最新情報Vol.207

事務連絡
平成23年5月20日
都道府県介護保険主管部(局) 御中
 
厚生労働省老健介護保険計画課
高齢者支援課 
振興課      
老人保健課   
 
東日本大震災の被災者等に対する要介護認定等の取扱いについて
 
 東日本大震災の被災者等への必要な介護保険サービスの確保については、多大なご配慮、ご尽力をいただき、厚く御礼申し上げます。
 これまで、東日本大震災の被災者に対する要介護認定又は要支援認定(以下「要介護認定等」という。)については、柔軟な取扱いを周知してきたところです。
 しかしながら、今回の東日本大震災の規模を鑑みると、被災市町村等において通常の要介護認定等の事務手続きを行うことができるようになるまでには、一定の期間を要することが見込まれることから、今般、下記のとおり東日本大震災に際し災害救助法(昭和22年法律第118号)が適用された市町村の区域(東京都の区域を除く。)内に住所を有する被保険者に対する特例居宅介護サービス費等の支給及び要介護認定等の有効期間の取扱いについてお示ししますので、貴管内市町村、サービス事業者等に周知いただきますようお願いします。なお、要介護認定等の有効期間に係る詳細な取扱いについては、別途御連絡いたします。

 
1.新たに介護サービスが必要になった者の取扱いについて

(1)特例居宅介護サービス費等の活用
 今回の東日本大震災の規模を鑑みると、被災市町村等において通常の要介護認定等の事務手続きを行うことができるようになるまでには、一定の期間を要することが見込まれます。このため、要介護認定等の申請後に暫定ケアプランに基づく介護サービスの利用を行った場合、要介護認定等の効力は申請のあった日に遡及するため、暫定ケアプラン策定時に設定した仮の要介護状態区分と、通常の手続きによる要介護状態区分が異なる場合、事業者に支払う介護報酬や利用者負担の調整等が必要になるなどの課題があります。
 ついては、暫定ケアプランによる介護サービスの利用が長期間に及ぶことが見込まれる場合は、介護保険法(平成9年法律第123号)の規定に基づく特例居宅介護サービス費等による介護サービスの利用を積極的にご活用いただきますようお願いします。

(2)既に要介護認定等の申請を行っている場合の取扱い
 既に給付した居宅介護サービス費等の分も含め、過去に遡って、特例居宅介護サービス費等に切り替える取扱いが可能です。この取扱いは、申請者の同意を得た上で行う必要がありますが、申請者本人からの確認が困難である場合には家族や担当ケアマネジャーに確認する等状況に応じて柔軟な取扱いを行うことが可能です。

(3)特例居宅介護サービス費等の支給開始時の留意点
 介護サービスの提供にあたっては、高齢者に対する適切な介護サービスを提供することが必要となります。介護サービスの提供にあたり、仮の要介護状態区分を見立てる際には、認定調査を実施し一次判定ソフトを活用するといった方法も考えられます。
 また、介護サービスの提供にあたっては、可能な限りケアプランに準じたサービス提供プランを作成することが望ましいです。なお、当該ケアプラン作成に係る費用については、特例居宅介護サービス計画費等を算定して差し支えありません。

(4)区分支給限度基準額について
 仮の要介護状態区分に基づいた区分支給限度基準額を準用することを基本とします。
 利用者の心身の状況等から市町村判断でこれを超えた額を設定することは差し支えありませんが、要介護5の区分支給限度基準額を超えることは適当ではありません。

(5)介護サービス事業者からの請求について
 特例居宅介護サービス費等の額は、介護保険法第42条第2項等において、居宅介護サービス費等の額を基準として市町村が定めることとされていますが、今回の取扱いを認める趣旨を踏まえると、居宅介護サービス費等の額と同一の額とすることが適当です。
 また、介護サービス事業者からの請求は、仮の要介護状態区分に基づき行うこととします。
具体的な請求額は、通常の居宅介護サービス等を提供した際に厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額の100分の90に相当する額(ただし、利用者の自己負担が免除されている場合には、提供したサービスに係る額の全額)となります。この場合、介護サービス事業者は、通常の居宅介護サービス等を提供した際と同様の方法により請求してください。

(6)支払い方法について
 特例居宅介護サービス費等については、「避難所等における介護保険サービス確保のための取り扱いについて」(4月18日付事務連絡)で示しているとおり、避難元(住所地)の市町村において受給者情報の登録を行った上で、介護サービス事業者が利用者より「代理受領」の委任を受け、避難元(住所地)の市町村に届け出ること等の手続きにより、償還払いによらず、特例居宅介護サービス費等を介護サービス事業者に直接支払うことができます。
 以上のことから、要介護認定等の申請前に介護報酬を支払う取扱いになります。

2.震災後に要介護認定等の有効期間が満了する方の取扱いについて

 現在、要介護認定等の更新時期に達した方が申請をできない場合については、従前通り介護サービスの提供を継続し、災害等が落ち着いた後、1ヶ月以内に限り更新申請が行える取扱いとしております。
 しかしながら、被災地等で実際に更新申請ができるようになるまでに、更新申請の件数が積み重なることにより、災害が落ち着いた後の事務処理が膨大となることが予想されます。また、暫定ケアプランの利用時と同様に、過去に遡って費用調整等が必要になることがあるなどの課題があります。
 このため、被災地等において震災後に要介護認定等の更新時期に達する者については、市町村判断で、有効期間の満了日を最大12ヶ月延長することができる新たな特例省令を定めることを検討しています。現在、特例省令を作成中ですので、詳細は決定次第御連絡いたします。