中国のCO2濃度数値は虚偽か

本日(12月8日)の読売新聞は、いろいろ興味深い記事がありました。

 

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中国のCO2濃度、公表の1・5~3倍で増加…環境省が観測衛星で分析しCOP28で発表へ
読売新聞オンライン 12/8(金) 5:00配信

【ドバイ=渡辺洋介】環境省は、中国の二酸化炭素(CO2)濃度の年間増加量が、中国が公表している排出源などの情報を基に計算された数値の約1・5~3倍に上るとする報告書をまとめた。中国の情報が不正確な可能性があるという。報告書は9日にも、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で発表される。

 報告書によると、日本の温室効果ガス観測衛星「いぶき」が、中国の約7万7000地点で、2009~22年のCO2濃度の年間増加量を観測したところ、0・6~1・2ppm(1ppmは1万分の1%)だった。これに対し、各国が公表する化石燃料使用量や発電所数などの情報に基づいた国際的なデータベースによると、中国のCO2濃度の年間増加量は0・2~0・8ppmで、衛星観測の値が約1・5~3倍に上った。一方、日本と米国についても同様の条件で調べたが、衛星観測とデータベースの数値に食い違いはなかった。

 同省幹部は「温室効果ガスの削減目標を定めても、誤差の範囲を超える数値の不一致があっては意味がない。日本は衛星観測でデータの透明性確保に貢献していく」と話す。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6d713641cd912fe93a9d72e981ad6b5e44f8ebfd

 


日本の「化石賞」受賞が報道されたりしていますが(後述※)
その受賞理由についての賛否は別にして、ともかく(少なくともある程度は)正確なデータが公表されていればこその議論のはず。
冒頭の記事どおりなら、二酸化炭素だけでなく虚偽情報まで出している中国政府について、<世界の環境NGOが参加する「気候行動ネットワーク(CAN)」>がどう対応するか(しないか)、注目です。


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日本が「化石賞」第1号に COP28、岸田首相の発言が選定理由に

毎日新聞 2023/12/4 01:04(最終更新 12/4 12:56)
 アラブ首長国連邦UAE)のドバイで開催されている国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で、世界の環境NGOが参加する「気候行動ネットワーク(CAN)」は3日、岸田文雄首相の1日の首脳級会合での発言に基づき、日本を「本日の化石賞」に選んだと発表した。

 化石賞は地球温暖化対策に後ろ向きだったり、交渉の進展を妨げたりした国などに贈られる賞。CANは日本への授賞理由について、岸田首相が「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」の枠組みの下で世界の脱炭素化を進めていると発言したことに対し、「『グリーンウオッシュ』(見せかけの環境配慮)に他ならない」と指摘。アンモニアや水素は単独で燃やせば二酸化炭素(CO2)が出ないが、日本はそれらを化石燃料と一緒に燃やす技術をAZECの下で東南アジアで普及させることを想定しており、「化石燃料から再生可能エネルギーへの移行を遅らせる」と批判した。
https://mainichi.jp/articles/20231204/k00/00m/030/004000c?inb=ys


化石燃料依存から一気に脱出できない国々にとって、この混焼方式などなら実施可能ということなら、意義は皆無ではないという見方もあります。
たとえば、仮に放置したら平均気温が5度上昇してしまう場合、日本の技術で1度でも2度でも抑えられるのなら、何もやらない(できない)のよりはマシでしょう? という考え方。
ただ、アンモニアや水素を確保するためには何らかのエネルギーが必要なはずで、それを再エネで賄うか、化石燃料で賄うか、とか、いろいろ論点はありそうですが。

一番悪いのは、米国の前大統領のように「地球温暖化フェイクニュースだ」などと主張すること。
(前述の中国のように、虚偽データをまき散らすのは論外。)

なお、毎日新聞の別記事によると、
<CANはCOP期間中、原則として毎日、化石賞を発表する。5日は日本の他、米国とロシアが選ばれた。>とのこと。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d2ab110692b6705c4d6746a67006aeb785c34ca6