなことはしなくていい。
そういって、専門職の裁量を制約する経営者がいたとすれば。
 
そこは元々流動性が高い専門職。あっという間に辞めていくでしょう。