特定施設の指定(その2)

次に、地域密着型特定施設入居者生活介護などの指定について、やはり介護保険法を見てみます。


第七十八条の二 第四十二条の二第一項本文の指定は、厚生労働省令で定めるところにより、地域密着型サービス事業を行う者(地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護を行う事業にあっては、老人福祉法第二十条の五に規定する特別養護老人ホームであって、その入所定員が二十九人以下であるものの開設者)の申請により、地域密着型サービスの種類及び当該地域密着型サービスの種類に係る地域密着型サービス事業を行う事業所(以下この節において「事業所」という。)ごとに行い、当該指定をする市町村長がその長である市町村の行う介護保険の被保険者に対する地域密着型介護サービス費及び特例地域密着型介護サービス費の支給について、その効力を有する。

2 市町村長は、第四十二条の二第一項本文の指定をしようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめその旨を都道府県知事に届け出なければならない。

3 都道府県知事は、地域密着型特定施設入居者生活介護につき市町村長から前項の届出があった場合において、当該申請に係る事業所の所在地を含む区域(第百十八条第二項第一号の規定により当該都道府県が定める区域とする。)における介護専用型特定施設入居者生活介護の利用定員の総数及び地域密着型特定施設入居者生活介護の利用定員の総数の合計数が、同条第一項の規定により当該都道府県が定める都道府県介護保険事業支援計画において定めるその区域の介護専用型特定施設入居者生活介護の必要利用定員総数及び地域密着型特定施設入居者生活介護の必要利用定員総数の合計数に既に達しているか、又は当該申請に係る事業者の指定によってこれを超えることになると認めるとき、その他の当該都道府県介護保険事業支援計画の達成に支障を生ずるおそれがあると認めるときは、当該市町村長に対し、必要な助言又は勧告をすることができる。

4 (略)

5 市町村長は、第一項の申請があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、第四十二条の二第一項本文の指定をしないことができる。
 一~三 (略)
 四 認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護又は地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護につき第一項の申請があった場合において、当該市町村又は当該申請に係る事業所の所在地を含む区域(第百十七条第二項第一号の規定により当該市町村が定める区域とする。以下この号において「日常生活圏域」という。)における当該地域密着型サービスの利用定員の総数が、同条第一項の規定により当該市町村が定める市町村介護保険事業計画において定める当該市町村又は当該日常生活圏域の当該地域密着型サービスの必要利用定員総数に既に達しているか、又は当該申請に係る事業者の指定によってこれを超えることになると認めるとき、その他の当該市町村介護保険事業計画の達成に支障を生ずるおそれがあると認めるとき。

6 市町村長は、第四十二条の二第一項本文の指定を行おうとするとき又は前項第四号の規定により同条第一項本文の指定をしないこととするときは、あらかじめ、当該市町村が行う介護保険の被保険者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。

7 市町村長は、第四十二条の二第一項本文の指定を行うに当たって、当該事業の適正な運営を確保するために必要と認める条件を付することができる。

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地域密着型については、地域密着型ではない特定施設の規定と構造が似ているので、厚生労働省令(施行規則)の引用は省略しました。

要するに、市町村が作った介護保険事業計画や、それを都道府県が取りまとめた介護保険事業支援計画で定める定員を超えるような場合には、指定を行わないことができます。

ということは、有料老人ホームは老人福祉法上の届出を行えば設置できますが、特定施設は(地域密着型特定施設を含めて)計画上の定員に枠が残っていない場合には指定を受けられない可能性があるということになります。

そして、有料老人ホームの設置前から、関係市町村の意見を聴くようなシステムとしている都道府県もあります。

それはそれで、「行政指導」としては可能ですし、必要でもあるのでしょうが、
一方、事実として「高齢者を住まわせて何らかのサービスを提供する」という老人福祉法上の(最低限の)定義の「有料老人ホーム」にも届出をさせなければなりませんので、よけいに複雑でわかりにくい話になります。