自閉症は「育て方のせい」ではない

自閉症 感情の神経機能低下が関係 脳断層撮影で浜松医大

1月5日15時1分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100105-00000015-maip-soci

 自閉症患者の脳では、感情などをつかさどる神経が十分に機能していないことを、浜松医科大などが陽電子放射断層撮影(PET)を使って初めて明らかにした。自閉症の治療や予防に役立つ成果として注目される。5日、米専門誌「精神医学アーカイブス」に発表した。

 自閉症発達障害の一つで、「相手の気持ちが読めない」「自分の気持ちを伝えられない」「強いこだわりを持つ」などコミュニケーションや社会性の低下が特徴。程度や症状には幅があるが、小学生以下では50~100人に1人の割合で患者がいると推定される。原因は特定されておらず治療法もないため、「育て方が悪い」などの誤解が今も根強い。

 研究チームは、18~26歳の男性自閉症患者20人と健康な男性20人の脳を、研究目的に限定した専用のPETで撮影した。分析の結果、感情などを伝える「セロトニン神経」内部で、神経伝達物質セロトニンを取り込むたんぱく質の働きが、患者の脳全体で健康な人より、平均で3割低くなっていた。中でも他人の気持ちを推し量る部位などでの機能低下が目立った。

 自閉症の原因については、関連する遺伝子が複数指摘されており、チームはこれらの遺伝子の異常が、今回分かった神経の障害を起こしている可能性があるとみている。

 チームの森則夫・浜松医科大教授(精神神経医学)は「自閉症は育て方とは関係なく、神経に障害が存在することが明確になった。治療・予防につながる標的が見えた意味は大きい」と話す。【永山悦子】

記者の永山さん(と毎日新聞社)には申し訳ないのですが、自閉症について誤解が生じるとよくないので、あえて全文を引用させていただきました。
(太字の強調は、私が行いました。)

療養病床にからむ社説の件では同紙を批判しましたが、同紙の記者の中には、自閉症を含めて重要な記事を書いておられる方々が少なからず存在していることは認識しております。

自閉症の原因が「育て方が悪い」のではなく、脳のどこかに障害が存在しているため

であることは、障害児や児童福祉などに関わる人間にとっては常識的な話だと思うのですが、まだまだ世間では知られていないようです。

「治療・予防につながる標的が見えた」というあたりは、この記事を読んだだけでは素人にはわかりにくいのですが、長いスパンで注目していきたいと思います。